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第二十一話 抱える重み

 突如、王国に魔界の扉が開かれた。クフラク達は目的地にまで避難するが様々な困難が待ち受けていた、アルバート、ハクレ、キーウィと別れたクフラクは遂にテレスとも別れを告げる。彼が悪魔と契約する数時間前……王城の地下では……。

 クフラクが悪魔と契約する数時間前、スーゼルがアレクに刃を向ける時。


「姫から離れてもらおう。」

「邪魔しやがって、クソ上司が真の俺に勝てるわけないだろ?」

「それはどうだろうな……。」

 そしてスーゼルはアレクに斬りかかる。

 アレクは槍でいなして牽制を計りにいった。


 右手に剣、左手に槍のハグバルの型だがそんな組み合わせは見たことなかった。

 この世に存在しない。

 アレクは思ったよりも手だれであり、強かった。

 スーゼルがアレクの懐に入っても剣でやられてしまうため、良い間合いが全く持って取れない。

 場所もまぁまぁ狭いため後ろから回ることもできず、唯一攻撃が当たるのは左の側面と後ろだろう。

「どうした、クソ上司?意外と苦戦してるみたいだな?」

 その時、ハセクが合流した。

「大丈夫かスーゼル!」

「ああ、ここは私に任せて姫を頼む!」

 スーゼルはハセクの方が戦力が高いとわかっているためラスティーネの護衛を任せた。

 ハセクは両者を突破しようとすると。

「行かせるか!」

 アレクは必死になってハセクを止めようとするが。

「よそ見をするな。」

 スーゼルは見逃さんとアレクに斬りかかる。

「どいつもこいつも邪魔しやがって!!」

 アレクは攻撃を防いで憤怒した、ラスティーネがよほど必要なのが伺える。


 ハセクがラスティーネのところに着くと迫り上がった床を元に戻して扉の開閉ができるようにした。

「スーゼル死ぬなよ!」

 ハセクがスーゼルに言って扉に入る。

「もちろん」

「まぁ、いいさ…追いつけば良い。お前を早く殺せばな!」

 アレクが全身に黒い炎を纏わせた。

「アレク……属性を持ってたなんて聞いてないぞ。」

「言うわけねーだろ!この時のためにどれだけ待ったと思ってんだ!」


 アレクは纏った炎を通路全体に放つ。

 中はほぼ密閉された空間だ、このままでは温度は徐々に上がり息もできなくなる。

「考えたな……。」

「すぐ終わらせてやる、もっと時間を掛けたかったが目的が優先だ。」

 アレクは目の色を変えスーゼルに襲い掛かる。

「ハセク、約束は守れなそうだ……。」

 そう呟いて、スーゼルは鉄仮面を脱ぎ捨ててアレクと交戦する。

 お互いの体が燃えていき全身が焼け爛れていく。

 アレクはサタンの恩恵もあるため体が爛れてもある程度は再生できるし炎のダメージも少ない。

 スーゼルはただただ焼けていくばかりだった。


「どうだ、苦しいか?」

 アレクがスーゼルに話すがスーゼルは喉が焼かれて声が出なかった。

「ああ、もういいよ。声が出ないんじゃ意味ないや。」

 アレクは殺す勢いで襲う。

 スーゼルはアレクの隙を見て刺す。

 両者は相打ちになるが、スーゼルの剣はアレクの肩に刺さり、アレクの剣はスーゼルのくびれに深く斬り入った。


「さようなら、スーゼルさん。あなたの部下になって2年…良い社会勉強になりましたよ。」

 そう言ってアレクが剣を抜こうとするとスーゼルが離すまいとアレクに抱きつく。

「痛いんだよ!!離せ!!」

 スーゼルの右手が剣と癒着してしまって離すことができなかった、そのままアレクに抱きつくのでアレクの肩に剣が食い込む。

「おい、よせ!」

 アレクは必死に引き剥がそうとするが、アレクの自動的な再生魔法と共にスーゼルがアレクの体に癒着していく。

「なんてことおおおおおおお!!」

 スーゼルの体がアレクに完全に癒着し引き離すのが難しくなった時、スーゼルがアレクに今出せる精一杯の声で話す。

「一生抱えさせてやるぞ……貴様に……」

 そう言って息絶えた。

「ふざけるなああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 アレクにとっては嫌いな上司であるのをスーゼルは知っていた、せめてもの嫌がらせだった。

 アレクの体はスーゼルと一体化しており異形のような見た目だった。


 憤怒したアレクは天井を破壊して外に出た。

 そのまま高いところに登って周りを見渡し、ラスティーネを探すが見つけられなかった。

「チキショウがああああああああああ!!」

 アレクは体にくっ付いたスーゼルを剣で刺しまくるがそれでも鬱憤は払えなかった。


 ハセク側では……。

 ハセクとラスティーネはセブラブの背に乗って王都の外に出ることに成功していた。

「こっちです、急いでください!」

 遠くで帝国の密偵が手を振り誘導している。

 ラスティーネを保護した密偵はハセクに質問する。

「クフラクさんとテレスさんはいないのですか?」

「あの二人もここに来るのかい?」

「ええ、キーウィに頼んだのですが……。」

「なら、僕がいくよ。」

「わかりました、姫は私たちにお任せください。さぁ、お二人はお早く。」

「うん、ありがとう頼んだよ。いくよセブラブ。」

「はい。」

「あ、あの!」

 ラスティーネがハセクに問いかける。

「テレスさんをお願いしますね、私の友達……」

「もちろん、任せて!」

 ハセクが大きく答えた。


 セブラブの背に揺られて再び王都内に戻ってきた。

「この気配は……」

「どうしたんだい、セブラブ?」

「間違いないく闇のオーラです。しかも強大な。」

「キーウィじゃないのかい?」

「いいえ、確かに彼女も強大ですが、ここまで邪悪じゃありません。悪魔か何か……。」

 話しながら足を進めると、そこにはクフラクがいた。

「おい、クフラク無事か?」

 ハセクがセブラブから降りてクフラクに近づく。

「何があったんだい、キーウィとテレスは?」

「……ハセクさんはこうなる事を予測していたんですか?」

 クフラクが喋っているが、俯いて表情が見えなかった。

「え?」

 表情が読み取れず意図が分からなかったが暗い印象をハセクは受けた。

「俺はあなた達を許さない、何があっても絶対に……。」

 そう言って剣を抜くクフラク。

「待ってくれクフラク。そんな事しても意味はない。」

 冷静に話をするハセク。

「ハセクさん……もしかしたら、クフラクは……。」

 セブラブが魔力を高め始めた。

「クフラクまさかと思うけど悪魔と契約したのかい?」

「それを知って何になる!」

 クフラクが黒い炎を纏う。

「サタンの炎ですね、契約をした可能性……いや、しました。」

 セブラブが確定したように話す。

「お前らが!悪魔をここに連れて来なければテレスは!!」

 クフラクはハセクに襲い掛かる。

「やめろクフラク!」

 ハセクは剣を抜いてクフラクの猛攻を防ぐ。

 明らかに怒り任せの剣の振り方だった。

「みんなを信じようと思ったのに!あなたを師匠のように感じていたのになんで!」

 クフラクが泣きながら剣を振るう、自分の情緒が制御できなかった。

「これ以上はやめてくれ、僕は……」

 申し訳なさそうに話すハセク、なぜこうなったのか訳を知りたかった。

「すいません……レストレイトオブチェーン!」

 セブラブはドラゴンを拘束した時と同じで鎖を召喚しクフラクを拘束した。


「止めるなよ……俺は全部壊さなきゃならないんだ……。」

 クフラクは怖い顔で話をする。

「クフラク……大人はみんな嘘つきだ、でも必要な嘘もあるんだ。」

 ハセクはそう話すがこれはクフラクの求めていた答えではなかった。

「そんなの知っている、なんで悪魔を呼んだんだよ!」

「呼んだって?」

「しらばっくれるなよ、お前らが計画したんだろこうなることを!」

「すまない、悪魔が王都を襲うなんて予想できなかった。だから対応に遅れて……」

「御託は良いって言ってんだろ!」

 ハセクは説明しようとしてもクフラクが聞き入れなかった、ハセクは説得を諦めた。


「ハセクさんテレスが……。」

 セブラブが奥の方まで行っていたらしく背中にテレスを背負っていた。

「ああ、テレスはぶ……」

 そう言いかけた時死んでる事を確認した。

 クフラクが怒っている理由も理解できたし、今まで隠していたことを話すべきだったと後悔した、彼の不遇の運命……王国が変われば政略結婚の話も無くなって自由になれると思った。

 彼が知らない……いや、子供は知る必要はないと思い全ての事が進めばと思ったが上手くはいかなかった。

 ハセクはゲトー要塞で子供を焼き殺した事を未だに引きずっていた、彼らの未来を一つの魔法で簡単に消し去ってしまったことをずっと後悔している。

 当時は王国の命令でもあり現在ほどの不信感もなかったため従うしかなかった、雷獄の名は実質本人にしてみれば不名誉である。

「ごめん、僕たち……いや、僕の責任だ。死んで償うべきだと思っている……その前に君を解放しなきゃ……。」

「ああ?!何言ってんだよ!この力がなきゃ、お前も悪魔も殺せない!」

 ハセクは怠惰だが責任感はあった、未来ある子供に対する執着がハセクとクフラクを対立させてしまった。


 その後、セブラブがテレスとクフラクを背に乗せて帝国の密偵の元に走っていった。

 ラスティーネは喪失感のあまりしばらく口が聞けなくなったらしい。


 キーウィ側では……

「マジヤバいって……。」

 息を切らすキーウィ、数が多く苦戦していた。

「サタン様の目的は達成されたようですので、あなたにはそろそろ死んで頂きます。」

 首に蛇を巻いた女が話す。

「ああ?簡単に死なねっツゥーの。」

 そう宣言して魔力を貯める。

 周りに氷柱を多く出し、悪魔達を囲んだ。

「なんの真似ですか?」

 首に蛇を巻いた女は疑問を口にした。

「まだまだ……」

 そう言い続け、今度は囲った周りを大炎上させた、建物が燃え移り氷柱が溶け始める。

「トリプルエレメント……厄介な……。」

「リリス様!お逃げください!この女……」

 隣にいたサキュバスに忠告される。

 この時キーウィは相手がサタンの妻に当たるリリスだと確信を持てた、ここで渾身の一撃を放つつもりだ。

「終わりだ、リリス……これで私は大手柄……」

 大きな爆発が起き悪魔を囲った部分に大きなクレーターができた。

 リリスは上空にある魔界の扉に逃げようとしたが、間に合わず下半身が消し飛んだ。

 そのまま落ちて行き地面に落下した。


「まだ、体が残っているなら……こいつに乗っ取れば……。」

 キーウィは自爆魔法を使ったわけではない、ただの大きな魔法を使ったに過ぎなかった、血液の消費が激しく脳貧血で倒れているだけだった。


 リリスはキーウィに近づいて触れようとしたその瞬間。

 剣がリリスの伸ばした腕に刺さる。

「悪いが、私の仲間だ触れさせはせん。」

 話していたのはバルキルウスだった。

 バルキルウス率いる黒死隊と帝国兵が王都に着いたのだ、現在彼らは住民の避難と応戦をしている。

「くそ、また眠るのか私は……」

 残念そうに話すリリス。

 バルキルウスによって首を刎ねられ消えていった。

「すまないキーウィ……遅れてしまった。」

 バルキルウスはキーウィを抱えハセク達がいる場所へ向かっていった。


 ハクレ達は……

「なぜだ……体が再生しないだと……」

 アスモデウスがハクレによって体を切られ続けていた。

「私はあなたを許さない……簡単には死なせない……。」

 ハクレはアルバートの無惨な姿を見て憤怒していた、刀身に光が宿っているのは信仰力がかなり強くないと出来ない。

「そうか、その刀身か……だから……」

 アスモデウスはその刀身が天性によるものだと気がついた。

 自分が再生できない理由は天性による浄化だった。

「あなたの負けです。」

 その瞬間、目の前に転移魔法で仮面の女が現れた。

「おお、来たかヒル……」

 アスモデウスが言い放つ前に首を切り落とし、消えてしまわないように氷の封印魔法で頭を封印した。

 この封印魔法はスフィアーネ女王が封印されていたものと同じである。

 その後仮面の女はすぐに転移していった。

 ハクレは固まったまま呆然としていた。


 そして、アスモデウスが倒されると魔界の扉が閉ざされた。

「ひっ!す、すいません!許してくださいぃぃぃぃ。」

 ヘルヘイトスが土下座して悪魔に殺されそうになったいたが、悪魔が手を止めた。

「あれ?動かなくなった……。」

 魔界の扉で隠れていた太陽が悪魔達に襲い掛かる、王都にいる悪魔は影に逃げるが太陽の日を浴びた悪魔は灰になっていった。


 王都に残った悪魔はギルドと帝国の兵士によって殲滅された、一番困ったことに中には人間に模した悪魔もおり中には太陽の光が効かない悪魔もいた。

 悪魔の王都侵略は食い止める事ができたが、残った悪魔によって治安は悪化の一途を辿ることになる、後にこれは悪魔の共存侵略という形で幕を閉じた。

 


 二十二話に続く……。



 世界設定:悪魔


 この世界には悪魔が存在している。悪魔にも種類がおり、それぞれ生きていくためには糧が必要である。大罪悪魔のように欲を糧にしているものもいれば、サキュバスのように人から精気を取って糧にする者もいる。性格もさまざまで優しい者から残酷な者まで幅が広く人とあまり変わらない。契約に関しても悪魔の位が高ければ契約者に付与する恩恵も大きく、前の回でも説明した通り契約すれば属性や寿命を付与したりできる。普段悪魔は小さい魔界の扉を作って人間の世界に入り込むが魔界の扉を作るにはかなりの技術が必要である、なので今回はアスモデウスやリリスがそれに当たるが消えてしまったため、王都に取り残されてしまった。


 読んで頂きありがとうございます。少し時間が取れなくなってきたので投稿頻度が下がっています。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

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