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第二十二話 見えない終わり

 ついに、王国上空にできた魔界の扉を閉じることに成功したが、不可解な出来事が起こるばかりであった。舞台は再び共和国に移るが、果たして……。

 王国上空で魔界の扉が閉ざされる数時間前……。


 共和国に構える帝国の野営地に一人の赤髪の青年が二匹のドラゴンを見つめていた。

「ライノック!何を前に出てんだ!?」

 帝国の兵士が赤髪の青年を心配して呼びかける。

「ここを落とされたら、この戦いは終わりでしょ?バカの俺でもわかるって。」

 赤髪の青年の名前はライノックといい皇帝の近衛騎士ドルクの弟子である。

「まぁ、見てろって。俺がただの人じゃないってことをな。」

 ライノックは近くに居た兵士の槍を取って上空にいるドラゴンに狙いを定める。


 地上からかなりの高低差がある、偵察してきた時と同様、弓も届かなければバリスタも届かない。

「兄さん、ここからブレスで燃やそうよ。」

「待てって、敵が散開してるな……中央を開けてる……何をする気だ?」

 子供のエルフが下を警戒して見ている。

 その時、下から槍が信じられない速さで飛んで来た——隣にいたドラゴンの体を貫通する。

「おい!」

 エルフが弟を心配するが、ドラゴンもろとも下に落ちていった。


「あれ?子供じゃん。大丈夫?」

 ライノックは心配そうにエルフに気遣う。

「お前、許さないぞ!」

 ドラゴンは体を貫通されており大きな穴が空いていた、細い槍と全く比例してない大きさだった。

「えぇ……心配してるんだけどな……。」

「これでも食らえ!」

 子供のエルフは手から大きな火球を作り出す。

 それと同時にライノックは剣を構えて大ぶりに振った。

 振った瞬間に大きな衝撃波を繰り出しエルフは吹き飛んでしまった。

「なんだよそれ……」

 衝撃で壁に打ち付けられ意味も分からず、気を失った。

 その隙に帝国兵士がエルフを囲い拘束しようとする。

「そうはさせるか!」

 もう一匹のドラゴンが急降下するが、ライノックが立ちはだかる。

「次はお前ね。」

 ドラゴンの猛攻がライノックに襲い掛かる。

 時折炎を口から出しそれを避ける、その度に後ろの兵士が当たったり当たらなかったりする。

 大きな手がライノックを押し潰そうと振り上げる。

「力比べか、なら!」

 ライノックはドラゴンの手を剣で防ぐ。

「バカか?ドラゴンの力に人が敵うわけないだろ!」

 自信があるのか豪語するエルフ。

「それはどうだろ……」

 ライノックはドラゴンの力そして体重が乗っていき今にも潰れそうだった。

「そのままブレスだ、燃やせ!」

 エルフがドラゴンに命令する。

「うおおおおおおお!!」

 ライノックは雄叫びと共にドラゴンの手を弾く。

「嘘……!」

 手を弾いた瞬間ドラゴンの手も吹き飛ぶ。

「ライノック!後ろに下がれ!」

 帝国兵士が指示を出す。

 ライノックが下がった瞬間ドラゴンは弓とバリスタの餌食になる。

 エルフは自分の周りに魔法障壁と呼ばれる物体に頼らない盾を生成し自分の身を守った。

「このまま、撃ち続けろ!消耗戦に持ち込む!」

 帝国の指揮官が兵士に指示を出す。


 数十分もしないうちにエルフは力を使い果たし、ドラゴンは種類が分からないほど無惨な姿になっていた。 

「な……どうやって……そんな力を……」

 エルフは疑問をライノックにぶつける。

「脳筋だからさ、俺は。」

 右腕を摩りながら答えるライノック。


 しばらくして、エルフの兄弟を捕縛し簡易的な牢獄に閉じ込める。

 牢獄には魔法をかけ、中に居る者の魔法の使用を出来なくする事が可能である、万が一のために多くの兵士、主に魔術師や手だれの兵士に監視させた。


「ライノック、右手は大丈夫か?」

 帝国兵士が心配そうに話す。

「ああ、でも次は……」

「医者から言われてるだろ?使い物にならなくなる前に強化魔法は……」

「悪い、しばらく控えるよ。」


 しばらくすると、ドルクが戻ってきた。

「師匠!前線はどうでしたか?」

「ああ、雑魚ばっかで相手にならん。大戦時の方が骨があったよ。」

 前線に出ていたドルクは傷一つ負わず帰ってきた、報告によれば王国兵士は四割近くをドルクと他兵士によって壊滅させたらしい。

 王国兵士には学徒兵もいたらしく、戦うなら殺すと脅して撤退させたそうだ。

「信じられねぇ、ガキを前線に出すなんざ何考えてやがる。」

「ドルク様、王国の軍部管理官がお話をしたいと。」

 横から帝国兵士が顔を出してきた。

「なんだって急だな全く。」

 どうやら、武器も持たずして白旗を揚げながらこっちに向かってきてるようだ。

 ドルク達は王国の軍部管理官を迎える準備をするのだった。



 共和国古城付近、アグライト側……。


 アグライトは現在、折れた剣そして右目が見えない状態で戦っていた。

「どうした、これで終わりか?」

「相変わらずお強い、騎士団長殿には参りますね。」

 アグライトはかなり疲弊しており、意識も遠のいていた。

「お前の兵士も後がないようだな、こんな終わり方では……」

 悲しそうに話す、団長。


「参りはしましたが、終わったわけではないです。」

 再び剣を構えるアグライト。

「悔いの無いよう戦えよ。」

 団長はアグライトに近づいていく。

 アグライトは剣で襲い掛かると団長もそれに反応し防ごうとするが、アグライトは手から光の玉を団長の顔に発射する。

 フラッシュと言われるその光の玉は閃光を炸裂し天性の要素もあるため闇の術を使うものには脅威である。

「あああああああ!!」

 団長は目を抑え距離を取り始める、団長の目から浄化の際作用する浄化煙が立ち込めていた。


『間違いない、団長は何かしらと契約して闇の魔術を使用できる。』

 アグライトは古城に来た際兵士の傀儡化を目にしていた、目眩しだけのつもりが浄化まで出来るとは本人も思っていなかった。

 団長は目を見開くが半開きで充血していた、明らかに視界の確保はできていないようだ。

 団長は襲ってくるが、剣が上手く対象に当たらなかった——ここに対象がいると認識が曖昧になっており思いっきり剣を振れないようだった。

 アグライトは距離を詰め団長がわざと剣で防ぐように剣を振るう、防いだ瞬間にまたフラッシュを入れる。


 防ぐ行為をする間は間違いなく目を開けている、どこに剣が来るか予測をしなくてはいけない——幸い、団長は鎧を着ており感覚で敵の動きを察知するのには向いてる装備ではない、これが唯一の救いであった。

 団長の目から血が滲み出ていき、ついには目を開かなくなった。

「終わりです。」

 アグライトは折れた剣で団長の腹部を刺す。

「見事だ、教え子の成長に勝る喜びなし……」

 笑いながら満足そうに息を引き取った。

「だ、団長!」

 王国兵士が騎士団長の戦死を確認した。

「団長の命令通り撤退するぞ!ここに用はない!」

 古城付近に居た、王国兵士が撤退していった。


「副団長……。」

 アグライトの部下が話かける。

「ああ、大丈夫だ。そんなことよりヒルブライデはどこにいる?」

「そういえば、見かけてませんね。さっきまで居たんですが……。」

「古城に入るぞ、急げ!」

 アグライト達は古城に向かっていった。


 アルス達は……。

「おやおや、二人がかりでもダメですか。」

 マモンは笑いながら皇帝とアルスを蹂躙していた。

「まぁ、長い間エヴァンス君の体に居ましたからね。力もそれなりに付いてますよ。」

 アルスと皇帝はボロボロの状態であり、マモンがあまりに強すぎた。

「私はまだ、諦めんぞ……!」

 皇帝が立ち上がる。

「はぁ……バカだ。情が厚いやつは身を滅ぼす傾向にある。」

 そう言って皇帝の後ろに回り込む。

「そういえば、約束がまだだったね。次来たら左足だったかな?」

 皇帝の頭を持って持ち上げた。

「エヴァンス君の約束を僕が代わりに叶えてあげるんだ、感謝してほしいね。」

 マモンは皇帝の左足を切断した。

 皇帝の悲鳴が廃れた大広間に響き渡る。

「アルス君に僕の力を見せてあげよう。悪魔が力をつけ過ぎるとどうなるか。」

「やらせない。」

 アルスはマモンに襲い掛かるが、体を固められて動けなくなった。

「これは君がよく使う金縛りの類じゃない。石化呪文、とはいえかなり技術がいることをやってるよ、君の首から下だけの筋肉を石化してやった。どこまで固めるか範囲を決めてやるなんて何千何万年とできない所業さ。」

「やめろ……アルスだけでも……逃してくれ……。」

「大丈夫、ここ数年はね?……さて、そろそろ本題だ。」

 マモンは皇帝を離すが宙に浮かし始める。

「よく見ておけよアルス。これが圧倒的な悪魔パワー……なんて……」

 冗談ぽい言い回しをするマモンだが、魔力がビリビリと伝わる。

 床が振動し始め建物にヒビが入り始める。

「んん?意外と硬いな……」

 マモンが首を傾げながら皇帝に力を込めて手をかざす、するとバキバキと皇帝の甲冑が凹んで皇帝が己の甲冑に潰されいく、隙間から血が流れ出し少しずつ丸くなっていった。

「完成だ、皇帝をおもちゃに出来ちゃう俺って天才だろ?」

 皇帝を足でリフティングして始め思いっきり空へ蹴りあげ天井を貫通した、皇帝が下に落ちてくる様子はない。

「と、まぁこんな感じでさぁ。肉体、魔力がとんでもない事になっちゃうわけ。」

 アルスは目の前の力に恐怖した。


 その瞬間、仮面の女もといヒルブライデが転移魔法で現れた。

「おーおーヒルブライデじゃん。」

「いいから、石化を解け!」

「な、久しぶりの再会なのに……わかった、そう怒るな。」

 マモンはアルスの石化を解いた。

「ヒルブライデ、お前が思ったよりも事態は悪化してるぞ。何よりアスモデウスが王国に侵略し始めた。お前の願いは短い期間しか叶わない。」

「レヴィアタン様が許して頂けたのだ、次がいつ来るかそして、剣聖隊でも私が黒だと嗅ぎつけ始めた。」

「八方塞がりじゃない……まぁ、後の事は任せるよ。これで本当のお別れだな。」

 マモンはそのまま転移し姿を消した。

「さぁ、アルス……これからだからね。」

 ヒルブライデはアルスに近づき催眠で眠らせた。

 アルスをどこかに転移させてヒルブライデは王国に転移した。


 王国、ハクレがいる所……


 ヒルブライデはアスモデウスの目の前に転移した。

「おお、来たかヒル……」

 アスモデウスが言い放つ前に首を切り落とし、消えてしまわないように氷の封印魔法で封印した。


 ヒルブライデはすぐに転移しその場を後にした。

「あの女は一体?」

 ハクレは呆然とした、魔女狩り当日に仮面の女を見る前に気を失っていた為、本格的に見るのは初めてだった。


 ヒルブライデはその後、魔界の扉が閉ざされるのを確認した後再び古城に転移した。


 古城に戻ると姿を剣聖隊の見た目に戻し、落ちていた王国の剣を自身の腹部に刺した。

 そのまま倒れると、アグライト達が合流した。

「おい、大丈夫かヒルブライデ!」

 アグライトはヒルブライデに近づく。

「皇帝とアルスはどこだ?」

 さらに質問をする。

「ごめんなさい、アルスは悪魔に連れて行かれました……皇帝は戦死を……」

 都合の良い嘘をつくヒルブライデ、この状況であればある程度は納得するだろうと考えた。

「そ、そうか。一体何がどうなって。」

 アグライトは一応ヒルブライデを疑っているが、状況が飲み込めず困惑していた。


 その後、リリスとの戦闘でキーウィは使えなくなってしまったので兵士に言伝を頼み、状況交換を図った。

 帝国兵士が古城に赴きスフィアーネを回収することに成功した、前のようにリフレクターが発動しなかったようで、難なく運び出せたそうだ。

 王国は大打撃を負い他国からの侵略を警戒する必要ができ、統治そして軍力の低下があっため国力は見事に崩壊に近づいていった。

 ドルクが王国の軍部管理官の人に話をしなければ、王国は無駄な抵抗を続けてた可能性があったそうだ、少なくとも多少の兵士は王国に残ることが出来たのが不幸中の幸いだった。

 だが、帝国は皇帝を失った事によって帝国は混乱しているようで、すぐに後継者を各貴族から選出しようとしているそうだ。


 後にこれは、大戦の終わりと語られるが勝敗は相打ちという形で認知されるようになっていった。



 本当の大戦はこの後ろに控えているとも知らずに。



 二十三話に続く……。



 世界設定:キャラクター10


 皇帝、皇帝もといゲルマルク・ガルガンドは帝国の皇帝であり、統治者である。ガルガンドと付いている通り、剣の型であるガルガンドを作った祖先にあたる。種族は人間であり、人間にしては体格が良い。右足は大戦で失っており義足である。情に厚く人当たりが良い。帝国城内で良い人が多いのは皇帝のお陰と言って良いほど従者や兵士に認知されている。意外と手が器用であり家事が得意であるが、基本は国の政治の仕事が多く手がいっぱいである。家事を覚えたのはスフィアーネのためであり、子供が生まれて子守が出来るようにと考えて覚えたそうだ、年齢は王国歴12年時点で30代後半である。



 読んで頂きありがとうございます。時間がある程度取れそうなので緩やかではありますが、投稿頻度を上げれそうです。これからもよろしくお願いします。


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