No.106 prologue "Reveil Rouge"
あなたは、幸運の招待状を持つ由緒正しき貴族だ。そして、『赤の目覚め 国宝窃盗事件』の目撃者でもある。
事件当日は、暗雲立ち込めるくもり空だった。
リーンゴーンと、大時計の鐘の音が鳴り響く、十二時ちょうど。ロイヤルガーデンの最奥、展示室『赤の目覚め』の扉が開かれる。
幸運の道しるべは、赤い絨毯。それをたどれば、何者も立ち入れない鉄格子があり、さらに鍵をかけられた美しいガラスケースが見えてくる。
しかし、その中にあるはずの国宝『亡き王女の愛した懐中時計』は、すでに無くなっていた。
招待客が騒ぎ出す。広がっていく喧騒の中、あなたは赤い髪の女を目撃する。彼女は微笑んで告げた。
「お騒がせして、ごめんあそばせ? 懐中時計はここにあるわ」
美しき国宝を盗み、女泥棒は華麗に去っていった。
翌日、犯人が捕縛されたことを新聞記事で知り、あなたは安堵する。
しかし、外を見れば、昨日から続く土砂降りの雨。テーブルの上には、幸運の招待状が入っていた空っぽの封筒と、泥棒の新聞記事。
あなたがもらい受けるはずだった幸運が、だれかに盗み取られたような気がして、少しだけ憂鬱になるのだった。
さて、あなたが盗まれた幸運は、どこにいってしまったのか。一体、誰に盗まれたのか。
その真相を確かめてみましょうか。




