第四十三話 終決
テレスミクロ達はロート王の攻撃に対抗するため激突する、彼女達の戦いは終わりを告げようとしていた。
「来たなロート王!」
「剣聖めこれ以上の奇跡は起こさせんぞ!」
ロート王は赤い甲冑を着ており目立っていた、前進してくる王国兵士は次々と殺されておりその強さは本物だった。
武器は斧槍でリーチもあるし振り下ろせば強力な斬撃となる。
ロート王はハルバードを振り回し雑魚を一蹴するとテレスミクロに接近する。
「貴様、私の道を阻むなら死を持って償うのだな!」
「そう簡単に死ねるか!」
攻防が始り、良い勝負をする、ドルク程強い訳ではないが苦戦を強いられる。
ロート王は地面から魔法陣を形成し影の手が襲ってくる。
「うわああなんだこれ!」
王国兵士は動揺し、影に掴まれた兵士は魔法陣へ吸い込まれしまう。
「ハクレ!頼む!」
ハクレは光のカーテンを出し周辺の魔法陣は消え失せる。
「この信徒どもが!調子に乗りおってからに!」
戦いは泥沼化していきお互いの兵士が屍の山を築くばかりだった。
アルスは周辺の共産国兵士を片付けるとテレスミクロと合流しロート王を二人がかりで倒そうとする。
ロート王はうまいこと二人の剣を防いで立ち回るが反撃が来るとアルスとテレスミクロは究極型に切り替えてその攻撃を防ぎ、反撃をする。
反撃は見事に決まりロート王に斬撃が入る。
「ヘイカ!」
ワタナベは中央が不穏に思い参戦してきた。
「私が相手です。」
ハクレがワタナベと対峙しロート王の元へは行かせなかった。
テレスミクロが攻撃を仕掛けるとハルバートで絡めて地面に突き刺し剣を動かせなくした。
テレスミクロは剣を抜こうとした瞬間、ロート王は腰から魔剣を引き抜きテレスミクロに攻撃を仕掛けるが、避けられてしまう。
魔剣は炎を纏っており迂闊に近づけば焼かれそうなぐらい熱い。
ガルガンドの型で剣の凌ぎ合いに持っていけば負けるだろう。
テレスミクロに再び攻撃を仕掛けると氷結の壁を作りロート王へ押し寄せる、剣で防ぎ、押し寄せる壁を止めると破壊する。
その時、正面からアルスが飛んできて攻撃を防ぐとアルスはロート王を飛び越えて後ろに回る。
ロート王はアルスとテレスミクロに挟まれる状態になり、テレスミクロが自分のハルバートを飛ばして来たので体をズラすも左肩に突き刺さってしまう。
肩に入ったハルバードを抜こうとするが、後ろと前からアルスとテレスミクロの攻撃を喰らってしまい、致命傷になる。
「陛下!」
共産国兵士達は騒ぎ始め、自国の王の姿を受け入れられない者もいた。
「お前らの負けだ!降伏しろ!」
後ろに固まっていたハセク達が前に出てくると、カラス座二人に拘束されたローザ王妃の姿もあった。
「負けか……」
キュキュルスも状況を判断し武器を捨て、両手を上げた。
「我々、軍事国家グランハース共産国は王国の元へ降る。お前達の勝ちだ。」
ロート王の発言により、グランハースは王国の統治下になった、損害は多く今回の戦いでは王国の一万以上の兵士は七割を失ったとされる、これが帝国側や王都内で起きた戦いをも入れるとその損害が実に大きいものだ。
「マジで疲れた。」
テレスミクロはその場に倒れ込んだ、生成魔法を多く使い貧血気味のようだ。
「お疲れアルス。」
ハセクに労われた。
「はい、お疲れ様です。テレスはどうです?」
「ん、ああ。彼女は眠たよ、心臓も動いているし生きている。ただ、目を覚ました時に姫かテレスのどちらで目覚めるか……。」
確かに目覚めた時にラスティーネ本人でないと意味はない、そしてテレス本人が目覚めれば事情を聞き出したいが、上手く説明されるだろうか。
「じゃあ、僕は仕事に戻るよ。」
ハセクはその場を後にし離れていく。
ヘルヘイトスの方へ行くと同じ仲間であるアシュロンをみんな囲っていた。
「仲間が……」
「はい、一体使い物にならなくなってしまいました……」
ヘルヘイトスは俯きながら話す。
「全く、これじゃあ。アグライトさんに顔向け出来ねぇ。」
オーフェンスも難しい顔をする。
「大丈夫よ、彼もこの事は想定済みだから。」
周りを落ち着かせる、ドラグ。
「ええ、早いとこ弔いましょう。」
アルスはそう話すと三人ともキョトンとする。
「ああ、まさか本当に騙せるなんて。悪い事しちゃいましたね。」
ヘルヘイトスは申し訳なさそうに話す。
「これですね……人形でして、アシュロンさん本人は別にいます。」
「え?」
「ああー世はこいつは入れ物で魔法を使って自分の魂を入れてるとかって言ってたな。」
「実を言うと、私たちも彼の本当の姿を見たことはないのよー」
かなりの衝撃発言でびっくりした、アグライトは一体どこで知り合っているのだろう。
アルスは自分の仕事を終えるとライノックと出会う。
「アルスさん、師匠見ませんでしたか?」
「ドルクさん?見てないけど。」
「おかしいな、さっきまで居たのに。」
戦いが終わった時までには居たらしいのだが、急に姿をくらましたようだ。
アルス一行が数日かけて帰国している頃には帝国側でキーウィ達が帝国城を攻略していた、有志を集い反ハルゲン派の人達で帝国城を攻略していた。
離れた場所に拘置所があり、黒死隊のオレオンスとガイストを助け出そうとしていた。
「おい!いるか?オレオンス、ガイスト!」
叫びながら前に進むと二人を発見する、グッタリしているようで痩せこけていた。
「ああ……キーウィか、大丈夫だったか?」
オレオンスが応答する。
「良いからしゃべるなって。」
どうやら、帝国内の情勢が悪化してから放置されていたようで数日と食べ物と水を得られていなかったようだ。
「俺の事は後で良い、あそこに捕まっている子を……」
オレオンスが指を指す方向にはマーヤが立っており何かを見つめている。
「マーヤ、どうした?」
「この子見たことあります。」
そこにいたのは子供のエルフであり以前アルス達を襲った者だ、二人ともグッタリしているが、マーヤと同じ紋章を持っている方は肌から黒く大きい斑点が出ている。
「なんだこれ、ひどいな……」
「もう一人は長くなさそうです、血管が破裂してます……私と同じ寿命ですね。」
「それって……」
「ええ、この子も魔女の被験体ですから。」
キーウィが以前マーヤから聞かされた寿命だが、最終的にはこうなってしまうと想像してしまった。
拘置所に囚われていた人達を救出すると、キーウィに近づく人間が一人居た。
「キーウィ!マーヤ!」
「ん?あれは……」
「探したんだぞ?!お前は帰って来んしマーヤは行方が掴めなくなって。」
キーウィの父親だ、よっぽど心配だったのか泣きながら近寄ってくる。
「何泣いてんだよ!まだ、戦いは終わってねぇよ!」
「ああ、感動の再会は終わってからだな。」
キーウィ達は休む暇もなくハルゲン公爵のいる領地へ赴く、反ハルゲン派の勢力は思ったよりも多く、あっという間に鎮圧できそうだった。
ハルゲン公爵の領地に向かうと辺りはサッパリとしていて出歩いている者はいなかった、先に進みハルゲン公爵の屋敷へ向かうと信じられない光景を目にした。
ハルゲン公爵の首が屋敷の柵に刺さっており、国民が石を投げていた。
「なんだこれ……」
急な出来事にゾッとはしたが、討つべき敵は死んでいる、でもなぜだ?
出来事は昨日の夜に遡る、アルスとライノックがドルクの失踪に気づいた時に関係している。
「おのれ王国め……」
「旦那様、バルキルウスの軍勢は大会議場を攻略し長城付近まで攻めて来ています。」
「なんだと?山脈に拠点を築いたエルミ隊はどうなっている?!」
「ええ、連絡は何も……ただ、王国の軍勢が山脈を下り帝国へ向かっているそうですが……恐らくは……」
「クソがあああああああ!!」
ドンっとテーブルを叩く公爵、焦っているのが分かる。
「マモン殿はおるか?!」
「いつでも俺はあなたの側に居ますよ?」
スッと姿を表す大罪悪魔のマモン、企がありそうだ。
「対価は私の資産全部だ!鉱山の山々もやる、私の寿命だって渡したって良い!」
「愚かだな……それじゃあ俺がアンタを乗っ取った方が早い。」
「それでも構わない!私は生きたいんだ!そうだ?私に乗り移れば地下街の売春婦どもに顔が利くぞ、どうだ?」
「あんたは強欲だけどプライドが無いな……王位を就かせようと頑張ったけど面白くなさそう……」
「契約したはずだ!私はアンタの言いなりになり、共産国へ大量の出資と富国強兵のため少年徴兵の隠蔽、ゲルマルクの監視だって見事にすり抜けた!だからこうしてアンタら大罪悪魔は目的の達成を……」
「バカか?良い加減気付け、お前は利用されたんだ。俺達とロート王に。」
「は?」
「初めから俺たちはお前を搾取するだけだ、契約なんて結んだ覚えはない。」
「では、私はどうすれば?」
「死ぬか、捕まるか。まぁ、今までみたいな女遊びはできないだろうね。」
「この!」
ハルゲンは殴りかかるとマモンによって捩じ伏せられる。
「アンタはゲルマルクやエヴァンスのような高貴で品のある人間じゃない、誰も腐ったリンゴを食べないように俺は赤く綺麗なリンゴを食べたいんだ。」
それだけ言い残すと姿を消してしまう。
「ううううううううう……」
悔し泣きだろうか、顔がぐちゃぐちゃになって泣いていた。
「だ、旦那様!」
「今すぐにここを出るぞ!」
ハルゲンは兵士を引き連れ馬車へと向かう。
外は夜で雨が降っており落雷もある、正直心地よくはない。
ハルゲンは馬車に乗り御者へ「どこでも良いから走らせろ」と言うが返事がなかった。
「おい、どうした?」
立ち上がり窓から御者を見ると首がなかった、明らかに斬られている。
「うああああ!!」
ビックリして腰を抜かし座席へ腰を落としてしまう。
「そんなビックリする事はねぇだろ?」
隣の席にはドルクが座っており、大ぶりなマントで体を隠していた。
「ど、ドルク!助けに来てくれたか?」
「ああ、死は救済だよ。」
ドルクは左手に剣を持ちハルゲンの首まで持っていく。
「へ、兵士よ!集ええええええ!!」
「そんなデカイ声出さなくたって大丈夫だ。安心して死ねるぜ。」
兵士に呼びかけるもハルゲンのいる馬車まで来る事はなかった、全員ドルクによって殺されている。
「な、なんだ?金か?女か?それとも家督をやれば良いのか?」
「あー金はあるし、女も抱き飽きた、家督は柄じゃねーよ。」
「じゃあ、何を?」
「死んでくれ、アンタが皇帝を殺す手伝いをした……違うか?」
ドルクはハルゲンとマモンの言い争いを聞いていたようだ。
「し、仕方ないだろう?私は奴らの言いなりだったんだ、従うしかなかったんだ!」
「王位に就こうと努力はしたんだな?」
「何が悪い!権力は偉大だ、そうだ!手を組め、お前の力があれば私を王位へ導くこともできる、私が皇帝になればお前の心の隙間も埋められる!」
ドルクは頭に来てハルゲンの両腕を落とし始める。
「だああああああああああ!!」
「おい、俺が仕えるのはゲルマルク皇帝とそれを愛したスフィアーネ女王だけだ!貴様に仕えるなど死んでも御免だ!」
ここからドルクによる拷問が始まり、馬車の中は血だらけになる、ドアの隙間から血が滴り悲鳴も聞こえなくなっていった。
そして次の日にキーウィ達が到着した訳だが、死臭が漂う馬車の中を開けると両腕がなく足の指は全部切られ陰茎と乳首も切り落とされている、かなり酷く殴られた跡も見える、簡単には死なせなかったようだ。
ハルゲン公爵の遺体の隣に手紙が置いてあった、字は汚く書き慣れてないように見える。
『これを見ている者へ、ハルゲンから少なからず情報を得たのでここに記します、本来は捕まえゆっくりと拷問にかけると思いますが、私なりの責任があったためやらせて頂きました、迷惑をかけますが何卒許して頂きたい、追記ですが、ハルゲンの有していた領地はニーナ家にお譲り致します、ハルゲン公爵家はこれより没落し嫡子であるドルクは家督は継がないそうです、民をよろしくお願いします。』
この文章の後ハルゲンから聞き取ったであろう情報が殴り書きされていた。
こうして、王国に迫る脅威は無くなり平穏が訪れた、後世には第二大戦とされ語り継がれていく。
平穏が訪れた理由は三国の大きな被害が関係しており暫く戦争できないほど弱りきっていたからだ、金もないし兵士の数も少ない、その三国を見守る小さい国々は侵略を考えたが、王国の圧倒的力を考えれば逆らうことなど出来はしなかった。
ここから、アルスの生き地獄は始まったのかも知れない。
四十四話に続く……
世界設定:キャラクー
ハルゲン(苗字の方であり名前は考えてませんでしたすいません……)、彼は公爵家であり上の地位についている。息子にドルクがおり、何かしら不都合が起きるとドルクをチラつかせて周りに圧をかけていたようだ。だが、ドルクの年齢が上がり、周りと親しくなるとハルゲン公爵家の印象はかなり下がっていった、ドルク自身父親と言うこともあって裏切れずにいたようだ。ハルゲンは鉱山を所有しておりそこから高値で共産国へ売っていたようだ、帝国に出す鉱物資源は共産国より少なかったそう。子供の徴兵制の隠蔽やゲトー要塞の際送り込んだのもハルゲンであり、彼の戦術は質より量であり数で解決しようと大戦時は戦っていたようだ。彼は女遊びも激しく地下街では娼婦と盛んになっていた、妊娠しても養育費なんてものは出すはずない、一部の娼婦は利用し貴族の子だと公言した人間はもれなく処刑されていた、そしてそれは子供もそうであり、分かり次第魔女の実験として送るか殺している、少年兵として育てるのも考えたが裏切るのが怖いのでそれは見送られた。悪魔に王位に就かせるからと利用されて生きており、欲に目がない人間であり救いようのない人生を送ったようだ。
読んで頂きありがとうございます。ちなみにですが、ドルクは呂布をイメージして作っています。ただし義理堅くなっています、結局父親(呂布の場合は丁原なので養父なのかな?)は殺してますけどね。これからもよろしくお願いします。




