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第十四話 大人の虚像

 アルス達は無事帝国に着き、皇帝の話を聞くことができた。そのあと、キーウィを王国と帝国間の通信役として派遣された。そしてこれは、皇帝と話をする二日前程の話だ……。

 アルス達が皇帝と話をする二日程前……。


 俺はクフラク・リ・エバルタ。

 アルスさんが長期休暇でしばらく旅行に行くらしい。それと同時に隊長も有給を取ってどっかに行ってしまった。大人はみんな勝手だ……。

 今日はテレスを剣聖隊施設の外で遊ばせるけど、一緒にハセクさんがついている。

「ハセクさん。」

「ん?どうしたんだいクフラク?」

「アルスさんは何処に行ったんですか?」

「故郷に帰って見て回るらしいよ。」

「帝国に?」

「うん、何か大事な用事があるんだよ。」

 俺にはわかる、ハセクさんは何かを隠している。

 おじさんも親父もそうだった、俺に黙って王女の婚約者にした。そうやって大人はみんな隠すし嘘を平気でつく。俺の考えも無視して勝手に俺の物語が進む。


 すると、遊んでたテレスがこっちに来た。

「クフラクなんか怖い。」

「ご、ごめん考え事してて。」

 今は仕事に集中しないと。外で遊ばせているとはいえ、テレスの護衛だ。


 午後になるにつれて、テレスは遊び疲れて寝てしまった。


「さぁ、クフラク剣の稽古でもしようか?」

 ハセクさんが提案してきた。

「はい、よろしくお願いします。」


 クフラクはハセクからサルードの型を教えてもらっている。

「ハセクさん僕も違う型で戦いたいです。」

「ダメだよ、みんな使わない型だけど知識として覚えなきゃ。」

 基本的なところを教わるがとても退屈だ、だって素振りだけでモノに当たるわけじゃないんだもん。


「クフラク、真面目にやらないと。」

「でも実践じゃ役に立たないでしょ?」

「さぁ、どうだろうね。」

 またなんか、はぐらかしてる。自分で考えろってか。

 正直イライラする。でも、俺の役目はここで強くなることにある。その信念だけは貫かないと。

 そこからはお昼までずっと練習した、素振りだけだったけどハセクさんはずっと僕の動きを見てくれていた。


「今日はここまでかな、お昼にしよう。」

「はい、ありがとうございます。」


 そして、お昼になってご飯を食べた。結局、練習後のご飯が一番うまかった。

「君も大変だね。」

 ハセクさんが話をかけてきた。

「何がです?」

 俺は不機嫌に答えてしまった。

「君、ずっとイライラしてるんだもん。素振り見てたらわかるよ。」

「それを口にするとか嫌味ですか?」

「いや、若いって——良いねってこと。」

「全然わからない。」

「分からなくて良いんだ、しばらくしたら君を縛り付けるものから解放されるはずさ。」

「さっきから、分からない。」

「分からなくって良いんだって、でもね我慢は必要さ——辛抱強く今は言われたことをやれば良いんだ。」

 最後の最後まで俺を遊んでいるのか?答えが欲しい……そう強くいつも願っている。

 大人は明確な答えを絶対提示しない、それが頭にくる。

 それに比べてアルスさんは、いつもストレートだった。思ったことをちゃんと口にしてくれる。


 そのまま剣聖隊の施設に戻り事務作業に移った。

 一緒に作業するのはエレスさんだ……。

「計算難しいよークフラク」

「大丈夫、俺に任せて。」

 エレスさんと事務作業する時は少しは大人っぽいことができて、楽しい。頼ってくれる人がいるってなんか良いな。


 午後の業務も終わり、ベッドに入る。

『今日も疲れたな、いつまで俺をここに縛り付けるんだろう?』

「……しぃか……」

『力があれば、僕は自分の運命を変えられるのかな』

「ちか……が……か……」

『なんだろう?人の声が聞こえる。』

 その後、疲れて寝てしまった。


 目を覚ますと、周りが炎で囲われており。変に暑さも感じた。

 前を見ると大きい椅子に悪魔が鎮座していた。

「我が名はサタン……。お前と契約しにきた……。」

「何が……?!」

「慌てるな、少年……お前は選ばれた。私は力を欲する者の前に現れる……強い怒りと共にな……。」

「別に怒ってなんかない。」

「嘘はよくない、お前は力を欲している……。私と契約すれば自由になれるのだぞ?」

「そんなモノに俺は頼らない。」

 そう、俺は俺の力で何とかしてみせる。絶対に他人なんか頼らない。

「ほぉ……意思だけは紛い物ではないか……。」

「お前も大人と同じだ!そうやって人を騙すんだろ!!」

「面白いぞ!少年!」

 悪魔は高笑いをした。

「また、会う頃には後悔しているだろうな……。」

 そう言って姿を消していった。


 目が覚めると朝になっていた。

「大丈夫?」

 横にいたのはテレスだった。

「うん、大丈夫。変な夢を見ただけ。」

「ハセクさんが早く来いって。」

「ん、まさか……」

 やばい、寝坊だ……言い訳考えなきゃ……。


 大広間に顔を出す。

「すいません!寝坊しちゃって!」

「大丈夫だよ。僕も時々寝坊するから。」

「ハセク先輩は常にでしょ……。」

 アルバートさんが困ったように話す。

「それにしてもすごい汗ですよ大丈夫ですか?」

 ハクレさんが心配そうに話す。

「ええ、それが変な夢を見たというか……。」

「変な夢?」

 ハセクさんがこっちを怪しそうに見る。

「いえ、何でもないです。大丈夫ですよ。」

 どうせ、子供の言うことなんて信じてくれないさ。


 そして、今日も今日とでハセクさんと一緒に外に出る。昨日と同じだ。

「今日もテレスちゃん元気に遊んでるねー。」

 ハセクさんがテレスの方を見ながら喋っている。

「そ、そうですね。」

「でさ、変な夢って何?」

「ええ?」

 急にその話が出てびっくりした。

「いや、いやーなんかサウナでのぼせちゃう夢で。」

「ふーん」

 何でそんなに疑っているんだよ、どうせ喋ったってガキの言うことだと思って流されるさ。

「クフラク、嘘ついてる。」

 テレスが鋭く話しかける。

「ま、まさかそんな。」

「大人と同じなの?」

 この言葉を聞いた時、自分は大人という言葉を盾にして逃げていたことに気づいた。

「俺は甘えてたのか、この言葉で……。」

 ハセクさんがこっちを見て話す。

「クフラク、君は確かに子供だ。大人を憎んでも良いし毛嫌いしたって構わない。でもね、少なくとも僕たち大人は君を愛している。」

「愛してるって……。ていの良い嘘を……。」

 何だか、ハセクさんの方を見れなくなった。

 泣きたくてたまらなかった。

 それに恥じる言動をしていたことに腹が立ったのかな……。

「みんな、優しいよ。ハセクもハクレもアルバート、エルスも。あと、アルス。」

 頑張って伝えるテレス。

「し……知って……る……。」

 我慢できなくて泣いた。ここに来て初めてかも。


 しばらくして落ち着いたので、夢の内容をハセクさんに話した。

「へーサタンがねぇ。」

 ハセクさんに話したが興味なさそうだった。

「やっぱり信じない!」

「いいや、信じるよ。そもそも僕も悪魔と話したし。」

「そ、そうなんですか?」

「うん、僕はベルフェゴールっていう悪魔と話したかな。」

「契約したんですか?」

「まさか、僕は基本怠け者だからね。興味ないって言ったら、帰っていったよ。」

「ええ……。」

「でも、また会うって言ってたな。何なんだろう……。」

 ハセクさんが険しい顔で考えてる。

「後悔するっていうのは何なんでしょう?」

「悪いけど僕にも分からない。けど、そろそろか……。」

「そろそろ?」

「ああ、君に別の型を教えるよ。僕の十八番だけどね。」

 確かに嘘は言ってないけど、別の目的があるように思えた。


 俺は一回大人を信じてみようとした。


 でも、これが俺の人生の転機になることをみんな知らない。



 一方王国城内……。

 私の名前は、ヘルヘイトス。

 アグライト様に雇われた密偵です。

 え、私が誰かって?大丈夫、私の登場はこの辺からって決まってました。


 今現在、新人メイドとして動いております。

 とはいえ、国王様の真の目的を探らなければならないのですが、これが難しい。

 基本ラスティーネ様の身の回りの世話をする事が多いので、中々王の部屋には近づけません。

『しかし、どうすれば。部屋まで行けるんでしょう?』

「どうなさいました?険しい顔をして?」

 廊下で険しい顔をしてたら後ろからラスティーネ様に声をかけられました。

「ヒィ!!い、いえ何でもございません!!」

「ごめんなさい。びっくりさせちゃいましたね。」

「いえ、滅相もございません!」

 ごめん遊ばせと言ってラスティーネ様は自分の部屋に戻っていきました。

 

 聞くところによると、アグライト様でも王の部屋に入れないとか。入れるのは王と親しい仲の人で例えば騎士団長とか入れます。近衛兵も入れますね。

 そもそも何で私なんて雇ったんでしょう?それがわかりません。


 その夜……地下にて……。

「んーやはり王の部屋には近づけんか」

 アグライト様が頭を抱えております。

「王の部屋、昔入ったことがあるが。普通の部屋だったな。」

 スーゼル様も困っているように見えます。

 あ、やばい催して来た。

「すいません、お花摘みに行ってきます。」

「ああ、なるべく早く戻ってこいよ。」


 用を足してスッキリしました!

 暗い地下牢の廊下を歩いていると、小さい黒い影が見えました。

『子供?』

 ここは、アグライト様に来ていただくべきか否か……。

 これは、見失う前にすぐにいきましょう!

 そうして、黒い影を追って来ました。場所はやはり王の部屋。


 私はそっと扉に聞き耳を立てました。

「ええ、残念ながらあの剣聖を仕留め損いました……。」

 剣聖?誰でしょう?あと、この声は子供でしょうか?

「そうか、ドラゴンは一匹だけか……?」

「はい、私の弟のドラゴンです。油断したそうですが……。」

 ドラゴン?なんのことやら?


「それと、一つ。もしやと思いまして地下牢を散策しました……。」

 やっぱりあの黒い影の正体はこの子ですね。

「私たちを嗅ぎ回っているようです……。」

「そうか、始末しろ……。」

「いえ、ですが……相手は元剣聖の男と騎士団の副団長です……勝てるかどうか……。」

「ほう、あいつらか……。ならば、しばし泳がせておけ……。」

「いいのですか?彼らは待ってくれません……。」

「その代わりに、ラスティーネを謀殺する。」

 え?これやばくないですか?

「これでは、アスモデウス様が!」

「声を慎め……。」

「も、申し訳ございません……。」

「契約主達は既にアスモデウスを見限ったようだ。供物はもはや捧げん。」

「み、見捨てるのですか?」

「当然だ、それにサタン様はクフラクに目星をつけたそうだ。なれば、婚約なんてものは難しくなる。」

 どういうことでしょう?話が全く見えてきません。

「私にはスフィアーネがいる。これは好都合だ、次の世継ぎは男児でなくてはな……もし、生まれなければ孕ませ続けるのみだ……。」

 え?孕ませるって……え?

「では、共和国の古城に向かわれますか?」

「ああ、時間は追って連絡しよう。」


 た、大変です!ぽっと出の私がとんでもないことを聞いてしまいました!


 その後私は、足早に地下牢に行きアグライト様とスーゼル様にこの事をお話ししました。二人ともとても驚いていました——その翌日アルス様一行が到着いたしました。この出来事があったせいで、私はとんでもない事件に巻き込まれて行きます。


 十五話に続く……。


 世界設定:共和国について


 共和国は王国の隣国に位置していた国であり大戦開始前までは一つの国であった。帝国、王国共に平和的関係を長く続けていた。大戦開始と同時に王国に飲み込まれ領土が広大化した、環境は王国と大差がなく比較的農村が多い、首都もあったが城が放棄されたため、人も少なく過疎化が進んでいる。教会も多くエルスター教の信者が多い、当時は女王制を採用していたためスフィアーネが象徴だったのが原因とされる。また、第三話に出てきた村は元共和国の領地である。




 読んでいただきありがとうございます。だいぶ書き方も変わって来ました。前まで——これの使い方がわからなかったり。三点リーダーの出し方もわかりませんでした。あとはもうちょっと行間を開けるなどの工夫をしたいです。また、よろしくお願いします。

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