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第四十六話 真価の偽物

 クフラクはアルバートと共に彼らの屋敷に招待される、彷徨いていた信仰騎士は全員捕え拘束されている。


 アルバートの屋敷だがかなり大きく金持ちの印象を受ける、中に入ると様々な所に壺やら高価な絵が飾られており、より一層と富豪を思わせる。

「なんか、金持ちって印象ですね……」

「まぁ、ウチの家はハグバル家の次に強いからな、父さんのお陰だよ。」

 因みにアルバートの父は侯爵に位置するようだ。

「なんかハセクさんって貴族に見えないんだよな。」

「はは、確かに。」

 アルバートに客間に案内されるが、これも豪華な部屋だ。

 アルバートは椅子に腰をゆっくりと落とし息を抜く。

「大丈夫ですか?体は……」

「ああ、大分慣れたよ。リハビリがてら信仰騎士やら悪魔崇拝者を狩ってる。」

 アルバートは四年前足をやられてか半身不随になってしまったが、立てるように訓練したらしい。

 体に強化魔法をかけても運動神経が損傷しているため動かすことは不可能だ、そのため魔法における物を動かす原理を体に転用し無理やり動かしている。

「あんまり無理しないで下さいね、感触が分からないって……」

「ああ、立ってる時は浮いてる感じがする、正直怖いかな。」

 こんな会話をしていると扉に誰かが近づいてくる、扉が開かられるとハクレが顔を出してくれた。

「クフラク、元気にしてた?」

「はい、元気ですよ。」

「最近は物騒だから結構心配してたかも、ここら辺も嗅ぎつけまわってるし。」

「ええ、信仰騎士団は恐らく俺が面倒見てるルミナスが目当てです、彼女を回収すると。」

「回収……さっき兵士から聞いたが排除だと聞いたな。」

 アルバートは顔を顰める。

「恐らく公にできない何かがあるんでしょう、彼らは悪魔を消滅させるために動いている、なのに悪魔を回収なんてルミナスを何に使う気なんでしょう?」

「明日私達が聞いてみよう、今日はもう遅いし休んでくれ。」


 アルバートに客室に案内される、積もる話もあったので話したかったが明日しよう、客室には疲れたルミナスが既に寝ていた。


 クフラクはベッドに入ると再び嫌な夢を見てしまう、今度は何を見るのだろうか。


 時は遡り四年前になる、彼は共産国との戦いが終わり帰国した所から始まる。

 クフラクはしばらくの間、剣聖隊の施設で過ごす事になる、彼はハセクから情勢がある程度落ち着いたら自分の好きな人生を歩めと言われ、それを実行したかったが、まずは家族に会いたいと考えてしまう。

 クフラクの精神はある程度成長し12歳とは思えぬほど大人びていた。

 彼の家は貴族家であり、ラスティーネの婚約者として王都へ使した挙句、名誉を張るため剣聖隊にまで駆り出された、政治利用を目的とされており彼の父は悪どい性格だ、自分の息子を王族の婚約者にすれば主権を利用できるとでも考えたのだろう、最初はロクローネという彼の叔父に当たる人物だったが、宴会襲撃後は命の危機を感じそれを甥っ子に押し付けたのだ、そこを彼の父親は利用した訳だがあまりに彼が不憫でならない。

 そんなこんなで彼は自分の家に恨みを抱いていた訳だが、成長した後ではその見方は変わっていた、一応育ての親だし感謝の一言ぐらい言えればと考え彼は実家へ帰省するのだが……。


「何しに帰ってきた!」

 これが久しぶりに会う父親の第一声である、あまり歓迎はされてないようだ。

「なんだよ、ただ帰ってきただけじゃないか?」

「それが問題なのだ!お前は王国で消される手筈だったんだ!」

「へ?」

「兄が危機を感じ取り私に話を持ってきたのは好都合だった、姫との婚姻が済めば私の家は権力のある兄より勝る!なれば優秀であるお前の長男を出させようと考えたがいつ襲われるか分からん、失敗した場合に跡取りにも必要だからな。」

「じゃあ、俺を消して兄さんを?」

「そうだ!色々考えたんだぞ、なのにハグバル家に圧力をかけられこの様だ、その上エヴァンス王は悪魔に取り憑かれたとなって疑いが私の家にもきている、お前が王都へ出向いてから災厄続きだ!」

「なんかちょっとムカつくな、来なければよかった。」

 クフラクは呆れて背を向けると。

「簡単に帰せると思うなよ!」

 クフラクの父は剣を手に持つ。

「これで、今度こそお別れだ。お前がいけないのだ、使用人との間に出来た子など知れれば……」

 剣を振り下ろした瞬間、クフラクの父は火だるまになる、何が起こったのか混乱している。

「あああああああ!!助けてくれクフラク!」

「アホ言うなよ、俺を殺す前提でペラペラ喋ってさ、聞きたくも無かった。」

 彼は家を出て放浪して行く。


『ひどい親だな。』

 頭に声が聞こえる、恐らくサタンだろう。

「なんで手を出したんだよ。」

『お前がいなくなっては困る。』

「お前が手を出さなくてもなんとかしたよ。」


 サタンと会話をすると幼い頃の記憶が蘇る、アルスにも話をこぼしたが幼少期はあまりご飯は食べれなかった、皆クフラクを軽蔑する眼差しで見るため使用人の間でもあまり良い待遇はされてない、ただ一人の使用人を除いては。

『あの人は今どうしてるのだろう……あの人が本当の母であれば礼を言わなければならない……』

 希望は薄いがもう一回会ったら真実を聞いてみたい、なぜ自分にだけ良くしてくれたのかを。

 クフラクはその記憶を頭に思い浮かべながら、意識が現実へと移り変わる。



 クフラクは目を覚まし、朝を迎えるのだった。

「……眠い。」

 目覚めが悪かったのか愚痴をこぼす、昨日の夢よりはマシではあるが、もう一度見たいとは思わない。

「おはよう!」

 ルミナスは既に起きていて元気が大いにある、子供の朝って凄い活力があるな……。

「私外行きたい!」

 手を引っ張り窓まで誘導される。

 庭園と言うべきか、昨日は夜であまり分からなかったが、豪勢な庭であり上から見渡すと柄の様になっている、あの中に放り込まれたら迷子になりそうだ、他にも植物が動物の形になっていたりと維持費がかかりそうでレヴン家の財力を少し思い知った。

 ルミナスを外に出すと丁度アルバートとハクレが庭園の東屋で休んでいた。

「おはようございます。ほら、ルミナスも……」

 クフラクは二人に挨拶するが、ルミナスはまだ会って時間も経たないためクフラクの後ろに隠れるのだった。

「大丈夫だよー。」

「初対面だからな、仕方ないさ。」

 二人は大丈夫だとルミナスに言い聞かせる。

「そうだ、ルミナスちゃん。ラールと一緒に遊んでくれない?」

 ハクレが提案する、因みにラールはアルバートとハクレの子供である。

「良いな、ハクレも一緒に遊んであげてくれ。」

 アルバートは思いついたように三人で遊んだらどうだと話す、アイコンタクトでここから離れるようにも見えるが。

「そうね、じゃあ。ルミナスちゃん一緒に遊びましょう?」

「行っておいでルミナス。」

「うん。」

 ルミナスはハクレと共に屋敷へ行きラールを庭園まで連れて来るようだ。

「さて、クフラク。昨日の話だが、三人が来る前に話を終えよう。」

「はい。」

「彼らを拷問にかけた結果、奴等は信仰騎士でない可能性が出てきた。」

「信仰騎士じゃない?」

「ああ、まずはルミナスの存在について聞いてみたんだ。彼らは最初消滅を目的として動いていたと話していた、そして回収の話を持ち出すと黙秘し始めたんだ。」

「都合が悪いって事?」

「そう、捕まえた信仰騎士は四人で他は全て殺してしまった、四人は別々の部屋に移し一人ずつ取り調べを受ける形になる、もし一人一人が回収について違う回答が返ってくればそれは黒であり、それを避けるため奴等は黙秘を利用している。」

「なんとかして聞き出さないと……彼らはルミナスを利用しようとしてる訳だから……」

「信仰騎士だったら悪魔の浄化だ、生かして何かを利用するような連中じゃない、それを聞きたいのに彼らは何も言わない、困った話だ。」

 拷問方法だがかなり酷い方法だ、肉を切り落としてまたくっつけるらしい、それでも喋らないのは何故なのか。

「少なくても彼らは知ってる訳ですね?」

「だろうな……闇の魔術で口を割らせた方が早い、そのためには高度な闇の魔術を使える者でないと。」

「だったら、セブラブさんに頼めば…‥」

「そうだな、共和国領に行けば会えるな……。」

 信仰騎士?の目的はルミナスである事が分かった、彼女を守り抜くために立ち回らなければどうなる事か、絶対に彼らの手には渡らせない。

「ルミナス……彼女は一体なんなんだ?」

 アルバートは再び思考する。


 思考している中屋敷から出て来たのはハクレとルミナス、4歳の男の子、多分ラールだろう。

「くらえ!」

 ラールは木の棒でクフラクのスネを叩く。

「コラ!何やってるの、暴力はしない!」

 ハクレがお母さんやってる、なんか考え深いな……。

「ラールは思いの外わんぱくに育ってね、ルミナスはそれでも遊んでくれるかい?」

 アルバートは申し訳ながらもルミナスを見て話す。

「うん、一緒に遊ぶ!」

 なら良かったとアルバートは安堵し、三人は庭園の中で遊び始めた。

「クフラク、私の方から馬車を出すよ。王都へ行く前に共和国領にある王宮でセブラブにルミナスを見てもらった方が良いかもしれない。」

「だったら、囚人護衛も一緒に引き受けますよ。」

「ああ、だったら有難い。兵士も何人か付けるけど君が居てくれれば安心だ。」


 しばらく屋敷で過ごした後、馬車が2台と出てきて、それに乗る客人用の馬車にはクフラクとルミナスが乗っておりもう一台には囚人四人とアルバートの兵士が乗っている、彼らと共に共和国領へと向かって行く。



 一方ハセク達はハグバル家の討伐大隊本部で仕事をしていた。

 ハセクは自室で淡々と事務作業をこなしている、そんな中一人の女性隊員が入ってくるが。

「隊長、レヴン家に動きが……馬車が2台と動いています。」

「どっちに向かってる?」

「共和国領です。」

「恐らくセブラブに吐かせる気だろう、馬車には囚人が?」

「はい、一つの馬車には囚人と一部の兵士が。もう一台はレヴン家を訪れた客人だそうで。」

「うーん急に来て囚人を寄越せなんて出来ないしな、盗賊に襲わせても共和国領に近いから万が一失敗した場合に口封じが効かないか……」

「馬車の囚人は信仰騎士だと言われていますが、どうでしょう?」

「恐らく信仰騎士じゃない。その名を語った別の組織だと睨んでる、彼らの目的は箱の中身のはずだ。」

「あの箱の中身を知ってる者がいると?」

「じゃ無かったら王国領を中心に練り歩いていない、最近は王国領が信仰騎士とその名を語る偽物で溢れている、それはなんの為か……」

「サタン降臨に勘付いていると?」

「ああ、一部の奴が組織しサタンの宝を狙っている。主に信仰騎士の名を語る偽物にだ、それが悪魔崇拝団体なのかは分からないが、このサタン降臨は僕たち大罪悪魔討伐大隊しか知らない、僕達の中にネズミがいるかもしれないが、あちらにも悪魔がいてサタンを快く思わない奴もいるのかも知れない、それかサタンを守るために動いているのか。」

 頭を抱え出すハセク相当悩んでいるようで見えない答えに怯えていた。

「まずは目先の問題を解決しましょう、未来なんて分かりませんし。」

「ん、ああそうだねごめん。」

「では、この2台の馬車は私達が赴き上手い事交渉しましょうか?」

「ああ、頼んだ。」



 この後ハセクの部下はクフラクの乗っている馬車へ赴き囚人をこちらで預かるよう交渉をするつもりだ……。



 四十七話に続く……。



 世界設定:キャラクター


 アルバート、彼は第一話の時点で出ているキャラクターであり、姿は青髪メガネという印象で作成している、彼は貴族の出身であり、当時彼の隣の領地にはハクレが住んでおり幼馴染である。属性魔法は氷結であり、使う剣の型はソルブで単体戦では意外と負けなしであり模擬戦でも負けなし、頭が非常に切れるため軍師として才がある、頭の回転が早く素早い状況判断も可能だ。下半身を怪我してから立つことは困難になり生活難を強いられたがハクレと共にリハビリを続け下半身には魔法で動かし車椅子いらずになった、立ってからは今まで通りに近い生活に戻ることが出来たが常に頭を働かせて足を動かしているのでちょっとずつ休憩しないと辛いようだ。統合歴二年時点で現在26歳であり趣味は読書で変な物を集める趣味もある。


読んで頂きありがとうございます。もうしばらくはクフラク主体の話が続きます、よろしくお願いします。

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