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第三十三話 攻略

 無事オーフェンスとヘルヘイトスは共産国からの脱出に成功した、そのまま王国へ向かうが距離が遠すぎる、着くまえに暑さで死んでしまうだろう。

「えーあー聞こえますか?」

「大丈夫聞こえてるよ。」

 ヘルヘイトスはグランハースを抜けマジックジャミング圏外であることを確認しハセク達に連絡をとる。

 オーフェンスは共産国で知り得た情報をハセクに報告する。

「なるほどねー奇襲を仕掛けると……。」

 それから、共産国は砦をいくつも建てたことと、通信魔法が使える魔法使いが共産国にはいる事、帝国と連絡を頻繁に取り合っていたことが分かった。

「ロート王は嘘をついてましたね、陛下?」

「ええ、やはり戦う以外に何もないのでしょう……。」

 因みにだが、アルス一行は帰国している、ここには女王を含め剣聖隊がいる。

「今後の方針だけど、守りを固めるより、手前の砦を今すぐにでも奪るべきだね。」

「ああ、賛成だぜ。早速人選を決めるべきだ。」

 テレスミクロが提案する。

「とりあえず僕らは手前の砦を攻略するから、そこまで来れる?」

 ハセクはヘルヘイトス達に問うてみる。

「頑張ってそちらに向かいます!」


 ヘルヘイトスの決意を聞き次の問題に移る。

「問題は帝国側なんだけど、どうだろう?」

「とりあえず、奇襲しますって言ってんだったらもう手前まで来てんだろ?」

「あれ、大会議場に帝国の野営があるんだよね?」

「ああ、そのまま会議場も拠点にするかもな、大戦の時みたいにな。」

「じゃあ、僕はゲトー要塞まで進めるよ。」

 ゲトー要塞、それはハセクが大戦時任された王国の拠点の一つであり、ここが破られば王都への侵入を許したようなものだ。

「あの拠点に入り込まれたら困るからね。」

 ハセクは兵士を率いてゲトー要塞に籠り、敵が来たら殲滅しそのまま拠点であろう大会議場まで足を進めるそうだ。


 問題は共産国であり、帝国には現在、黒死隊がいない、そのため戦力的には帝国は王国より劣るだろう。

 共産国にはロート王の周りにいる四人がかなりの強敵で剣聖隊総出で挑んでも勝てるかどうか、王国兵士がロート王と共にドルクが馬車に乗ったのを目撃したらしい、これが本当なら共産国側にはドルクがいる、戦闘になれば勝ち目はほぼゼロと言っても過言ではない。


「というわけで、テレスミクロには対共産国側の指揮を任せるね。」

「はいよ、ところで囚人共はどうする。」

「ああ、クフラクは僕の方で上手い事やっとくよ。」

「こっちはアルスがいるからヒルブライデはなんとかなりそうだな。」

 よくよく考えてみれば王国の精鋭部隊である剣聖から囚人が二人もいるって、凄いな……。


 共産国側にはテレスミクロの指揮でアルス、ハクレ、エレス、ヒルブライデ、ライノックが参加する。

 帝国側にハセクとクフラクが参加するが、クフラクが戦いを拒む場合、無理に参加はさせないそうだ。

 王国には軍部管理官が将軍として指揮をする。

 この軍部管理官は以前ドルクが前共和国側の戦いで四割近く壊滅させられた兵士の指揮官である。

 当時は仕方なく王の命令もとい悪魔に乗っ取られた王の命令に従って兵士が死ぬまで戦い抜けとのことだったが、彼はその命令に背きドルクに対話を持って兵の命を無駄にしないように立ち回った、命令違反のため死罪級のことだが彼は承知の上でそれを実行したのだ、前々から王の動きを不審に思っていたらしい。

 彼のおかげで多少なりとも兵士の温存ができたのだ、ある程度は対抗できるだろう。


 王族である、スフィアーネとラスティーネだが彼女達は住民と共に前共和国に向かい安全を確保する、そこは共産国から反対にあるため共産国は王国を跨いで進まなければならない。

 前共和国の住民は今でこそ王国国民としての存在だが、娘であるラスティーネは心よく思わない人もいるようだ、国王により急に領土を奪われたのだから、その血が混ざっているラスティーネを毛嫌いする人がいるのも事実である、母親の血が混ざっているとはいえ共和国の住民は複雑な心境を抱く者も少なくなかった。

 スフィアーネ達にはアグライトとセブラブが常に護衛してくれる、スフィアーネ一行が共和国に着いたら以前住んでいたであろう古城に身を寄せ防御を固めるそうだ。

 尚、王国が突破されたらこの共和国の古城まで皆一斉に集まり敵と対峙する手筈になる。

 現在王国に住み着く悪魔達だが、ここでいきなり前共和国に向かうのは住民を不安にさせるだろう、エルスター教の信者が多く、いつでも悪魔を浄化できる存在の人が多い、せっかくラスティーネが築き上げた信頼を無碍にはできない。

 彼らには悪いが現在開発中の地下街で大人しくしててもらおう。


 各々が話をし計画を築く、それが終わり次第自分たちは王国の外へと出ていくのだった。



 王国より少し離れた場所に簡易的な野営を築く、テレスミクロは双眼鏡で敵の砦を観察する。

「敵はこっちの存在をどう見てるでしょう?」

 自分はテレスミクロに聞いてみる。

「昨日も話たが一刻も早く砦を奪いたいっていうのは筒抜けだろうよ。」

 敵の砦は上に大砲が見える、隙間からも銃が飛び出ていたりと遠戦で自分たちを迎え撃つつもりだ、白兵戦をあちらは持ち込ませないと言わんばかりに兵士を外に露出させていない。

「重装兵の盾で銃を防ぎつつ接近させる、中に入っちまえば何とかなる、砦の中はあの様子じゃ狭そうだ、だが、接近させまいと大砲がある、それが面倒だが。」

 テレスミクロは攻略を考えている、砦は急いで建築したのが分かり規模はそんなに大きくない。

 大砲だが、重装兵といえど防げるわけがない、飛距離もある為近づくことすら困難だろう。

 属性魔法で炎やら氷柱やら飛ばしてもここからでは届かない、どうしたものか。

「ライノックは強化魔法が得意でしたよ、エレスも身体的にも筋力が優れてますし彼らで何か飛ばして大砲を無力化できればいいのですが。」

「んー」

 テレスミクロは周りを見渡して目ぼしい物を探す。

「これでも投げつけるか。」



 一方、砦にはワタナベが中に居た。

「ワタナベさん敵はいまだに動きを見せません。」

「ソウカ、ソノママカンシセヨ」

 その時上から瓶が割れる音がする。

「ン、アルコールノニオイガスル、ナニガアッタ?」

「ちょっと様子を見てきます。」


 共産国の兵士が大砲のある屋上へ行くと瓶やら樽が割れておりお酒臭かった。

「何があった?!」

「王国の野営から瓶と樽が沢山投げられまして……」

「この距離からだと?」

「大変です!王国の兵士がこちらに接近しています!」

「下の階の連中に銃撃しろと伝えろ!」

「では、私達は大砲で!」

「やめろ!アルコールだ、引火でもすれば……」

「これぐらい大丈夫でしょ?たかが飲む用のお酒。そんな度数も強くない……」

 共産国の兵士が篝火に手を触れた瞬間、袖に引火し砦の屋上部分が燃え広がる。

「バカ!おい、下から水持ってこい全部だ!」



 テレスミクロは双眼鏡で屋上を確認し振り返る。

「なんとかなったが、こりゃ攻略が終わり次第帰国だな。」

 アルスの時代でも水は貴重だった、一般の兵士でもお酒を携行するほどに、今回野営と兵士のお酒を全部ライノックとエレスがぶん投げて敵の砦を酒まみれにした。


 アルスとヒルブライデが突撃要員として王国の重装兵と共に砦まで接近する。

「防御形態に!」

 自分は重装兵に指示を出す、すると重装兵が自分達を囲み盾で覆いドーム型の形態になる。

 銃弾が放たれる音がするがその殆どが重装兵の盾に当たる、弾は弾き返されるが打ち所が悪く足に当たってしまう者もいた。

「突撃!」

 また指示を出して前進する、弾の装填まで時間がかかるはずだ、足を撃たれた者は救護兵が後から来るので少し後退する。

 砦目前まで来ると人影が見えた。

「ココカラサキハ、トオサン」

 獣人だが、言葉がカタコトだった、異国の者だろうか……腰に付けてる剣の形状も見慣れない、服装は薄着のようで下は後に聞く事になるが袴というらしい。

 彼は上着を脱ぎ剣を抜くがその立ち姿は凛としており品があった。

 構え方も見慣れないが隙も無かった。

「イザ、ジンジョウニ!」

 彼は真っ直ぐこちらに飛んできて重装兵を腹を真っ二つにする。

「な?!」

 剣の太刀筋は鋭く一本線を描いた。

「離れて!」

 ヒルブライデは氷塊を出し獣人を牽制する。

 だが、その氷塊すら斬ってこちらに詰め寄る。

 自分は剣を抜き彼の剣を受け止めた。

 彼は一旦距離を置いて再び構える。

「セッシャ、ワタナベ、モウス。ワガケンヲミゴト、ウケトメタ!」

 このワタナベというのはかなり強い、まず目を包帯で覆っているので見えないだろう、そして何よりフルビーストと言われるタイプの獣人だ一般の獣人と比べて獣に近くエレスよりも獣の特性が出ている、いい証拠として髭がある、元来動物の髭は感覚器官として働いている、エレスや自分のような者にはない特徴だ。

 そのため、空間認識や平均感覚等が優れており身体的な面ではワタナベの方が上なのは間違いない、そして何より剣術が極められている。

 剣を構えると砦から再び銃が見える、装填し終わったのだろう。

 だが、目の前にはワタナベがいるそう簡単には撃てまい。

 そう考えていたのも束の間砦から銃が発砲した。

 ワタナベは後ろから来る銃弾を上手く避け再び自分に剣を振るってきた。

 銃弾は自分の体を掠るがワタナベの剣を受け止める、後ろではヒルブライデが氷塊で後ろの兵士を守ってくれた。

「重装兵はそのまま前へ!ヒルブライデは自分を援護してくれ!」

「大丈夫私が守ってあげるね。」

 重装兵がゾロゾロと砦に進行すると。

「イカセヌ!」

 ワタナベは重装兵に突っ込むがヒルブライデに邪魔される。

「オヌシ、ソノ、ケハイハ……」

 よく分からないがワタナベの顔が真っ青になる。

「アルス君のために死んでね?」

 ヒルブライデの猛攻が始まるとワタナベが必死で守りに徹する。

 ワタナベが剣の鞘を左手で抜きヒルブライデの脇腹に当て吹き飛ばす。

「オモシロイ、フタリデカカッテコイ。」

 再び構え方を変えた、ワタナベの国でも様々な型があるのだろう。



 一方、ハセク達はゲトー要塞にいた。

「はいはい、皆さーん。これ以上先に進んだら皆殺しにしまーす!」

 ゲトー要塞前には既に沢山の帝国兵士の姿が見えた。

 ハセクは雷雲を作りいつでも殺せる準備に入っていた。



 三十四話に続く……。



 世界設定:マジックジャミング


 このマジックジャミングだが、今回は通信魔法の妨害であったりと相手の魔法を妨害する機能がある、意外にも魔法に精通している者であれば誰でも使えたりする、通信魔法の妨害以外にも相手の属性魔法の生成を妨害したり、物を魔法によって動かす事させ妨害できる、これらには魔力の流れに干渉し妨害することができる、この作品では魔力を感知したり、闇の魔術を感じたりしてるが、それこそが魔力の流れでありマジックジャミングを使える者はそこに干渉する。ただ、通信魔法はこことここを繋げるという目的がしっかりとしているため負担こそ大きいが場所さえ分かっていれば簡単に繋ぐことができる、キーウィはそのために水晶玉を相手に持たせている。だが、マジックジャミングで通信魔法を妨害するとなるとその範囲は絞られてしまう、マジックジャミングは先程の記述通り魔力の流れが関係しているが魔力が全く流れていない場所では干渉が難しい、つまりは人が全くいない所を利用すれば、マジックジャミングから抜け出せることが可能である。



 読んでいただきありがとうございます。暑い日が続いていますがこれからもよろしくお願いします。


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