魔獣の森XIII
【龍殺し・古龍】:数万年生きた古龍を殺した者への称号。至高の身体能力・戦闘スキルと[龍魔法]を手に入れる
「パパ!パパ!どうしたのパパ!」
ふらふらと、途切れそうな自分の意識を、太腿の肉を抓る事で保ちながら家まで飛んで帰ってきたクロウ。ルーデンフェルトを食べた影響か、身体の内側にが爆発しそうな程のエネルギーが溜まってきている。
「何?どういう事だ?何をしたクロウ」
アルルもいつもののんびりとした様子は無く、ひたすら[沈静化]の魔法をクロウに使用している。
「ぐふっ!」
爆発しそうなエネルギーを必死に体内で循環させるクロウ。どうやらこの行動は正解だったようで、内部から爆発しそうな感覚は幾分かマシとなったと言えるが、今度は初めて[龍血]を注射された時同様、肉体的な痛みが全身に起こった。
「アルル!訓練場へづれで!いっでぐれ!今ずぐ!」
舌を噛みそうな勢いで、しわがれた声を出すクロウ。アルルもすぐに分かったと言い、容赦なくクロウの首根っこを掴んで家の裏の訓練場に放り込む。
「行け!しばらくぢかづくな!」
「分かった!」
アルルは険しい顔でぴしゃりとその重たいドアを閉める。禁足地・永久凍土から取れた特殊素材を合金にして広々と作った訓練場。触れた魔力を停止させる特殊効果を持つ訓練場の壁は、どれだけ強い魔法、それこそ[虚無砲・小]を打ち込んでもびくともしなかった。
「これは、まずいな」
必死に意識を保つクロウ。いっそ手放した方が楽かもしれないと思ったが、訓練場を無意識に何かのはずみで破壊しては堪ったもんじゃない。
「[噛みつきA]」
自分の腕に思いっきり噛みつき、どばどばを腕からあふれ出る血を自らごくごくと飲みながら、無理矢理身体を落ち着けていく。あまりにも強引な方法だが、流血により否応にも頭は冷静になっていく。
「ふぅ、なんか慣れてきた」
全身の骨と臓器、それから肉体が何度も何度も砕かれては再生するような感覚に、たまらずその場に仰向けに倒れこむクロウ。
「いや、だめかもしれない」
腕の流血は既に止まっているし、頭は物凄く冷静になっているが、やっぱり流血のし過ぎで意識が朦朧になってくる。
「目が覚めますように」
もはや太腿の肉を引きちぎろうとも意識を保てなくなったので、諦めて意識を手放す事にした。
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【古龍王の血の完全適合を確認。至高の肉体形成完了、[龍魔法]習得完了】
【[龍心EX][龍脈EX]を習得。[威圧A][威嚇A]が[龍の威厳EX]に、[怪力A][硬化A][突進A][噛みつきA][頭突きA][超回復A][木登りA][食い貯めA][悪食A][投擲A]が[龍体EX]に、[栽培A][豊穣A][収穫A][解体A]が[龍の収穫EX]に、[追跡A][夜間看破A]が[龍眼A]に統一されました】
【Awaken![魔神の種EX]が芽吹きました。[魔神の芽EX]の効果により、複数の悪魔が目覚めました。それに伴い、〔公爵ヴァプラ〕〔侯爵サブナック〕〔伯爵ハルファス〕及び〔総裁ハーゲンティ〕の権能が発現します】
【汎用悪魔技能[軍団指揮A][使い魔召喚B]及び固有悪魔の技能を複数習得します.....〔公爵ヴァプラ〕から[機械学EX][機械工学EX]を、〔伯爵ハルファス〕から[軍備補充EX][軍団転移EX]を、〔侯爵サブナック〕から[高層建築EX][城塞都市建築EX]を、〔総裁ハーゲンティ〕から[物質変換EX][教示EX]を習得しました】
[龍化EX]:自由自在に龍の特性を発現させられる
[龍の威厳EX]:全ての生物を畏怖させ、戦意を著しく減少させる
[龍体EX]:全ての生物を圧倒する能力を自由に行使できる
[龍の収穫EX]:手に入れる全ての素材数を著しく増やす
[龍心EX]:全ての生物からの弱体化及び精神干渉を無効化する
[龍脈EX]:HPMP毎秒5%回復。HPもしくはMPが半分以下の場合、効果は5倍になる。
[龍眼A]:龍の瞳を使用できる
[軍団指揮A]:50までの軍団を自由自在に指揮できる
[使い魔召喚B]:良質な使い魔を複数体召喚・使役できる
[機械学EX]:実現可能な全ての機械に関する知識と技術を手に入れる
[機械工学EX]:実現可能な全ての機械の設計・製造・運用を実現する能力を手に入れる
[軍備補充EX]:戦争をするために必要な兵員・兵器・軍事施設を一瞬で補充する
[軍団転移EX]:軍団を自由に転移させられる
[超高層建築EX]:100m以上の高さの建築物を自由に作り上げられる
[城塞都市建築EX]:著しく堅牢な城塞都市を作り上げる事ができる
[物質変換EX]:自由自在に物質を全く違う物質に変換する事ができる
[教示EX]:知恵ある生物に物事を教える時、相手の理解力を著しく上昇させる
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「ふわぁ~」
なぜか瞼に光を感じて、手でその光を多いつつ、身体を起こす。確か訓練場で気を失っていたはずだが、目を開けて欠伸をすると、自分が瓦礫の山の中に横たわっている事に気が付いた。
「ん?」
目に入ってくる情報が理解できず、一旦目を閉じて再度見開く。やっぱり崩壊してる。
「やっちゃったか」
はぁ、と大きな溜息をついて身体を起こす。
「へっくしょい!」
なぜか豪快にくしゃみが出た。自分の身体を見てみると、どうやら服が上下共にビリビリに破れてしまっていた。恐らく急激に身体能力が上昇したせいだろう。それにつられて身体もだいぶ屈強になったようだ。マッチョというわけではないが、無駄のない筋肉質な身体は触った感触で分かる。
「すげぇ、腹筋も割れてるわ」
現実の自分の身体とは違う、古代の彫刻のような至高の自分の身体をぺたぺたと触っていると、遠くからメルティの呼ぶ声が聞こえた。
「あっ!パパ!起きた!こっちだよばぁば!ここにいる!ってわひゃ!なんで裸なのパパ!」
「ほう、3日も眠りこけていると思えば、まさかそんな趣味があったとは」
「違うわ!」
「ふふ、とりあえず服を着たらどうだ」
「あっ、そうだね」
ズボンの切れ端で大事な部分を隠しつつ、ぴょいと瓦礫の山から着地するクロウ。アルルから替えの服を受け取ると、耳まで真っ赤にして後ろを向いているメルティを他所に、その場で服を着替えだした。
「なるほど、それほど立派だったとは」
「おい、何見てるんだお前は」
「いや何、なんでもない」
両手で何かを大きさを測る仕草をするアルル、そしてそれをそのまま自分の下腹部に当て、「ダメだ、これでは潰れてしまう」と要らない事を言い出した。
「ほら、バカ言ってないで家に戻るぞ。色々説明しないといけないみたいだしな」
「うむ、そうしてくれ」
「そうそう!早く行こパパ!」
「パパ言うな」
何とか身体が爆発四散せずに済んだクロウ。崩壊した訓練場に、消滅した畑や数多くの建築物を尻目に、とりあえず2人と家に入って事の顛末を説明する事にした。




