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七剣聖伝説  作者: 山田孝彦
第二章
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第六話 宴会

マルマキアと酒を飲みながら自分の過去そして自分の恩師について語り合った。そこには恩師の知らない一面を知ることになった。そこから数日後のことである。

 マルマキアさんと飲んでから数日が経ち仕事もある程度覚えてきたところだ、今日はパトロールをしている。

「あら、新人さん今日もご苦労様ね。」

 優しそうな老婆が声をかけてきた。

「ねぎらいのお言葉ありがとうござます。」

 そうして午前のパトロールを終えた。


 剣聖隊の施設に戻るとそこにはラスティーネ王女と騎士団兵士の新米アレクがいた。

「ご機嫌ようアルスさん。」

「はい、ご機嫌よう。」

「アルスさん、この間はありがとうございます。おかげで村が助かりました。」

「いや、何も大事にならなくてよかったと思う。アレクの避難誘導が的確だったからこそ無事安心して戦えたよ。」

「避難なんか必要ないぐらい、素早く盗賊を成敗したじゃないですか。いやーすごかったな。」

「もしものことがある、王都の近くまで誘導する必要はあるよ。」

 そして自分は本題を切り出した。

「それで、王女は何の要件でここに?」

「そうでしたわ!ヒルブライデ隊長に用があってきましたのよ。」

 そこに仕事を終えたヒルブライデが顔を出した。

「これは、姫様おはようございます。」

「ええ、ご機嫌よう。」

 そこに仕事を終えた剣聖隊の面々が大広間に顔を出す、それぞれが王女に挨拶をして本題に入っていった。


「明日、王国のとある貴族に宴会の招待状をいただきましたの。そこで剣聖隊から数人ほど招集をかけようとしまして......。」

 アレクが横から説明に入る。

「前の一件がありますから、兵力は多くというのが国王様の提案でして......。」

 剣聖隊の面々が顔を合わせる。

「明日、私はスーゼルと共に外せない仕事がある。それにここを空けるのも危うい。」とヒルブライデ

「私も別の護衛任務で外せないです。」

 今、この中で明日動けるのは自分とメガネ、マルマキアさん、ハセクの四人か。

「じゃあ、アルスとマルマキアを出兵しよう。」

「待ってください!」

 メガネがでかい声を出す。

「私も兄貴と共に姫様の護衛につきたいのですが!」

「お前はまだ、怪我が・・・」

「あーそれなら大丈夫ですよ。」

 ハクレが喋る。

「治癒魔法である程度は治しましたから。」

「ん、そうなのか?」

「はい、アルバートが兄貴と行きたいからってうるさいので。私の空いた時間全部彼のために使ったんです。」

「......。」

 食べ物でも奢ろうかと思った。

「ま、まぁわかった許可しよう。」

「よっしゃー!」

 こいつほんとに軍師格の人材なのか?

 一通りの説明を受け場所と日時を教えてもらい、王女一行が剣聖隊の施設を出る。


「ねぇ、隊長」

「どうしたハセク?」

「明日午後から何もないんだよね。彼らの護衛に入ろうかなって。」

「別に構わないがどうする気だ?」

「明日行われる貴族の宴会に参加して怪しい奴がいないか探ってみるよ。前にあんなことがあったんだ。情報ぐらい掴めるだろう。」

「だが、剣聖隊が4人もいたら他の貴族に怪しまれないか?」

「う〜ん、確かにそうだね。」

「それに申請書も出したし今更変えるのも面倒くさいしな。」

 横からマルマキアが会話に入り込む。

「それならあたしにいい考えがあるぞ。」


 そして王都の洋服店に入ったのだが。

「なんだこれは!!」

 そこには赤いドレスを着たハセクの姿があった。

「おーめっちゃ似合ってんじゃん、お前男ぽくないからさぁ。これは受けるぜ〜、お前らもそう思うよな!」

「はい、とってもお綺麗ですよ、ハセク先輩。」

 ハクレがキラキラした目をして話す。

「何かと思えば女装か。だが、似合ってるんだよな元がいいからなのか?」

 とヒルブライデ。

「おーマニアには受けるぞハセク。」

 スーゼルも乗っかる。

「おい、メガネ!なに後ろ向いて笑ってんだ!バカにするなよー!」

「ハセクさん可愛いですね、自分好みかもしれません。」

 とりあえず自分も乗ってみた。

「お前それ全然飽きないのなんなんだよ!」

 顔を真っ赤にして怒っている。

 現在職務時間なのにこういうことができるのは剣聖隊の特権なのかもしれない。しかし良い職場だとつくづく思う。

「とりあえず、妹とか従姉妹とか言っておけば多分バレねーんじゃねーか?」

「そうですね、メイクとか色々教えますよ。」

「髪はウィッグでなんとかなるか。」

 女性陣が一所懸命になっていた。


 洋服店を出てマルマキアと話す。

「いやー明日が楽しみだな。」

「はい、思いの外似合ってましたね。」

「なぁ」

「どうしました?」

「もし、明日何もなければ......。」

「アニキーーー!!!!」

「騒々しいけどどうした?」

「ハセク先輩が笑うなって蹴ってくるんですよ、ひどいったら......」

「お前、あれからずっと笑ってたのか......。」

 そう言って自分はマルマキアの方を見る。

「それでマルマキアさん明日って......」

「いや、ハセクの奴を死ぬほどイジってやろうって話だよ。」

「ああ、そうでしたか。」

 この時マルマキアさんが嘘ついていたことに自分は気づいていた、だけどあえて言及をしなかった......あの時何を伝えたかったのか、わからないままだった。


 こうして明日になり王女と共に貴族の屋敷に向かった——今回宴会を主催する貴族はロクローネといい、王女ラスティーネの許嫁である。王女が狙われている可能性があるが、王国の未来のため宴会を断ることが難しいようだ。


 一方屋敷まで走っている王女の馬車の中では......。

「とても可愛いですよハセクさん!」

「ラスティーネちゃんまで何言ってんのさ!」

「今度一緒にお洋服を買いに行きましょう!」

「僕は着せ替え人形じゃないぞ!」

 馬車は賑やかであった。


 無事ロクローネの屋敷に着いた。それなりにでかい屋敷のようだ庭もまあまあ広く、近くに雑木林がある。

 こちらの編成は剣聖隊が4名、王国騎士団から5名と出ている——自分はラスティーネの近く離れないように護衛をする。ハセクは会場内で偵察、王女の友人役として振る舞うそうだ。アルバートは会場内を巡回、騎士団を二名付ける——マルマキアは庭を巡回、騎士団兵士が一名付く。残り2名は屋敷の門を護衛——ロクローネの屋敷にはお抱えの警備兵が数人いる、王女付近の守りは固くした。


「あ、アルスさん。」

すると聞き覚えのある声がした。

「アレクもここに?」

「ええ、今回アルスさんと一緒に仕事ができて光栄です。」

「前のこともあるし、厳重に警戒しよう。」

「もちろんです。でも、僕が今回担当するのはマルマキアさんのところなので、敵が来ても僕の出番はなさそうだな。いや、まぁ!剣聖隊と僕を比べるなって話ですけどね!」

 はははと言って持ち場に戻るアレク。


「さぁ、エスコートをお願いしますね。アルスさん。」

「それは、将来の旦那に言ってください。」

「まぁ、つれないですね......。」

 何故か悲しそうにする王女

「ほら、行くよ二人とも。」

 ハセクが急かす。


 扉が開き周りを見渡すと豪華な料理、王国内にいる各貴族が集まっていた。壇上を見ると30代くらいだろうか——そこそこなおじさんという感じだ。片手に飲み物を持って話始める。

「本日は来ていただいてありがとう。私ロクローネは王女ラスティーネの将来の夫となることが決まった。将来王国が安泰でいられる国にすることを誓う。」

 ここ数日のことらしいが、王国では王女を政略結婚するように手を回していたらしい。


 そして本格的に宴会が始まり、女王が各諸侯貴族に挨拶をするので自分はついて回ることにした。ロクローネが持っている領土は小さいが頭がどうやら良いようで、国王も一目置いているようだ。


 ハセクの方に目を向けると。

「おお、なんとお美しいことだ。」

「ドワーフでもこのような美しきものがいるのだな。」

「これはこれは、可愛らしいお嬢さんだ。」

「あ、ありがたきお言葉......おほほ......。」

『下手くそすぎるだろ......。』

 かなりの男に言い寄られているようだ。


 一方屋敷の庭では。

「マルマキアさんあそこ見てください。」

 アレクが指を指す。

「んあ?」

 雑木林の方に闇の魔術が充満していた。


 そしてアルバートが巡回しているところでは。

「なんだ、これは......。」

 アルバートの顔が真っ青になった。

 そこは宴会が行われる大広間とは別にある、ロクローネが雇っている屋敷の警備兵が待機している部屋だったのだが......そこには警備兵が3人、何者かに斬られていて死んでいた。

「お前達、これをアルスさんとマルマキアさんに早く伝えろ!」

「「ハッ!!」」

『他の部屋も調べるか......。』

 そうしてアルバートはこの付近の部屋を調べ始めた。


 ハセクのいる場所では。

「お嬢さん、お嬢さんお一人かい?」と老人の声がした。

「ええ、そうで?!」

 この時ハセクは絶句した。かつて100年以上前に見た男の人間と同じだからだ。

「それにしても可愛いねぇ、君にそんな趣味があるなんて。」

 明らかにこの宴会には似つかわしくない小汚い黒いローブを羽織りフードで顔を隠していた。

「お、お前は......。」

「何も怖がることはない、折角の宴会なのだ楽しまねばなるまい。」

『恐らく、周りはこの男を認識できていない、幻術の類か......。』


 一方自分の方では。

「さぁ、私と踊ってくださらない?アルスさん!」

「いや、旦那さんはどうするんですか?」

 そういう会話をしながら常に周りに目を光らせる

『ん?そういえばさっきまでハセクがあそこにいたような......?』

 その瞬間会場の明かりが全部消えた、辺りが真っ暗になり何も見えない。

「アルスさん......。」

 ラスティーネが自分にくっついてくる。

 その時ハセクが居たはずだったところから天井に向かって雷呪文が炸裂した。

 天井に大きい穴が空き、月の光が差し込んできた。

「アルス敵襲だ!!」

 周りは騒然とし出口に人がぎゅうぎゅうになっていった。

「脅かさないでくれよ。雷獄のハセク。」

「アルスお前は王女を連れて逃げろ、ここは僕がなんとかする!」

「わかりました。健闘を祈ります。」

 こうして自分も出口付近に足を走らせたのだ。


 七話に続く......。


世界設定:各種族と寿命


人間:平均80歳まで。

エルフ:2000〜3000年程

ドワーフ:300〜400年程

オーガ:約1000年程

獣人:人間とあまり変わらない。

他にも思いつたら追加していく予定です。


読んでいただきありがとうございます。よくよく調べたら現実の騎士と兵士では身分が違うんですね、今後修正が入るかもです。これからもよろしくお願いします。


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