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すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
青年編

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ライネル領変革Ⅲ

「じゃあ、行ってくる」

「あーい、行ってらっしゃい」


頭に鉢巻を巻いて、作務衣を着たクロウが綺麗な礼装を着たクロエとメルティが馬車のキャビンに乗る所を見送っている。


「メルティ、危険があるかもしれないから、頼んだぞ」

「任せて」

「じゃあ、行きますよ」

「はい、お願いします」


出発の合図をする御者に挨拶をするクロウ。そのまま彼はベレンツァ卿のいる中央領へ馬車を走らせた。コトコトとがたがたする道を走りる馬車。彼女達が戻るまでには絶対に見違えるようにライネル領を改造してやろうと思った。


「よし、やるか」


今日も大量のノームやドワーフなど、建築用の使い魔を召喚する。最近は[混合魔法]を使って、特定の属性と[使い魔召喚]を使う事で、その属性の妖精や使い魔の召喚を指定できる事に気が付いた。


「[魔力支配][闇魔法][龍化・腕][土魔法][元素魔法][建築][属性付与][錬金][城塞都市建築][魔道具製作]」


その他数多の魔法を発動し、いくつかを[多重混合魔法]で合成発動する。昨晩数百体のノームとドワーフそしてクロウでライネル領を覆う古い壁や城門を全て破壊した。そして今は新しくクロウが魔法をフル稼働させて色々な魔法を織り交ぜた尋常じゃない城門を作り上げようとしている。


「げへへ、闇魔法の[エネルギードレイン][レベルドレイン]を始めとする凶悪な闇魔法を[土・闇二重混合魔法]で作り上げた[呪いの城石(カースドストーン)]に刻んで、それを更に[龍化]した腕と[魔力支配・極圧縮]でぎゅうぎゅうに押し固めて堅牢にして、悪魔技能の[城塞都市建築]スキルも使って更に硬度を上げると同時に[悪魔の両腕(デーモンアームズ)]と言う自動で近づく生者と魔法を吸収する魔法も城石1つ1つに刻んで、ぐえっへへへ」


[龍化]した腕から魔法で次々と黒い城石を生成し、整備された地面にしっかりと埋め込んでいく。そのまま悪魔技能を容赦なく発動し、昼に差し掛かる頃には、見上げるほどの巨大な城壁がかなり遠くに積みあがっていた。


「親方ぁ、何してんだろなぁあれ」

「わかんね、わかんねぇけど、なんかやべぇ事してるってのは分かる。見なかったことにして、作業続けるぞ」

「うっす」


ドワーフとノームが協力して空き家を破壊して回っている。クロウが今彼らに任せた任務は、空き家の解体だ。同時にライネル領の地面も全て掘り返してもらっている。クロエの地図に沿って大まかに再建築をしないといけないため、ライネル領を捨てた者達の家なら全部ぶっ壊しても特に心は痛まなかった。


「おーい!お前ら全員集合!昼飯の時間だぞ!」


喉を[龍化]させ、ライネル領中に響くくらいの大きな声で昼飯の合図を出した。すると、ぞろぞろとノームやドワーフ達がクロウの声がする方へやってきた。


「よし!全員いるな!ノームはこっちだ!今日も魔鉱石はいっぱいあるぞ!好きなだけ持っていけ!ドワーフはこっちだ!今日はパンとグリルソーセージ、サラダと清涼水だ」

「ありがとうございます」

「ありがとうなぁ!」


全員飯を食べ始めたのを確認して、クロウは1時間程の休憩を取る事にした。


「大規模魔法陣を地面に刻むかぁ、地下も開発もしたいなぁ、ぐへへへへ」

「あ、アニキ、悪魔みたいな笑い顔になってますぜ」

「あっ、なんかごめん、それで、進捗どう?」

「へい、空き家の解体はだいたい終わりました。今はドワーフのアニキ達に平原を掘り返して貰ってます」

「ナイス、流石だね、端材は?」

「ここに」


ノームの1人がクロウにアイテムバッグを渡す。


「おっ、ありがと」


アイテムバッグを受け取り、中にあるものを感じ取っていく。膨大な量の木材やレンガ、その他多くの家材も入っていた。クロウが空屋のあった場所に視線を向けると、綺麗に更地になっていた。


「おっ、これって、複合巨大魔法陣が刻めるのでは?」

「え?」

「へ?」


休憩終了後、クロウは一旦ノームとドワーフ達を還し、非常に高度で複雑な、そして強力な魔法陣を地面に刻むために、身体の上半分を全て[龍化]させた。全身に黒龍の鱗が現れ、爪も分厚く鋭くなり、額からは黒色の龍角が2つ天を向いていた。てっきり顔も爬虫類に似た見た目になると思っていたが、どうやら人間の顔のまま、頬や耳が龍鱗で覆われるだけで、ほとんど人間の見た目をしていた。


「[魔力支配][龍魔法][錬金][闇魔法][全属性魔法][元素魔法][混合魔法]」


そこまで言って[龍化]した両腕を空に掲げるクロウ。すると、クロウを中心に巨大な魔法陣が出現し、その上に更に数多くの属性魔法を発動させる魔法陣や龍魔法のための魔法陣、錬金術の魔法陣などなど、数えきれない程の魔法陣が出現した。空に届きそうな程高く、多く出現した魔法陣をクロウはその両手の平を近づける事によって、1つにしていく。最初の数枚は[混合魔法]で合成できたが、合成する魔法が増えるたびにクロウの頭と体に強大な負担がかかっていく。


「ぐっ、こっの!」


両手の平を合わせようと必死に力を入れるが、全く動く気配がしない。クロウもどんどんと力を入れていき、気が付けば顔が真っ赤になり、鼻血も噴き出していたがそんな事もお構いなしに、少しずつだが確実に合成していくクロウ。数分後、ようやく合成が完了したクロウは、そのまま1つになった魔法陣と共に両腕を振りおりし、城壁の内側、新ライネル領の全てを覆うようにして地面に二度と消えないように刻み付けた。


【ライネル領への極大魔法陣刻印完了。これよりライネル領内に居住する者全員に、[龍の加護・極小]が与えられます】


[龍の加護・極小]:[勇猛]のスキル獲得、全ステータス微増、領民の近隣からの素材採取数微増、全領民の成長率微増、全領民の自然治癒力微増、全領民の欺瞞看破率微増


「よし、あとはクロエの地図にそって大まかな部分を作ろう」


クロウはさらに使用する魔力の量を増やす。もはや天変地異を引き起こす龍の力をフル活用し、アイテムバッグにある資材、遠くに見える魔獣の森の山、そして魔獣の森の木々を魔力を使って、まさに神の見えざる手で山を削り、森林を引き抜き、それらを全て悪魔技能[物質変換]のスキルで建築材料へと変化させていく。同時に[城塞都市建築]も発動し、[建築]のスキルも発動させる。空高く飛んでいるクロウの目の前で大量の材料が建築材料になっていき、クロウの指揮1つで地図に沿って自ら材料が必要な大きさ、場所に飛んでいく。そうしてそれらも魔法で固定した後、次の区画、次の区画を、クロエの地図通りに作り上げていく。地上でクロウの邪魔にならないように空を見上げていたドワーフとノーム達は、クロウのオーケストラ指揮のような建築方法を見て、ただ尊敬と畏怖の念を抱くしかなかった。


夕方に差し掛かる頃、ようやくクロウも空中から[龍化]を解除して地上へと降り立つ。


「だはー!疲れた!お前ら!細かい場所は任せたぞ!家やらインフラやらは作ったが、実際にお前らに一軒ずつ見て回って、細かい場所、家具や魔道具の設置を任せる。これ地図、そしてこっちはそれぞれ家のグレードに合わせた家具と魔道具の配置だから、これの通りよろしく頼むわ、俺は少し休憩する」

「おっす!お前らやるぞ!」


ドワーフとノーム達にクロウが作った新築の家具、魔道具の配置が記入された羊皮紙を渡し、そこらへんの地面に寝転がって、少し夕暮れを見ながら休憩する事にした。


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