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第二十九話 勝利と正解

 アルス達は悪魔街に入り、視察を敢行……どうやら、悪魔達は敵意はなく無害であった、これらを統括する者が住む場所に入り話を進める。


「ごめん遊ばせ、私はラスティーネ・エルスター・アルフェクスと申します。」

「これは、ご丁寧に。私は悪魔のオロバスです。」

 奥の方が暗く見えなかったが、前に出てきて姿があらわになった、顔は馬面だが、体は人間だった。

「エルスター……それにアルフェクスは、前王の姓……第一王女様でおられますかな?」

「ええ、今回は王都で悪魔街と言われる街を視察にきましたが、案外皆様温厚でしたので、そのまま外交に持ち込もうかと。」

「おお、予想通りですな。こう見えて先見の明はありましてな。」


 色々と話を伺ったが、この悪魔オロバスは召喚悪魔として名高いようだ、サタンによって召喚され忠実に従ってきたが裏切られこうして身を隠してるようだ。

「本当にサタン様は私達をただの物としかみておられない……そして魔界しか居場所のない私たちには人間の世界など肩身が狭いのなんの……。」

 悲しそうに話すオロバス、意外と人間臭い。

「あなた程の悪魔なら魔界の扉なんてすぐ作れるのでは?」

 セブラブが考えて話すが。

「ええ、作れますとも。ただ……」

 オロバスは魔界の扉を作るが人すら入れない鳥の巣程の大きさの扉を作った。

「もとい、召喚悪魔も契約です……契約主の魔力を共有して力を発揮できる。」

 後々詳しい話を聞くことになったが、元々は異界の王によって七十二体の悪魔を一人で使役してたとか、オロバスはその一人であり、アスモデウスもその七十二体の一体であった。

 その異界の地で王が死ぬと召喚悪魔は異界の地と魔界を行き来するようになり、ある時を境にサタンの出現によってこの世界に侵攻を開始したそうだ。

 異界の王の名前はソロモンというらしく、一国の王だったそうでオロバス達はソロモン72柱の言われたそうだ。

 だが、ソロモンという王の名前は聞いたことがない、少なくともこの世界には存在し得ない者だとオロバスは語る。

 一つ疑問に思うのはいつから悪魔がこの世界で侵攻を開始したかだ、自分が生まれる前であることは間違いないが、露呈するまでに動き始めたのはいつだろう。

 自分はその疑問をオロバスにぶつける。

「私も正直前のことで……ただ、過去を見てみますとサタン様が本格的に侵攻を開始しようと考えたのは何千年も前であることが伺えます。私も眠ったり、色々しましたのでここはずっと生きてる方に伺うのが良いかと……。」

「それは未来を見て?」

「はい、アルスさんが歩む道は生き地獄でしょう。ずっと生きてる者……沢山いますが、いつか行き着くとのこと。」


 オロバスからは聞き出せる悪魔の情報はかなり有益な物だった、悪魔には階級があるらしく、当時居た世界では今程の団結力はなかったそう。

 その世界が滅んだのでこの世界に身を移し人間を利用しようとしたらしい。

 世界が滅んだ時、殆どの神の存在が消滅した、この世界に流れて来た神も居たらしいが詳しいことはオロバスも分からないそうだ。

 サタンの目的……神の消滅とだけ聞かされたらしいが、何か他に目的がありそうだとオロバスは語る、なんでも試すような行動ばかりで疲れが溜まるとのこと。


「私、オロバスさんが居た世界の神の事をもっと知りたいです!!」

 ラスティーネはオロバスと話をしているうちに滅んだ世界について関心を持ち始めたようだ。

「ええ、私で良ければ沢山教えます。これからも頼ってください。」

 オロバスも気前よく話をするし憎めない奴という印象を受けた。


 こうして、友好的な関係値を築くことに成功した、視察として姫を連れて行き護衛も沢山入れたが、空回りしてしまった。

 次の日にはバレて女王やハセクにクソほど怒られる事になる。


 今後の方針を話終えるとまた明日来るとラスティーネは言った。

 悪魔街も住民に認められるまで時間がかかりそうだが、友好的な関係を築くためにとどちらも協力的なのできっと上手くいくだろう。


 帰り道だが、ライノックとその友達の存在を少し忘れかけていた、サキュバスの館に行くが丁度二人が出てきた。

「ライノック、少し痩せたか?」

「いや、俺まだ10代なんですよこれでも……どうしてくれるんですか?」

「でも、良い経験になったろ?」

「まさか、知ってたんですか?ババアになること!?ふざけんな!!」

「でも、あのまま放っておいたら生活に支障が来そうだったし仕方ないだろ?」

「アルスさんはサキュバスに掘られたことあります?」

 隣の帝国兵士がケツを押さえながら話す。

「いや、ないけど……てか、そんな奴いんの?」

「居ましたよ、巨漢でデカイの持ってる奴が。」

 それを横目にラスティーネの耳をアグライトが塞いでる。


 少しサキュバスについて賢くなった、彼らは良い働きをしてくれた。

 話をしていると、扉から始めに会ったサキュバスに出会い色々と感謝された、どうやら同族の精気では補給できる量が少ないらしく同族とヤルのは少し気を使ってしまう子が多いらしい。

 たまたま、現れた自分達のおかげで美貌は保てるし弱ることもなく元気になったそうで、なんかみんなツヤツヤしてた。

「また来てねーライノック♡」

「初体験があれとか……」

 扉から沢山の可愛いサキュバスが手を振ってくれるが……ライノックの目は死んでいた。

「可愛いじゃん、次くれば帳消しにできるだろ?」

 自分がそう説得すると、ヒルブライデに蹴られた。


 この日は外交は上手く行き、楽しかったが油断はできない。

 悪魔も人と同じ感性を持っているなら様々な思想や感情を持っている、敵対する事だってあり得るし扱いは人と変わらない、その事を忘れず自分は剣聖隊の施設に戻るのであった。



 次の日に目覚めると大量の書類に囲まれていた、内容は反省文であることが多かった、ライノックと帝国兵士の扱いだったり、無断で姫を悪魔街に連れて行ったこと、囚人であるヒルブライデを外に出し魔法を使わせたことや女王陛下への謝罪等々。

 どうやら、夜に陛下はラスティーネの部屋を訪れたが、いなかったのでご乱心だったようだ、姫が王城に帰った後胸を撫で下ろしたが、なんせ娼館の前で色々話していたのだ、良い歳の子供になんて事をしたんだとお偉いさんもキレてた。

「はぁ……。」

 自分はため息を吐くが、これらの出来事は殆ど自分であることが分かる、仕方なく手をつけ始めるのであった。

『アグライトさんだって無関係じゃないだろ……』

 そうは思っても仕方がない。


 他剣聖はそれぞれ仕事に出ている、事務室に一人で作業を黙々と進める、その時懐かしい声を聞いた。

「兄貴、元気にしてましたか?」

「ああ!アルバート久しぶりだな。」

 アルバートの登場に少し驚いたが、何よりも体が心配だ、下半身不随になってからずっと車椅子だ、生活に支障をきたしているのは間違いないし、生きづらさもあるだろう。

「聞きましたよ、色々やらかしたと、私も手伝いますよ。」

「いやいや、流石に自分の事だし。」

「いいえ、やらせて下さい、私この体になってから出来ることも少なくなって暇を持て余していたんです。」

 彼には女王の謝罪文をやらせた、すごい重要な役割だしバレたらまた怒られるだろう、でもアルバートだった自分ぽい文章も書けるし上手くやってくれる。


「アルバート、君はこれからどうするんだ?」

 自分は手を動かしながらアルバートの今後について聞いてみる。

「そろそろ私も病院を出るようでして、その際田舎の領地に戻って父親の手伝いをします。」

 アルバートは一応貴族で領地こそ小さいが人々の信頼は高いそうだ、隣にも別の貴族が居てその娘がハクレだ、そのため彼らは幼馴染だし婚約の予定もあったが、状況が状況だハクレはこのままだと何かあった際、戦場に放り込まれるだろう。

「そうか、じゃあしばらくは会えないな。」

「ええ、ですがまた顔を出しますよ。絶対。」

 そう硬く約束を口にしハクレが病院に顔を出す時間を見計らってアルバートは病院に戻って行った。

 彼と会話して色々と考えてしまった、あまりにハクレとアルバートが不憫だということに……。

 この戦い絶対に避けられそうにない、万が一ハクレが死ねばアルバートはどうなるだろう……自分は彼らの恋愛には赤の他人だし首を突っ込む義理はないが、彼らの良い人生を祈ってはいる。

「勝たなくては……」

 そう口にして手を進めるのであった。



 少し息抜きをしようと外に出て街を回った、すると公示人が人の多いところで声を上げていた。

「王国ラスティーネ王女殿下によりたった今、悪魔街の悪魔の呼称を魔人または魔人族と改名!!共生の道を進むよう努力せよとのこと!!明日より、魔人用の居住区を地下に創設!!短期間の増税発表!!」

 住人の反応だが、あまり良い様子ではなかった、増税に嘆く者や悪魔と呼ばれていた者に嫌悪する者、家族を殺されたのであればその限りではないだろう。

 前まで敵対していたとこと仲良くしろというのは難しいことがよく分かる、号外を手にし内容を見るとどうやら今現在悪魔街と呼ばれてる場所に元々住んでいた者からすれば怒りが収まらないという記事を目にした。

 今彼らは簡易施設で生活してるが、どれくらい持つだろう……増税もして、もっと生活が苦しくなることが伺える。


 一通り散歩してダラダラしたら、剣聖隊の施設に戻って行った。


 施設に戻ると大広間にハセクが居たが髪がボサボサになって目にクマができてた。

「大丈夫ですか?」

「まぁ、最近寝てないからね……」

 大あくびをかいて、床に寝始めた。

「寝ようかな……」

「自分の部屋で寝たらどうですか?」

「いや、今友人がいて使ってるよ。」

「友人?」

「そう、でも彼がいないとこの戦いは勝てないからね……」

 ハセクはゆっくりと目を閉じ眠りについた。

 なんの事だがよく分からないが、ブランケットをハセクの上に敷いて事務室に戻った。



 あと、数日もすれば共産国に書簡が届くだろう、それまでの間は自分がやれる事をするだけ、今後王国の未来はどうなるだろう……日々の変化を感じながら時間が過ぎて行った。



 三十話に続く………。



 世界設定:召喚悪魔


 今回オロバスが出てきたが、召喚悪魔という設定だ、召喚悪魔は基本ソロモン72柱によってもたらされたことになる。そのため召喚できる悪魔はアスモデウスがいない71体ということになるがその他にも召喚できる悪魔は存在するようでそれ以上にいる。基本契約で力を発揮できるが、大罪悪魔と違い力を与えるものではなく共有するものである。そのため共有する対象が弱ければ使える力も弱いものとされる。72柱は基本温厚な者が多く召喚者に忠実だ。召喚者が裏切ったり意図的に契約を切らなければその効果は持続する。契約方法だが、儀式で呼び出したり、そこら辺を歩いていたら声をかけて契約することも可能だ、彼らは複数の契約は不可能で召喚者一人としか契約できない。因みに、彼らはソロモン72柱の時は階級があったが、今ではそれがない。




 読んでいただきありがとうございます。神話や悪魔の解説が結構面白くハマっています。色々と知識をつけながら書いていきます。よろしくお願いします。

 

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