ライネル伯爵領Ⅻ-ライネル領周辺情報確認
「ブラッキー、お前も一緒に聞いてくれ、構わないか」
「うむ」
「ッ!」
「じゃあクロエ、まずはベレンツァ侯爵領の全域図とかある?」
「あるぞ」
「よし、じゃあまずはベレンツァ領周辺の事から聞く、まずはこれがベレンツァ侯爵領、東部辺境伯と言われたベレンツァ侯爵の領地だな」
「うむ」
「それを中心地域の、ベレンツァ候が直接統治している領、【ベレンツァ中央領】を除いた範囲全てを4等分し、地図にあるこの滅茶苦茶大きい森を含めた大きな東部が現在の【ライネル伯爵領】なんだな?」
「そうだ」
「中央領から上が現在反乱がおきている【カデンリーナ領】、中央領右側が【ライネル領】、中央領下側が【フェンデル領】、中央領西部が【グラユウス領】だな?」
「うむ」
「現在、勢力と財力、兵力に領民の数などを合計して考えると、どの領が一番になる?」
「【フェンデル領】【グラユウス領】【カデンリーナ領】、最後が【ライネル領】だ」
「そしてライネル領内も更に地域によって統治者が変わってるんだな?」
「そうだ、わかりやすいために【ライネル領】を五等分してくれて構わない。一番大きな西の地域、魔獣の森と一番接しているのがここ、【父上の領地】だ」
「紛らわしいから【本家領】ね」
「うむ、私達がいるのが【本家領】で、本家領から北西にいるするのが私の叔父である【ヒューズマン子爵】の【ヒューズマン領】、本家領から西にベレンツァ親派の新興貴族である【ギード男爵】の【ギード領】、本家領から南西に親フェンデル派の【フェナード子爵】の【フェナード領】、【フェナード領】の中にある【ファイーム男爵】の【ファイーム領】」
「【本家領】【ヒューズマン領】【ギード領】【フェナード領】【ファイーム領】の5つだな」
「うむ」
「一応聞くけど、全員、ライネル伯爵が委任したりした人物だよな?【ギード卿】や【ファイーム卿】も聞いた感じ新興男爵っぽいけど一体誰が任命したんだ?」
「【ギード卿】は元々は父上の副官だったが、ベレンツァ卿にその実力を認められて、父上の元から独立して【男爵】の爵位を貰った者だ」
「ベレンツァ卿がかぁ...」
「ファイーム卿はフェナード卿の弟のようで、豪商と言う身分を使って大金を使ってフェンデル卿に頼み込んで男爵位を購入したようだ」
「あっ、買えるんだ」
「フェンデル卿が上手くベレンツァ侯爵に頼み込んだのだろう、小さい領地だが、資金や軍事力は無視できないほどだ」
「ちょっと待ってくれ、ベレンツァ侯爵ってそんなポンポン爵位を要求できる地位にいるの?」
「ああ、ベレンツァ辺境伯は先代が当時の王子、今の国王の教育係をしたことがあってな、そのせいでかなり今の王家と仲がいい。特に当代国王とは師弟のような立場だったのだとか」
「あー、なるほどね」
「もちろん辺境伯は立派な人だ、父上にもよくしてくれた人であり、魔獣の森の大氾濫の際は躊躇い無く増援をしてくれるし、復興や税金の軽減なども非常に優遇してくれている」
「う~ん、そうなんだね」
「今考えると、そのせいで他の伯爵に目を付けられたのかもしれない」
「かもしれないねぇ...う~んどうしたものか、ん?ちなみに聞くけど、南部戦線ってどこにあるの?フェナード領とフェンデル領の境目?」
「そうだ」
「そしてフェナード領は親フェンデル派なんだよね?全然言う事聞かないんだよね?」
「そうだ」
「ちなみに今クララはどこにいる?」
「今は南部戦線.....」
そこまで言ってクロエの顔が青ざめていく。
「これ南部の伝令帰ってこれない可能性もあるな、最悪もうフェナード卿に捕まえられて、フェンデル卿の軍隊が到着した瞬間に....うーん非常にまずいね」
「な、ななな、ななな」
「最終プランが現実味を帯びてきましたね、クロウさん」
「やめろメルティ、縁起が悪い」
「だがそんな事をすればベレンツァ侯爵がなんと言うのか」
「まあかなり印象が悪くなりますね」
「個人的に思ってることなんですけど、ベレンツァ卿も今回の一件でクロエさんの事を見定めているのかも」
「そうか....だが妹の命と....」
「明日帰ってくるはずの騎士団をまとめて大至急南部へ向かえばいいと思っていたけど、この様子だと、最悪フェンデル卿がフェナード卿とファイーム卿と合流し、3貴族分の兵士を相手する事になるのかぁ」
「どうする?私行こうか?」
「う~ん本格的にその方法が現実味を帯びてきた」
「いや、待ってくれ、流石にそれは」
「じゃあ借りよう!」
「ん?」
「叔父上であるヒューズマン卿とギード卿から、こちらも兵士を至急増援してもらいましょう」
「分かった。しかしなんというべきか」
「伯爵代行なんですよね?なら伯爵の印璽があるはずですので、それで兵士を徴収しましょう」
「それは後々の関係悪化につながるかも....」
「じゃあ【1万金貨】を3年分割払いで」
「そんなに!?」
この世界の通貨はなんとも分かりやすくなっており、下から銅貨、銀貨、金貨となっている。銅貨3枚で手ごろなパンが1つ買えるほどの物価なので、1万金貨はかなり多いと言える。実際クロエが雇った30人程度の傭兵団が1日凡そ銀貨3枚だった計算なので、1金貨=1,000銀貨=1,000,000銅貨での流通具合から考えると、破格の値段だ。実際に一般領民の生活費は毎度の食事をパン1つ+野菜スープ1皿だとしても1日3食で30銅貨、一週間で210銅貨、1か月4週間だと840銅貨となる。もちろん平民は1日3食も食べる事が少ないので、食費だけで考えてももっと安くなる。
「一体どこからそんな金が」
「【ライネルクロス】ですよ、まだ具体的な価格を決めていませんが、普通の服やシャツなどは1着銅貨50を考えています」
「安すぎない?」
「恐らく今年はまだ始めたばかりなので、あまり多くの生地が取れず、せいぜい50㎡の服の生地が多くて11反ほどになりそうですが、なによりもあまり高価な費用が掛からないので、服1着で縦2mx1mを使うと考えても1反で25着出来ます。25x50銅貨で1250銅貨の儲けです。それが11反なので、13750銅貨、つまり銀貨13枚と750銅貨です。年を追うごとに畑を広げ、ゆっくりと市場に流れる量を増やせば、もっと増えるでしょう。それに加え、まだ我々は高級な【ライネルクロス】を開発していないので、それで十分支払える額になります」
「分かった、じゃあ1年目の分は」
「私が出しますよ、言い出したのは私ですからね」
「そんな金が?」
「もちろんです」
クロウはそこら辺にある羽ペンを手に取った。
([物質変換])
内心でこっそり悪魔技能を使い、羽ペンを見た目全くそのままに金に錬金した。
「私、色々とスキルがありますので」
クロエは数多の錬金術師が人生の夢にした事を目の前の男がいとも容易く行い、いまだそこの見えぬクロウと言う存在に再び恐怖を覚えた。
【[錬金A]が[錬金EX]になりました】
[錬金EX]:自由自在に非常に高度な錬金術ができる。エリクサーの作成が可能になった。




