表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
青年編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/81

ライネル伯爵領XVI-ライネル領変革準備

クロウがゆっくりと空を飛んでライネル本家領に戻る頃、既に黒豹に乗ったメルティ達【新ライネル軍】は行軍を開始していた。その人数約6000人。一体彼女がどう指揮するが分からないが、アルルにみっちりと兵法なども仕込まれていると聞いているので、ひとまずはクララをクロエ達の屋敷に連れていく事にした。


「ブラッキー?いる?」


肩にクララを載せ、片手で屋敷の正面ドアを開けるクロウ。こっそりとブラッキーがいるか声を出してみると、カツカツと小気味よい音と共にブラッキーがやってきた。


「クロエの妹救出してきた。マーノはまだ起きてる?」


彼女はこくりと頷く。


「じゃあはい、彼女を寝かせてやってくれ、魔法で眠らせたが明日の朝には起きるはずだ」


ブラッキーはこくりこくりと頷くと、クロウからクララを受け取り、彼女をお姫様抱っこで部屋へ連れて行った。


「ふぁ~、俺もそろそろ寝るか」


クロウも自分の部屋へ戻る。今夜はメルティがいないので、少し広い部屋で一人で寝る事になった。


翌日、一人だけの部屋でブラッキーに呼び起こされたクロウ。昨晩は夜遅くまで活動していたので、ブラッキーも気を使って今日は昼に差し掛かろうとした時間に起こしてくれた。


「おはようブラッキー、先に風呂入っていい?」


こくりと彼女は頷く。どうやら朝風呂を既に準備していたみたいで、服を脱いで浴室に入ると、巨大なバスタブには既に少し熱めの湯が準備されていた。


「くぅ~、朝風呂って良いよなぁ~」


昨晩は[軍団転移]を使用したり、新魔法を覚えたり、クララを救出したり、あっちこっちに飛んだりしていたので、MP量的には問題ないが、少しだけ気疲れしていたクロウだが、朝から程よいお湯に入り、身を綺麗にした事で気持ちもさっぱりとした。


「おっ、ありがとうブラッキー…ん?」


丁度バスタブから出てこようとかと思っていると、なぜか体にバスタオルを巻いたブラッキーが横でこちらに水の入ったコップを差し出していた。


「なんでここに?」


は?主人の背中を流すのはメイド仕事ですが?みたいな不思議そうな顔でこちらを見るブラッキー、クロウもこれ以上浸かるとのぼせるかもしれないと思い、横で跪いているブラッキーも気にせずついバスタブが身体を上げてしまった。


「………ッ!!」

「あっ」


非常に運悪く、クロウのクロウがブラッキーの目の前に出現してしまう。あまりの驚きに流石の彼女も澄まし顔を維持できず、耳まで真っ赤になった後に飛び出してしまった。


「まあ、いっか」


とりあえず右手に持ったコップの水をぐいっと一気飲みし、素早くシャワーを済ませる事にした。数分後、いつもの調子に戻ったブラッキーが、浴場から出てきたクロウにバスタオルを持ってくる。まさか今回も発情しているかと思い、一瞬後退りしたが、どうやらいつも通りだった。


「ありがとう…えと、クロエ起きてる?」


ぶんぶんと首を横に振りながら、ブラッキーは身体に付いた水を受け取ったバスタオルで拭くクロウの姿をまじまじとガン見していた。


「お~い、なんかメルティがいなくなってから遠慮なくなったね君」


メルティの名前を出したせいか、ようやく思い出したようにじろじろとクロウの肉体を見つめていた自分の頭をぶんぶんと左右に振り、いつもの澄まし顔に戻るブラッキー。


「えと、クロエはまだ落ち込んでるんだよね?」


ブラッキーは少し悲しそうな顔でうなずいた。


「そっか....まあ1週間くらいは待つよ、俺もライネルクロスの件があるし、これからの事もあるし」


綺麗な白シャツと動きやすいズボンに着替え、走りやすい靴に着替える。まずはブラッキーの用意した朝食を食べる。その後、軽くライネル領内を散歩し、脳内に地図を作り上げていく。未だにメニュー!とか設定!とか一人で叫んでもゲーム画面にあるべき機能が出現しないので、所有者が見たことある地形を自動で書き出してくれる魔道具を首にぶら下げ、ライネル領内を散歩する事にした。


「ブラッキー、散歩行こうか」


横で仕事をしていたブラッキーは、見るからに目をキラキラと輝かせながら、ぶんぶんと首を縦に振り、クロウの元へと駆け寄ってきた。


「そういえばブラッキーって一応ハウスキーパーのメイドなので、家から出てきても大丈夫なの?」


うんうんと首を縦に振る彼女、試しに彼女と共に庭に出て、そのまま家の正門を出ようと思ったら、ブラッキーは見えない壁のようなものにぶつかり、クロウには見えない空気の壁をどんどんと叩くだけだった。


「やっぱりだめか....まあいいや、数時間で戻ってくるから、俺の部屋に羊皮紙を数枚、用意しておいてくれ」


残念そうに彼女は項垂れた後、承諾したと首を縦に振り、とぼとぼと屋敷へ戻っていった。クロウも少し悲しげな彼女を見て、もし何か美味しい物があったり、綺麗な花屋があったら彼女の為に買って帰ろうと思った。


「さて、まずは屋敷周辺だな」


近くの建物は、ほとんどが文字通り、がらんどうのように人の気配が全くしない。空き家空き家空き家、空き家飛ばさなくても空き家に空き家、20分程歩いてもまだまだ人の気配はせず、魔力源がある人どころか、人が全くいないので、いっそと思い、散歩を中断して空中へ高く飛び上がった。そのまま視界内にライネル領の全てを見納め、[龍眼]を発動して領民の数を探してみる。


「うわっ.....」


余りの少なさに言葉を失ってしまった。唯一人気のある家は、もしかしなくてつい最近ノーム達が新しく作った家のみ。他の家々は既にネズミすら住めない程綺麗に何も残っていなかった。


「まあ、ここまで来ると逆にやりやすいまであるか」


胸元の魔道具がピカピカと光出す。現在クロウが見ている景色を記録しているようだ。[龍眼]で見ているため、建物だけではなく、建物の中、具体的な構造や木材、石材の経年劣化などもクロウの視界にデータとして出現しているので、同じように魔道具もそれらを記録している。数分後、再び地上に降り立ったクロウは、今後のライネル領について詳しく考え始めた。ひとまずクロエは数日は閉じこもっているかもしれないので、まずは彼女の為に、金策の次にすべき事、所謂ベレンツァ卿への対処と領民回復のステップ2である。てくてくゆっくりと脳内マップに沿って屋敷への道を歩き出すクロウ。同時に手を顎に当て、考え事をする。


「俺未だにチュートリアルしてないんだよなぁ」


ライネル領に入った時、目の前に出てきたのはゲームのタイトルロゴだけ、戦記と銘売っているなら、そろそろこう、その要素を感じたいのだが....こう、一括領民職業編集とか、ボタン1つで民兵招集とか....


「まあそんなに甘くないか」


やれやれと頭を振り、クロウは少し足早に屋敷に戻った。


「ブラッキー、準備できた?」


屋敷に戻ってみると、ブラッキーが玄関で待っていたので、彼女にすかさず聞いてみると、こくりと頷いた。自分の部屋に戻ってみると、案の定彼女はバッチリ準備していてくれたみたいで、早速クロウは首から下げた魔道具を外し、羊皮紙の上に置く。すると、その魔道具は自ら浮かび上がり、尖った先を羊皮紙に軽く当てると、自ら地図を描き出した。炭とにかわで作ったインクを入れているため、色による区別等はできないが、最低限地図としては問題ないだろう。しばらく時間がかかるので、その間にクロエとクララに次にすべきことを書き記しておく。こちらは羊皮紙ではなく少し紙で作る。恐らく彼女達は見た事がないだろうが、内容に驚くだけはなく、この紙自体も金策の1つになるはずだ。


「まずは大まかに3つ書くか」


今後のライネル領、もとい、ライネル家をクロウは世界でも有数の大貴族にしたいので、彼女に今後の大まかな方向性を書き記す事にした。


1つ目は、カデンリーナへ増援ではなく、向こうの反乱により家を追われた流民を受け入れると言う事。

元々送るはずだった騎士団は既に殲滅されてしまったので、もうどうしようもない。ベレンツァ卿もこちらの現状を知っているはずなので、素直に今はフェンデル卿への復讐で兵力を割けない。代わりにカデンリーナからベレンツァ領へ行こうとしている流民その他もろもろは全てこちらで面倒を見ると言う趣旨の手紙を書けば、きっとベレンツァ卿は大喜びだろう。卿は急激な領民の増加によるごたごたをライネル領に任せられるし、こちらは失った領民が多く回復する。


2つ目は【住民票】の発行だ。急激に領民が増える事が予想されるので、彼らに適切に仕事を振り分けると同時に、のちの税金管理や領民統治、それから就労支援等の際にどこに、誰が、なんの仕事をしているか分かりやすいと非常に助かる。これらはクロウの[魔道具]で一括作成すれば特に問題ない。


3つ目、と言うか一番重要なのが、ライネル軍再建設だな。昨晩、こっそりと[龍眼]でドーベルマンやその部下と、ジークと彼の部下を見させてもらった。ドーベルマンを含む彼女の部隊は、お世辞にも戦闘力に特化した部隊とは言えない。最低限度戦えるが、あまり正面作戦で強い存在とは言えない。だが、[隠蔽][隠密][潜伏][追跡][暗殺][偵察][噂流布]など、どちらかと諜報部隊のようなスキルを多く持っていた。ドーベルマンに至っては非常に高い[偵察]スキルと[警告]、そして[危機察知]スキルを持っていた。逆にジークは非常に高い、将官としての指揮スキルが多数有り、[軍指揮][軍訓練][装備鹵獲][兵士募集][才能看破][作戦立案]などなど....


「まあメルティなら上手く気付いてくれるでしょ」


クロウならどうするか、ドーベルマンの部隊とジークの部隊をどう使うか、そんな事を少し考えながら、ブラッキーが入れてくれた紅茶を飲みつつ、自室で淡々とライネル領の今後の大まかな方向性を書き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ