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第四十四話 渦

 第二大戦終結から四年後、剣聖隊の人間はそれぞれの道を歩むことになる、ある者は夢を叶えるため、またある者は事を正すため。


 王国領城塞都市アルファム、帝国領から近く第一大戦時は監視という名目で置かれていた、停戦協定が結ばれると王国の冒険者が集う場所になり、戦争には干渉せずとしたが、第二大戦時帝国に乗っ取られた大会議場まで距離が近かった為この城塞都市から派兵したとか、現在は帝国から来る輸入品をここで検品し各王国領領地へ再び輸出する場所である、規模もそこそこ大きく人が多い、城にはエヴァンスの息子であるジョグレン王子が住む予定だったが、第一大戦で戦死した為今では違う人が管理してるようだ。

 そんな城塞都市にクフラクは冒険者ギルドに立ち寄る。

 ドアを開けると、周りには様々な職業の方が多い。

「お、クフラクじゃねーか!」

 席に酒を飲むオッサンを見かける。

「ああ、今日も飲んでたんですね?」

「もちろんだ!儲かってるからなーお前も飲むか?」

「はは、また今度お願いします。」

 なぜ、儲かっているかだが最近は野盗やらモンスターの被害は少ない、ただし統合国にあだ名す輩が増えたため彼らの拠点の排除やら何やらと国が必死こいて片付けたいようだ、なので国からギルドへ依頼を出し、多額の報奨金が出る、賞金首もあるし、よくよく考えたらこれって俺たちの税金だよなと考える者もいるが、金額が大きいためそんなの気にしない。

「すいません、今出てるもので高額な仕事はありますか?」

 クフラクは受付嬢に確認をとる。

「そうですね……どれもクフラク様がお気に召すような物は……」

「やっぱり、相手は人……」

「ええ、すいません。」

 クフラクはハセクに人殺しは極力しない人生を送って欲しいと願われた、彼の思いやりもあまり無駄にしたくはない。


「はぁー」

 クフラクは椅子に座り休み始める。

「何ため息ついてんだよ、お前だったら無双できるだろ?」

 オッサンが再び話しかける。

「俺だって好きで人殺ししないよ。」

「ああ、そうか、すまん。」

 ちょっと気を使われてしまった。


「あの、少しいいですか?」

 するとメガネの優しそうな青年が声をかける。

「ん?」

「あなたクフラクさんですよね?仕事を依頼したくて……」

「内容によるけど……」

「実は魔女の拠点を発見しまして、そこを叩いて欲しいのです。」

「やだよ。」

「そんな……」

「第一人殺しはしたくない、てか、こういうのはお国の仕事だろ?」

「ええ、そうですが……最近はエルスター信仰騎士団が練り歩いています、彼らが先に見つければ被験体の子供達も敵とみなして殺してしまいます、闇こそ悪だと謳う連中ですから……」

「被験体か……」

 テレスの顔が脳裏をよぎる。

「お考えを……」

 紙だけ渡され、去って行った。


 しばらく自問自答し集合場所に赴いてしまう。

 場所は城塞都市からそんなに離れていない、森の中で待っているそうだ。

 森の中に入ると早速メガネ男を見かける。

「来てくれると信じてましたよ。」

「ああ。」

「民家が見えますよね?」

 指を指した方向に目をやると民家がり灯りがついている、人がいる証拠だ。

「私は魔法が使えます、こう見えてかなり強いですよ。」

「わかった、あと何て呼べばいい?」

「そうですね……ヘレルとお呼びください。」

 なぜ、考えたのか分からなかったが、クフラクを先頭に民家へ足を運ぶ。

「中に人が居ますね。」

 民家に近づくと男女の声が混じっているのが分かる。

「これ、本当に魔女の拠点なの?」

「本当ですよ!信じてください!」

 ヘレルが大きな声を出すと、ドアからデカイ男が飛び出してくる。

「うるせーぞ!ガキども!何時だと思ってんだあああああ!!」

「いや、お前がうるせーよ。」

「たく、ここは危ないから、早く他所へ行きな。」

 男がドアを閉めた瞬間クフラクは中を確認する。

「男女が二人ずつ、開けた瞬間に闇の魔術を感知した、この民家は闇の魔術を検知されないよに出来ている。」

「お見事です、では早速。」


 民家の中には男女が四人おり、テーブルを囲い酒を飲みながらトランプを楽しんでいた。

「誰ださっきのガキども?」

「知るかよ、そろそろ買取業者が来るからな、このままウロウロされるとたまったもんじゃねぇ。」

「確かに、バレたら殺されるからな。あの男は危険過ぎる。」

「じゃあ、とっとと始末するよ。」

 男女四人は武器を持ってドアへ向かって行くと、二つの大剣がドアを突き破りクフラクが潜入する。

「とりあえず、降伏すれば殺さずに済むけどどうする?」

 クフラクが忠告する、彼の両手には大剣が装備されており、イカつい印象を受ける。

「何が降伏だ!商売の邪魔しやがって!」

 男が斧で攻撃すると大剣で切り上げ斧が粉砕する。

「な、なんだ?!」

 後ろにも一人姿隠しの魔法で襲ってくるのが分かる。

 クフラクの後ろに魔法陣が出現し普通サイズの剣が飛び出てくる、背中を狙う者の攻撃を防ぐ事ができた。

「テメェ、何もんだよ?」

「別になんだっていいだろ?」

 クフラクは大剣を床に突き刺して後ろの魔法陣から出てきた剣を掴む。

 女が二人、斧を壊された男の背後から飛びナイフと弓で狙っている。

 撃たれる前に足に強化魔法をかけて彼女達の背後へ回る、剣の打撃で彼女達は気絶する、剣は模造刀であり刃はない。 

「ち、ちくしょおおおお!」

 男がクフラクに殴り掛かろうとすると、拳を手で受け止め力比べが始まる。

「はは、バカめ!お前みたいな貧弱な体で俺に勝てるのか?」

「試してみるか?」

 クフラクは受け止めた拳を握り潰し男の手はぐちゃぐちゃになる。

「あああああああああああああ!!」

「ば、バケモンだ……」

 一人いる様だが、逃げるのかな?

 逃げようとしたのか姿を消してドアの方に向かって行くが。

「逃しませんよ。」

 ヘレルが前に立ち金縛りをかけた、逃げようとした男は姿を現し泡を吹いて倒れてしまった。

「お見事ですよ、クフラクさん。あなたが居なかったらどうなっていたか。」

「なんか胡散臭いなー」


 怪しいと感じつつも民家の中を散策し魔力が充満している場所を探し始めた、カーペットの裏に地下へ繋がる道を見つける、中は妙に死体臭い。

「間違いなさそうですね。」

「ああ、早く見つけよう。」

 地下は思いの他広い感じだ、降りると最初に血だらけの拘束椅子があったり棚には薬品が多く敷き詰められている。

「全く、なんで魔女達はいなくならないんだ。」

 クフラクが言葉をこぼすとヘレルが拾う。

「ええ、全く。彼女達は帝国の魔女狩りでボスであるゴメリウスを倒したのにも関わらず一向に減らない、それどころか被害は増えていく一方ですね。」

「一度手を付けたんだったら最後までしろってんの。」

 クフラクはかつての剣聖隊を思い浮かべる。


 前に進むと独房が多くある、ネズミやら虫が湧いている。

「もう、生きているとは思えないな。」

「ええ、残念ですが一足遅かったか……」

 牢の中には手錠で繋がれた子供が腐っていた、正直見るに耐えない。

 さらに奥に進むと数人と生きている子供を発見する。

「大丈夫助けに来ましたよ。」

 ヘレルが落ち着かせるように訴えかける。


 クフラクが周りをウロウロしていると、ある物に目がいく。

「ヘレルこれは?」

「さぁ、宝箱の様ですが……封印されてますね。」

「封印ね……」

 人一人入れそうな宝箱だが、鍵が付いており鎖でぐるぐるに巻かれている。

「私の天性の魔法でも厳しいでしょう」

 ヘレルは手を近付けただけでバチっと弾かれてしまう。

「壊せばいけるんじゃない?」

 クフラクは鍵のついてる部分をパンチで破壊して解錠に成功する。

 パカっと開けると度肝を抜かれた。

「な、なんだこれ?」

「うーん悪魔ですかね?」

 そこには女の子の悪魔が眠っていたが、何か既視感を感じる、テレスだろうか、顔つきも似ているし以前の体型とそのままだ。

 このままにしておくのもまずいので、保護した子供達と一緒に民家を後にするのだった。

 

「おい、お前達こっちだ!」

 子供を輸送させるようにと御者と手配した、馬車に子供達を乗せてその場を後にする。

「ありがとうございます。助かりました。」

 ヘレルは御者に礼を言う。

「別に良いよ、ただ早くこの森を抜けねぇとダメみたいだ。」

「何かあったんですか?」

「ああ、エルスター信仰騎士団がこの森で死んでいたんだよ。」

「じゃあ、王国が?」

 クフラクは誰の仕業か聞いてみる。

「どうなんだろうねぇ、奴らはただエルスターって名ばかりの異教徒さ、王国は排除したがってるが悪魔崇拝者団体かも知れねぇ、このところ王国領も治安が悪い。」

 不安を口にする御者、どちらにせよエルスター信仰騎士団との接触は避けられたが誰の仕業だろう。


 次の日には王国領の軍が民家を視察し男女四人の野盗を拘束する、民家には魔女の道具が存在してもその本人がいない、王国領の政府は血眼になって捜索をする。


 その拘束した野盗達だが、ハグバル家が所有する土地へ何故か輸送された、ハセクは自分の領地に大罪悪魔討伐大隊の本部を作り、仕事をしている。


 ハセクの自室にて事務作業を行っており、扉を叩く音が聞こえる。

「ハセクさん、客人です。」

「はーい、通して良いよ。」


 ハセクの自室には野盗が四人拘束されて入ってくる。

「やぁ。」

「も、申し訳ねぇ!予想外の出来事で……」

「ああ、分かってるよ。僕もびっくりした。」

「なら……」

「でも君たちが奴らとグルっていう線もあるよね?」

「な、何を言って?!俺達は雇われた通りに仕事をこなしただけだ!!」

「ふーん、ちなみにさ子供に襲われたんだよね?どういう子?」

「そ、それが分からなくて、力はガキとは思えねぇぐらい強い!」

「なんだそれ……、信仰騎士団を殺して、闇商人まで雇ったのに水の泡だよ。」

「す、すいません!もう一度チャンスをくだせぇ!」

「嫌だよ、お前ら被験体はなるべく傷物にしないように言ったよね?」

「ま、まさか……そんな事はしませんよ……ただこっちだって仕事ですから疲れていただけで。」

 口達者な野盗に稲妻を飛ばすと彼は丸こげになる。

「ゆ、許してください!命だけは!」

 隣にいた野盗も命乞いを始めるとハセクはイライラし始める。

「お前達、王宮には事故死として処分しておけ、男は執拗に殴って女は犯せ、そして上手い事野盗の襲撃として処理しろ。」

「は!」

 遺体と三人は兵士によってどこかへ連れて行かれる。


「全くどうしてこうなった、僕達の進むべき道は……」

 ハセクは唇を噛み締め窓の外を眺めるばかりだった。



 四十五話へ続く……。



 世界設定:大罪悪魔討伐大隊


 この大隊はハセクの有志によって集まり結成されたものである、目的は大罪悪魔の支配をさせない為戦うのだが、肝心の大罪悪魔の居場所が掴めていない、あの手この手で場所を探し出し、多少荒っぽくなっている。このままだとエルスター信仰騎士団のように内部分離が起き反勢力として回る事を王国領は警戒している。この大隊の隊員達は基本的に戦闘能力が高く、一部の上位の隊員が権力を振り回していると噂される。ハグバル家の管轄であるため資産やら何やらとお金の面では困らない。まだ悪い噂は世に出てない、もとい出させないようにしている。ハセクも薄々この大隊は腐っていると分かっているがなぜか解体はしない。


 読んで頂きありがとうございます、この章で終わりにできればと思っています。これからもよろしくお願いします。

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