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第十話 魔女の秘密

 ゴメリウスを無事討伐したアルス一行だったが、ルビウスの反撃により痛手を負うアルス。そこに突然死んだガルムがルビウスの頭を食いちぎる、ガルムの正体そして魔女の秘密とは?

 今、目の前で信じられないことが起きていた……ガルムから死んだはずのセブラブが喋っているのだから。

「あの、信じてくれませんよね……私がセブラブなんて。」

「仮にセブラブだったとして、何故助けてくれたんだ?」

 自分は疑問に思ったことを口にした。

「アグライトさんに頼まれたんです、あなた達と協力するようにと。」

「だけど、君はゴメリウスと計略して自分達をはめたんじゃ?」

「確かに、私はあなた達を嵌めました。それと同時に迷ってもいたんです、このまま死ねば魔女から解放されると。」

 通りでゴメリウスと一戦交える際、渋っていた理由がわかった気がする。

「喰われて生き絶えるまでゴメリウス様とお話しました。王国で過ごした事の楽しさを……気が付いていれば私はガルムの姿になっていました。」

『王国で過ごした楽しさって、ずっと拷問室だったような……。まさか……。』

「アグライトさんによって、新しい刺激のある人生を見つけることができたんです!きっとゴメリウス様はお情けで、傀儡化したガルムに私の思念体を移したに決まっています!」

「そ、そうか良かったな……。」

 多分別の目的がある気がするが、喜んでいる相手を見て悪い気がしない。そもそもセブラブが単純なやつだからと言うのもある。

「なので、私はここからあなた達に協力致します。ここ、帝国大魔女団の秘密を……。」


 セブラブに案内されてさらに地下の奥深くに案内された。

 周りを見てみると、何かの研究室だろうか?部屋は広く闇の魔術に関する教本や、魔法陣が壁や天井、床にびっしり書かれていた。

 そのまま、セブラブに床に人一人入れるような小さい穴を覗き込んでみるように促された。

 そこは、衝撃の光景が広がっていた。

「おい、これはなんだ……?」

 ドルクが驚いたように話す。

「お前ら魔女で言うところの生贄か?」

 考察しながら話すバルキルウス。

「いいえ、少し違います。ここはとある実験の不適正者を埋めるための穴なんです。地下都市とはいえ、子供の死体が大量にあったら怪しまれるのでここに隠していました。」

 そう、その小さな穴の中には幼児もいれば、10代の子供の遺体がぎゅうぎゅうになって入っていた。下に行けば行くほど白骨化しており上はまだ人の肌が見える——よく見ると共通して謎の紋章が入っていた。

「私たち魔女は300年ほど前に人口の増加と共に増えていき——帝国の魔女狩りと日々戦ってきました。帝国の中にはエルスター教の信徒もいますから、天性の魔法で息を引き取る魔女も少なくありませんでした。」

 思い出しているのか悲しそうな声で話を続けるセブラブ。

「そこで、ゴメリウス様は地下都市で貧困の子供を攫い。闇の魔術を捧げた後に天性の魔法で抗体を作る実験をしていたのです。」

「なるほど、その犠牲者がこの穴の中に……。」

 ドルクが不機嫌そうに穴の中を見る。

「ええ、私も反対しましたがダメでした——世の中には二つの属性を持って生まれてくる人もいるように、闇と天のどちらも扱える人がいるとゴメリウス様は思ったんです。」

 確かに、この世には属性が二つもあれば三つ持っていいるものもいる。それならばいてもおかしくはないだろう。

「では、闇と天をどちらも扱えるものはいたんですか?」

 自分は疑問に思ったことを話す。

「はい、実際いました。10年以上前にこの魔女団の拠点に誰かが忍び込んで誘拐されました。」

「誘拐?」

 バルキルウスは引っかかるように聞く。

「はい、目的はわかりませんが——誘拐されたんです。貴重な研究対象を失ったゴメリウス様は大慌てでした。」

「その子の名前は分かるのか?」

 食い気味に話すバルキルウス。

「いえ、わかりません。実験対象に名前はありませんから——被験体3号とだけ言われてました。」

「3号と言うことは、他にもいるんですね?」

 自分がそう尋ねると。

「ええ、闇と天を扱えるものはもう二人います。魔女団の他の施設に移送されたとか……別の実験をしているようですよ。」

 セブラブが色々話してくれた、まとめると魔女団は帝国の魔女狩りに対抗するために闇と天の二つが共存できる人体実験をしていたようだ。

 後々セブラブが話してくれたが、ゴメリウスは魔女蔑視の世界を変えようと1000年以上頑張っていたそうだ。だが、本人がいない以上これが本当の目的かどうか知る由もない。


 帝国城に戻るとアルバートとハクレが待っていた。

 ハクレは背中に深い傷を負ったが幸い死には至らなかった。

 セブラブは魔女団拠点の案内を終えると死刑執行だったが、死んだガルムの体に憑依しているため王国で研究対象として扱われるようだ。

 翌日には出発し王国に戻るのだが……。


「おい、アルス。明日帰るんだろ?日が昇るまでちょっと付き合え。」

 ドルクが強引に肩を掴む

「はい、もちろんです。」

 そうして、帝国の模擬戦場に連れて行かれた。


「怪我してるとこ悪いな。お前と一戦交えたいんだ——テレスミクロの弟子がどこまでできるのか。」

「いえ、構いませんよ。自分もドルクさんと一戦交えてみたかったんです。」

 両者木剣を構える、ドルクは究極型でこちらを観察——自分はサルードの型で構えるが……。

 ドルクさんはなぜ、究極型をずっと構えているのであろうか——その型をしている以上、自分が攻撃しないと話が進まない……その時だった。

 ドルクさんが究極型の状態で切り掛かってきた。だが、体が隙だらけ——この型の弱点である。

『そのまま切れば……。』

 だが、攻撃は当たらなかった。自分が反撃をした瞬間剣を叩きつけられ、首元を狙われるが——体を後ろに引いて避ける。

「さすがだ。普通だったらお前が勝ってるよな?」

「一体何が?」

「それは、俺に勝ったら教えてやる。」

 究極型の弱点は先行攻撃で絶対負けること、その代わりカウンターは絶対当たるがこれは一体?

 ドルクがまた仕掛けるので自分も究極型にしてドルクの攻撃に対処する、よく見ていると絶対隙だらけなのにカウンターを入れても何故かに当たらない。

 負けると思い、次の攻撃を木剣で受け止めた後——木剣を捨ててドルクをそのまま背負い投げる。

「おお!やるじゃねーか!」

 ドルクは嬉しそうに笑ったが、「けど、甘いな」と言ってドルクは投げられた勢いと一緒に回転切りを直に食らった——これが真剣なら死んでる。

「いや、剣聖なのに剣を捨てるとかおもしれーな!」

 ドルクが笑いながら話す。

「剣だけが全てじゃないですから。」

「まぁ、一本取られたようなもんだから話してやるよ。究極型なのに自分から攻撃しても負けないのか。」


 そしてドルクは話を始める。

「それはな、こっちが攻撃を仕掛けた時相手の反撃を予測するのさ。」

「予測ですか?」

「おう、こっちから攻撃すれば絶対相手の反撃を食う。お前が小さい時テレスミクロの試合いを見ていた時と同じようにな。だから、相手の反撃を予測してそいつをいなすのさ。そしたら勝手にあっちも攻撃して来るかもしれないから、その時はこの究極型の本領であるカウンターを使うのさ。」

「はぁ、ではその予測が外れたらどうするのですか?」

「そん時は死ぬさ、こいつは予測が外れたら死ぬ。ただそれだけだ。」

「リスクが大きすぎますね……」

「だから沢山戦うのさ、そこから敵の行動パターンや使う型の特性。これは経験だけが頼りになる戦い方だ。」

 ドルクさんは自分の経験値を信じてこの型に転用したようだ。この型の唯一の弱点である——必ず負ける先制攻撃を己の力で封印したようだ。

「でもまぁ、まさか剣捨てて一本背負は予測できなかったな。だから教えてやったんだよ。」

「まさか、ドルクさんに教えていただけるなんて思ってもいませんでした。」

「お前は弟みたいなもんだからな、色々お節介を焼きたいんだよ。」

 背中をバシバシ叩いてきた。

「ドルクさんは師匠のことが好きでしたよね?」

「スゥ………何で知ってんだ?」

「いや、カマかけただけです……すいません。」

 このクソガキと言われて首を絞められたが、その後朝まで一緒に飲んだ。


 翌日、帝国城を出発しようと馬車に乗るが正直気持ち悪い。

「おーい、アルス大丈夫か?」

 心配そうに話すドルク

「はい、大丈夫です……多分。」

「ん、兄貴飲んでたんですか?」

 アルバートが不思議そうに話す。

「ああ、そういえばハクレは大丈夫か?」

「はい、思いの外元気でした。」

「付きっきりで看病してたからな。」

 バルキルウスが話す。

「はぁ、今度は剣聖隊と仲良く酒でも飲みたいがね。次は戦争で会うかもしれんな。」

 残念そうに話すドルク。

「そうならないように、この一件の謎を早く解決する他ありませんね。」

 思ったことを話す自分

「ん、あーそうだな。」

 とドルク

「次会うことがあれば、うちの黒死隊の面々を紹介したい。きっと仲良くできるはずだ。」

 バルキルウスが話す。

 たった1日ちょっとだったが、とってもいい人たちだった——今度会う時は戦争でないことを祈るばかりだ。


 別れを惜しんで王国城に向かう、何故かわからないが皆のためと言って馬車をセブラブが引いている……。何で喜んでいるんだ?


「帝国の人たちみんないい人でしたね。」

 ハクレが話す。

「確かに、ドルクさんが敵だったら剣聖7人でも勝てる気はしないな。」

 自分がそう話すが実際そうで、教会で敵に囲まれたときドルクさん単騎で百人近く斬り殺したらしい。逃げる敵は足だけ切って教会から出れなくしたとか。

「帝国城の人たちを見ても結構穏やかな人が多かった印象があります。」

 メガネが考察しながら話す。

「問題は村で姫様が襲われてから、ここまで話が繋がっていることにある。」

 自分も考察しながら話す。

「ええ、このまま何もないわけがないですね。まだ、あの女が残ってます。」

 ハクレが話す。

 仮面の女、奴は一体何者なのだろう……。


 セブラブが頑張ってくれたおかげで、王国まではあっという間だった。

 剣聖隊の施設に戻って、報告をした。

 これからは主に、王国内に魔女が二人の被験体を研究している拠点を見つけることと。

 魔女を発見した場合すぐに捕縛、尋問をし帝国魔女団との繋がりを確認することにある。

 どれも、王国内での仕事になるので見つかりづらいだろう。

 ゴメリウスが言ったとされる魔女との共存、自分は正直どっちでも良い……でも、セブラブは少なくともそれを望んでいる。それは果てしない道のりだろう。


 ゴメリウス討伐は大魔女狩りとして、後の事件に大き関わる。


 そして、王国暦12年。

 ゴメリウス討伐から2年が経過した。マルマキアさんが死んで、欠員が出たためすぐに補充がなされた、スーゼルさんはラスティーネ王女の近衛兵として転職。すぐにまた補充がかかった。これ以上危ない目に遭わせないよう王から直々に通達されたそうだ、2年の月日が流れたが大きな事件は何一つ起きていない。


 そう、油断している時自分たちは地獄を見たのだ……。


 十一話に続く……。


世界設定:地理、情勢など


面積約2,100,000k㎡であり、大陸である。王国は北に位置しており近くに海があるため貿易がしやすい。王国領は比較的山々が緩やかであるため移動がしやすいが逆に帝国は南に位置しており、山々が急で及び渓谷が多い。道も急なため移動がしにくく海も近いといえば近いが山を越えなければいけないため貿易には向かないが大戦時人工的に作った道が多く残っている。鉱山採掘で国益を上げていてそれと芋蔓式で鍛冶屋も多くそれと同時に傭兵の数も多い。この両国は比較的近く向かい合っており、日々睨み合いをきかせている。両国以外にも国は存在しているが、王国や帝国と比べて規模が小さいため争いには参加しないよう注意を払っているようだ。また、この大陸の外には様々な国が存在している。



読んでいただきありがとうございます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

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