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第四十五話 謎

 クフラク達は森を抜け城塞都市アルファムから少し離れた寂れた村へと赴く、そこにはヘレルが住んでおり孤児院を営んでいた。

「ここがヘレルの住んでる村?」

「ええ、私は表向きは魔法研究者ですが、ひっそりと孤児院も営んでいます。」

「ふーん」

 彼に案内され子供達を孤児院の中へ連れて行く、中は案外ボロボロだが中に居た複数の子供達は幸せそうに見える。

「こんなに取り込んじゃって大丈夫なの?お金とか……」

「大丈夫ですよ、私はアルファムの学校の教員ですから、新人ですけどね。」

「でも、ヘレルがいない時は……」

「意外と村の皆さんも世話好きなので心配はしていません。」

 嘘は言ってないように聞こえる、でもこのまま増え続けるとパンクしそうだ、王国の支援を受けて子供を何人かラスティーネのいる王都に預けることも可能のはずだが。

「ここには様々な種族がいるけどヘレルは人間だろ?エルフやオーガ、ドワーフを育て上げるには時間が足りないよ?」

「そうですね……それでも私なりに彼らを育てあげます。」

「強情だな……」

「そんな事より、また仕事を頼みたいのですが……」

「ええ、またなんかあるのか?」

「宝箱に封印されていた悪魔ですが、あなたの方で面倒は見れませんか?」

「へ?」

「あいにく私達の村は国の支援が行き届きません、寂れたこの村を見たら分かるでしょう。そんな中で信仰騎士団や悪魔崇拝者団達がここを訪れてしまった時この子を殺すか連れ行かれ信仰対象になったりと不憫です。」

 彼の言う事は理解できた、国の支援が無ければここを守る事など不可能だし、子供達を王都へ送ることも難しい訳だ。

「それに、まだ一部の国民は悪魔に寛容ではありません、こんな事言いたくありませんがこの子を引き取れば変な勘違いをして村を焼かれかねません。」

 確かに、王都以外は悪魔に寛容ではない、一部の悪魔は非難から逃れるため王都と帝国地下都市に移動しようとしている、グランハースも寛容なためそこに行きたがる悪魔もいるようだ。

「報酬はどうなります?」

「そうですね……これでどうでしょう?」

 ヘレルは懐から赤い石を取り出す。

「これは、魔法石の一種ですが、少々特殊です。売れば高値になります、身につけていれば魔力も多少なりとも上がるようです。」

「ああこれで十分だよ、彼女は王都の孤児院に送ればそれで大丈夫だよね?」

「ええ、彼女の安全だけ保証できればそれで十分です。」

 ヘレルと仕事の契約をし夜も遅いので彼の孤児院で一晩過ごすことにした、悪魔の女の子は目を覚ますことはしなかった。


 翌日、クフラクは四年前の夢を見ることになる、テレスが瓦礫の下敷きになる夢を見ることになり彼は動悸と乱れた呼吸で目を覚ます。

「ハァ…ハァ…なんだってこんな夢を……」

「どうしたの?」

 隣を見るとテレスが見えるが彼女じゃない、昨日宝箱から出てきた女の子だ。

「ああ、ごめん……何でもないんだ。大丈夫?痛いところとか……」

「お腹すいた。」

「ああ、そうだよね。ヘレルを起こさないと。」

 因みにだがラスティーネから出たテレスだが、共産国の城塞都市以来出ていない、彼女にはもう会えないのだろうか……。


 ヘレルも丁度起きており子供達も朝食の準備をしてくれていた。

「あ、起きましたね。もう出来ますよ。」

「ああ、ありがとう。気を使わしちゃって。」

「これから王都へ向かうんでしょ?あんな石っころじゃ見合いませんし食べてください。」

「じゃあお言葉に甘えて。」

 各々が席に着き朝食を食べる、女の子の悪魔の方を見ると腹が減っていたのか、がっついている。

「おーよく食べるね。」

 ヘレルが感心してる。

 悪魔は物理的な食事を必要としない者も多いがそれは種類によるらしい、だが彼らは餓死する事はなく、攻撃して倒しても死んだ事にはならない、いずれは復活し再び活動を起こすようだ。

「名前なんていうの?」

 隣の子供が悪魔に尋ねている。

「わかんない。」

 もぐもぐと食べながら答える悪魔、名前がないと困るなー。

「せっかくだしクフラクさんがつけてみては?」

 ヘレルが提案するが、俺なんかで良いのか?

「名前ないと私も困る。」

 何故か自分も困ると悪魔が話す。

「ええ、宝箱から出て来たから、そこから文字るか。」

 思考を巡らせても良いのが思い浮かばない、ネーミングセンスが無さすぎて絶望する。

「では、ルミナスではどうでしょう?」

「ルミナス?」

「ジュエリーでは少々古臭い、そう思いませんか?」

「う、確かに……」

 実は安直にそれを考えていた。

 ヘレルのおかげで彼女の名前は決まった、これから彼女と王都へ向け出発する。


 ヘレルに礼を言い彼の孤児院を後にする、王都までは歩いて向かう、馬車を捕まえることも考えたが途中で例の信仰騎士団や悪魔崇拝者団体が馬車を止める事がある、あんな野蛮な奴らに捕まるぐらいなら、歩いて多少遠回りでもリスクは避けるべきだ。

「さて、ルミナス行こうか。」

「歩くの?」

「大変だけど頑張って、君を安全に届けないと。」

 だが、歩いてるだけでは疲れてしまう、道すがらアルバートとハクレの屋敷がある、そこに寄ってから再び王都に目指すのもありだ、野宿はなるべく避け近くに宿屋があるならそこを頼ろう。


 平坦な道を歩いているとルミナスから話しかけられる。

「クフラクって悪魔なの?知ってる感じがする。」

「ああ、なるほど。俺はただサタンと契約してるから闇の魔術が使えるってだけだよ。」

「そうなの?でも、サタン様は滅多に人と契約しないよ。」

「アイツそうなのか……」

 契約した頃には時々頭にサタンの声が聞こえてきた、彼と会話する事が多かったが最近はしてないな。

「サタンってどういう悪魔なの?ルミナスの居た世界の話を聞きたいな。」

「魔界はね、サタンが仕切ってるの。みんな平和に暮らしてるよ。」

「へぇー意外とそうなんだ。平和って事は争いはないんだ?」

「争い?」

「まぁ、そうだな……喧嘩みたいなもんかな。」

「喧嘩もないよ。」

「じゃあ良い世界かもね。」

 多分子供であるため戦争を知らないのだろう、クフラクはそれ以上深くは聞かない事を選んだ。

 しばらく歩いていると夜が老けてきた、これ以上歩いて目立つ訳には行かない、近くに宿もないし野宿するしかなかった。

 焚き火をするが目立ってしまうため、見張りとしてクフラクが立つ。

「クフラク寝ないの?」

「今は寝ないかな、ルミナスは寝てて大丈夫だよ。」

 そうは言っても悪魔に睡眠の概念があるのだろうか……色々と勘繰ってしまうが今は見張りに集中しないと。

 クフラクが周りに目を光らせ集中する、すると誰かがこちらに近づく音がする、それに気づくと火を消火し武器を構え始める。

『誰だ?』

 クフラクは音のなる方を見ると甲冑を着た兵士がウロウロしている、おそらくエルスター信仰騎士団だろう、ここの所増えてきている、何が目的だ?

 彼らは闇の魔力に敏感だ、おそらくルミナスを嗅ぎつけている。

 クフラクは魔法で地獄耳を使い彼らの会話を耳にする。

「おい、ここにはいねぇのか?」

「確かこの辺りだ、近いはずだぞ。」

「早く回収して宝箱に詰めねーと俺らがヤバい。」

 話し声的に数人といるようだ、宝箱がどうこう言ってるがルミナスの事か?

 彼らの会話を集中して聴いていると、誰かが服を引っ張る感じがする。

「なんで怖い顔してるの?」

 ルミナスを起こしてしまった、徐々に不安になっているのか闇の魔力が少しずつ上昇している。

「ん、濃いぞ。急に濃くなった。」

 男が複数人こちらに近づいてきている、応戦するか……

「貴様ら!ここで何をしている!ここはレヴン家の領地だぞ!」

 どうやらここの領地を見回っている兵士が信仰騎士団を発見したようだ。

「私達はただ悪魔を倒すべく!」

「そんな戯言聞かんわ!取り調べを受けてもらうぞ!」

 話の内容が食い違っている、さっきは回収を目的としていたが殺すと言っている、恐らく公には出来ない事なのだろう。

「ええい!お前ら奴らを殺せ!」

 ここで信仰騎士団とここの領地の兵士とで争いが起きそうだ、今の内にここを後にしよう。

 クフラクはルミナスの手を引いて近くの茂みに隠れ彼らに見つからないよう距離を取る、いよいよ殺し合いが始まり、こちらに目もくれないようだ。

「大丈夫、俺についてきて。」

 ルミナスを上手い事誘導するが、馬が走る音が聞こえる、しかも中々多勢であり囲まれたらルミナスを安全に守れるか保証できない。

「どうする……」

「クフラク……」

 ルミナスはクフラクの不安を読み取るとさらに魔力が上がり不穏なオーラを醸し出す。

『ヤバい、見つかる!』

 クフラクに多くの人間が集まる音がする、四方は固められ逃さないと意思を感じる。

「出てこい!信仰騎士!そこに隠れいるのは分かっている!」

 明かりを照らされ、聞き覚えのある声が聞こえる。

「ん?この声……」

「クフラクか?なんでここに?」

 正体はアルバートでありクフラクを信仰騎士の一味だと勘違いしたようだ。



 一方ハセク達はクフラクが襲撃した民家に立ち寄っていた。

「はぁ、宝箱までやられてるなんて。本当に信仰騎士を全員殺したんだよね?」

「本当です。撃ち漏らしはありません。」

「ハセク隊長、仮に信仰騎士が宝箱に辿りついても開ける事はできません。」

「え、なんで?」

「この宝箱には天性の魔法を一切寄せ付けない性質でして、闇の力を有している者でないと開ける事はできません。つまりこれは魔界から送られた宝箱という事になります。」

「んーじゃあ悪魔崇拝団体が……彼らにも内乱があるのか?」

「どちらにせよ、この硬い宝箱を素手で壊すなど人間じゃありません、恐らく新たな勢力ができたのでは?」

「だったら勘弁して欲しいな。」

 ハセクは頭を悩ませていた。

「隊長、宝箱の中身はご存じで?」

「ベルフェゴールにはサタンが大事にしていた代物だと聞いている、中身は彼も知らないらしい。」

「そんな物が何故ここに?」

「数ヶ月前にサタンは魔界を降りたらしい、つまりこの世界のどこかにいる、この宝箱は彼が一緒に持ってきた代物さ。」

「彼が大事にしていた物はなんでしょうね?」

「それが知りたいからここに居るんだよ、お前達は引き続き中を調べろ。」

 ハセクは周りに指示を飛ばし、その場を後にした。



 四十六話に続く……。



 世界設定:精神力と魔力の関係。

 魔力は精神力とも関係している、今回のようにルミナスは不安になると防衛本能として魔力が高まる、体の中では動悸が激しくなり血圧が上がるため、魔力変換の際に過剰なまでな魔法を放つ事がある(属性魔法に限る)。では、血圧が下がる悲しい状態や鬱になると魔力は弱まり放つ事もままならに事がある。幸せな感情や恨み妬みの感情は属性魔法よりも天性と闇の魔術に影響する、二十八話でヒルブライデが魔力の制限を受けていたのにも関わらず闇のオーラを放てたのはこれが原因と言えるだろう。


 読んで頂きありがとうございます。これからもよろしく願いします。

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