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すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
少年編

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魔獣の森Ⅺ

メルティが[料理C]を習得するのにかかった時間は、クロウが[鍛冶A]になるまで十分な時間だった。


「パパ!今日こそは!今日のはきっと食べられるから!」

「いや別にいつも食べられない物作ってるわけではないし」

「いやそんな嬉しいけど気使わなくていいから!前にあたしが味見して気付いたから」

「え!?」


クロウは堪らずアルルの方を見る。彼女は気まずそうに視線を逸らし、頬をぽりぽりと小さく掻いた。


「いや流石に毎日味見役は…」

「おまっ....」

「いい!ばぁばを責めないでパパ、パパはずっと美味しい美味しいって言ってくれてるもんね、でも大丈夫、今回は私も食べてちゃんと美味しいって確認したから!」


[悪食]スキルがAになるほど食べ続けたクロウ。


[悪食A]:あらゆる非食用の物体を食べる事ができる。消化器官が非常に強力になる


今では[噛みつきA]スキルと併用すれば【鉄鉱原石】すらベイクドポテトのようにかみ砕いて消化できるクロウ。今回メルティが作ったのは、【魔牛のポトフ】と言う、シンプルな料理だ。クロウもしんしんと雪が降り積もるなか、帰ってきてからいきなりダイニングテーブルに座って待っていてくれと言われたばかりである。でも我慢できずにキッチンに顔を出すと、アルルはしょうがないわねと言った顔でなにやら真剣な顔で白磁の器に自作のポトフを3人分よそったメルティと共に、そのポトフの入った皿を持ってくるアルルとメルティ。


「なんか俺の分多くない?」

「いいの!パパには一杯食べてほしいから」

「いや普通の量で良いよ、後パパって言うな」


アルルとメルティの皿はきちんとしたスープ皿なのに、なんか自分の分だけはラーメンどんぶりに盛り付けられていた。[食い貯めA]があるのでこれくらいぺろりといけるが、別にそんな必要も無いので普通の量が食べたかったクロウである。


「よし、いただきます」


2人も同じようにクロウの真似をしてから、メルティ特製の魔牛のポトフを食べる。


「ん!美味しい!」


[悪食A]が反応しなかった。つまりこれは食用できる物と言う事だ。


「いや美味しいねこれ!シンプルな味付けだけど、きっちり野菜も肉も下処理されてるし、ゆっくりと時間をかけてるから大きめに切られててもちゃんと中まで味が染みてる!え、めっちゃ美味しいよメルティ」

「よっしゃあぁ!」

「これ、やめんかはしたない」


堪らずガッツポーズをするメルティ。アルルはよく彼女には【淑女たれ】と言っているが、クロウは【天真爛漫なままでいい】と言っている。アルルもクロウの言い分には納得しているし、クロウもアルルの言う事は最もだとお互い理解している。本人のメルティも淑女らしさと上流貴族のマナーはアルルから学んできちんと習得しているので、クロウも彼女がこうしてありのままでいられるのは周囲に家族がいるからだと理解している。彼女の中で、とっくにクロウとアルルは家族だと思っているように、クロウもすっかりとアルルとメルティを家族だと思っていた。


「そうだ、明日お前の誕生日だよなメルティ、何が欲しい?」

「武器!」

「それ半年前も言ってなかった?」

「パパの工房が出来てからずっと言ってるもん」

「パパ言うな」

「やだね、パパ!パパパパパ!」

「舌噛むぞ」

「噛まないもん!パパパパパパあばっ」

「ほら言ったそばから」


アルルが調子に乗って舌を噛んだメルティの頬に[木魔法・簡易治癒]をかける。「ごめんばあちゃん、ありがとう」と素直に礼が言えるのは、やはり彼女の良い所でもあるとクロウは小さく誇りに思っていた。


「だぁ、食べた食べた」

「ね!言ったでしょ!これであたしも立派に料理が作れる料理人ってわけよ」

「いや全くその通り、じゃあこれの食事はメルティに任せようかな?」

「いやそれは」

「え!パパもう作らないの?」

「え?いやそういうわけじゃないけど」

「た、たまになら作るけど、あ、あたしはやっぱりパパの料理食べたい」

「かー!うちの娘ほんま可愛いね!よし今からデザート作っちゃうぞ」

「ヤッター!へへ!作戦通りだねばぁば!」

「あいやよくやった!」


可愛い娘のような存在にこうも言われては流石に作らないわけにはいかない、クロウはウキウキ気分で服の袖をまくり上げ、キッチンの洗い場で手を洗って、自作の巨大冷蔵庫の中身を漁りだした。


「やっぱり冬と言えばみかんでしょ」


手軽にサクッと作れるデザートと言えば、【魔鶏の卵】と小麦粉、それから収穫したみかんをたっぷり使ったマーマレードのパンケーキでしょ。


「よし、作るか」


[料理A]を使用し、宮廷料理人クラスのふわふわパンケーキとふんわり蜜柑香るマーマレードを作り上げるクロウ。


「んんーー!やっぱりパパの料理最ッッ高!♡」

「おかわりだ、クロウ君」

「速っ」


光の速さで食べきり、おかわりをせがむアルルの皿を受け取りつつ、彼女のマーマレードでべたべたになった口周りを拭く。


「あっ!私も!パパ拭いて!」


んー!と口を突き出すメルティ。


「いや綺麗に食べてるからどこも汚れてないぞメルティ」

「はぁ?!今汚すし!」

「汚すな!」


メルティが顔面ごと皿に突っ込もうとしているので、彼女の頭を制止しつつ[魔力支配]で魔力を使って彼女の皿をひょいっと取り上げる。


「ったく、大人しく待ってろ」


その後、[食い貯め]を持っているクロウでも驚く量のパンケーキを食べ終える2人。女の子にとってデザートは別腹だと言うが、パンケーキって小麦粉で出来てるから結構お腹膨れるんじゃ?その答えは1時間後に分かる事になった。


「ダメだ、あたしもう動けない」

「全く、食べ過ぎだよ」

「いいじゃん!ばぁばもあんなに食べてたんだし」

「私は消化できるからね」

「いいなぁ!あたしも早く色々発現しないかな?」

「焦るでない、既に色々と始まっておるだろう」

「そうだね、どんどん髪の毛白くなるし、最近力すっごい強くなったし、前よりご飯と血がいっぱい飲めるようになったし、少しだけ太陽がまぶしく感じるようになるけど、その代わり夜にすっごい目が利くし、なんか自分の声出せば周囲の見えないものまで把握できるようになったし」

「ふむ、もうかなり発現しているな、後はヴァンパイア特有の[血魔法]や[闇魔法]、それから[チャーム]といくつかの近接格闘スキルかの?」

「あ!あたしまだ魔法は何も覚えてない!」

「ふむ、[チャーム]は教えられるが、[血魔法]は[吸血]を一度使えば自動で覚えられるし、[闇魔法]はクロウしか教えられない」

「ホント!パパ[闇魔法]使えるの!?」

「[神聖属性]と[精霊魔法]以外ほぼ全て使えるだろう、ほぼ無敵だよ」

「やった!じゃあパパに闇魔法教えてもらう!」

「おう良いぞ」

「えへへ!いつからやる?」

「うーん、その前にまずはアルルから近接格闘スキルを学んで来い、俺もそろそろお前らの武器を作るから」

「なるほど、私は魔法杖式の槍を頼むよ」

「アルルお前そんな武闘派だったの?」

「一応人間領では【魔法槍士(まほうやりし)】として活動していたからな」

「そうだったんだ」


数百年この魔獣の森でヌシとして生きていたんだ、いまさらながら納得がいく。


「じゃあ俺は工房に戻るから、メルティの武器が決まったら教えてくれよ」

「了解だ」


当人のメルティは動きやすい服に着替えに行っている。これが若さなのか、先程のパンケーキは既に消化してしまったようだ。


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