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すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
青年編

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ライネル領変革Ⅵ

「旦那様、メルティ様がお呼びです」

「んあ?了解、行こうか」


クロウは小宵と共に採掘区の奥の工房から外へ行くと、2人で一緒に[エアロマニューバ]で自分達の屋敷に戻る。流石に家族団欒をいつまでも邪魔するわけにはいかないので、食客ではあるものの、同じ屋敷ではなく、ライネル邸のすぐそばの豪邸に住むことにした。


「パパ!誰よその女!」

「ブラッキーだよ、もう忘れた?」

「ブラッキー?メイドの??」

「そうそう」

「えっ?見た目違くない?」


確かに以前のブラッキーに比べて髪が短くなったり、瞳が黄金色になっていたり、今ではメルティより強くなったりしているが、まあ仲間である事は変わらないので特に気にしないでほしいと言った。


「ぐぬぬ、ま、負けないんだから」

「ふふ、お可愛い事」


なんだか以前に比べて小宵に余裕ができている気がする。まあ裸で一緒に寝たり、名前付けたり、彼女の中では少しメルティに心の余裕ができたのだろう。


「それでメルティ、どうかしたんだ」

「どたばたしてて、渡しそびれたんだけど、はいこれ、以前の戦果報告書」

「ああ、以前の」


クロウはメルティから数枚の羊皮紙を受け取り、目を通していく。正直森の賢者と呼ばれたアルルに小さい頃から英才教育を施されたメルティだから、特に負ける心配とかしてないけど、思った以上の戦果に驚いた。メルティ・ドーベルマン・ジークの兵士が約8000人、その相手であるフェンデル・フェナード・ファイーム連合軍約25000人との戦闘で、圧勝。敵軍23000人を蹂躙し殲滅したと言う。メルティも内緒にその全員分の血と魂を吸収してかなりLvUPしたと言う。


「え?ほとんど軽装なんだ。軽鎧ですらない民兵がこんなに、しかも騎兵はごく少数....なるほどね」


もっと近代な戦争形式だと思っていたが、この様子だと中世、それもマスケット銃の代わりに魔法と言う物が開発されたと思われる。


「なるほどねぇ....」


火器の代わりに魔法を採用したおかげで、魔法を相反する魔法で打ち消したり、[魔法防壁]等の防御魔法で打ち消したり、おかげで重鎧も必要性がなくなったのか.....


「魔法部隊や、もっとやりこめば以前のように衛星兵器もできるかな?」


現実世界とは違って、いくつかの必要な元素や材料が恐らくこのゲーム世界には存在しないので、それは難しいかもしれないけど。


「やっぱり魔鉱石とかで....ふむふむ.....」

「パパ~?パパー?」

「んあっ、ごめんごめんちょっと考え事してた」

「んも~」

「でも、よくやったなメルティ、初陣、初めてにしては大勝利だ」

「ふふん!」

「よしよし」


メルティの頭を撫でつつ、クロウは早速次の書類も見てみた。今回クロエとフェンデル卿の停戦会議の内容を書き記した羊皮紙もあり、内容は簡潔に纏めると、


・8年の停戦

・旧フェナード及びファイーム領は一旦ベレンツァ卿の暫定直接統治領になる。

・フェンデル伯爵はライネル伯爵へ弁償金を、ライネル伯爵はフェンデル伯爵へ捕虜の送還


おおよそこれが停戦会議で結ばれた協定の内容だ。残念ながら10年と言う停戦時間は稼げなかったが8年の停戦期間は得る事ができた。同時にフェンデル伯爵とライネル領の間にあるあの2領がベレンツァ卿の直接統治により、緩衝地域になると思われる。それによって直接的な進軍は双方共に難しくなったが、恐らく双方の諜報活動はこれまで以上に活発になるだろう。


だが既にこのライネル領には毎日大量の難民や人々がゆっくりとだが、どんどんと数多くやってきている。既にクロウはクロエの父親と相談の上で、[ライネル領総括省]と言う、ライネル領における全ての物事を決めたりする意思決定機関を設けた。もちろん最高決定権はライネル家当主にあるので、権利を委譲したわけではないが、小さい事は既にクロウがまとめ上げた書類に沿って臨機応変にやっていけば問題はない。


諜報部門に関しても既に創設に必要な全てを書き記した書類をクロエの父親に提出している。いわば、これからのライネル領に必要な物、組織などなど、全て紙に書き記しているのだ。


「そろそろ帰ろうかな」

「ん?ばぁばの所帰るの?」

「う~ん、どうしようか迷ってる」

「あたしはパパについていく」

「私も同じです、旦那様」

「そうだなぁ....」


このまま帰っても良いが、正直帰る理由も特にない。ならばもう少しこの場所で兵器開発と、人材育成に力を入れようかと思った。もちろん、必要ならば自分が新生ライネル兵を率いて今度はもっと苛烈にフェンデル卿を打ち倒す事もする予定だ。


「傭兵団でも作るかぁ」

「お、良いねパパ、面白そう」

「私も賛同します」

「よし、じゃあそういう事で、まずはアルルに手紙でも出すか」

「それが良いと思うよパパ」


早速クロウは自分の執務室からA4サイズの罫線の入った紙とペンを数枚持ってきた。それをメルティと小宵にそれぞれ1枚渡すと、2人にも手紙を書くように促した。数分後、2人からも手紙を受け取り、自分のアイテムバッグから木でできた四角い封筒を取り出した。


「じゃあ小宵、これお願いね」

「了解いたしました」


彼女の持つ悪魔技能である[瞬間移動A]を使えば、彼女だけは一瞬でアルルの元へ行く事ができる。そして彼女に手紙を渡し、再び即座に帰ってくる事も可能だ。


「ただいまです」

「はやっ」


手紙を渡したばかりだと言うのに、彼女は一瞬消えたと思うと、キッチンでおやつを探していたクロウの背後に再び現れた。数分しか経っていないが、クロウが渡した封筒の中にアルルの返事を思わしき羊皮紙が入っていたので、3人で一緒に読んでみる事にした。とてもやさしい内容であり、3人の心配と、自分は森での生活を謳歌していると書いていた。手紙の後半部分にクロウの傭兵団設立について色々と教えてくれており、まずは傭兵団の根幹となる主要メンバーを集めると良いと言っていた。


「流石アルル、俺と方向性がほぼ一緒だな」


こういう事にはクロウもかなり経験があるので、アルルと同じく、まずはクロウの私兵、もとい傭兵団の根幹メンバーを集める事にした。幸い[龍眼]もあるので、見つけるのは特に難しくないだろう。


「兵器開発とかもあるし、フェンデル卿達との戦争も8年後起こりそうだし、どうせなら一から育てるか」

「それがいいかと」

「よし、じゃあ早速準備を始めよう」


とりあえず3人でどんな傭兵団にするか、どんなメンバーと編成にするか、どうやってメンバーを招集するか、それらを決めるために、夜遅くまで3人は語り合った。


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