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『けん者』  作者: レオナルド今井
水と花の都の疾風姫
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薔薇の街でも狐狩り

 ──あれからしばらくして。

「気配を感じました。あの幹が三方向に分かれて伸びた木のすぐ近くから『索敵』スキルに反応があるのです」

 茂みに隠れていると、マキがそう耳打ちした。

 現在、俺たちはフォックスナイトが目撃された街の近くにある森林地帯にやってきていたのだ。

「ナイスだ。さすがの『望遠』スキルも視界が通らない森林地帯では効果半減だからな」

 二人でサムズアップしつつ、マキが教えてくれた場所に向けて、新規習得した『傍受』スキルを使ってみる。

 ここにくる道中で何度か試してみたところ、座標とどの生物がいるかさえ分かれば人以外にも使えることが判明した。ただし、知能レベルが低い生物に使うと喜怒哀楽の四種類どころか『腹減った』と『エロいことしたい』と『寝たい』の三種類しかないことさえザラだった。しかも、人語の音声で聞こえるケースは稀で、社会性の低い生き物に『傍受』スキルを使ってもソーシャルネットワーキングサービスのスタンプ程度の情報しか得られなかった。しかも、一瞬だけ脳裏をよぎる程度の気づきにくさである。

 日本人は少ない情報でも意思疎通をとることができると聞いたことがあるが、確かに俺には数種類のスタンプ程度でも意図を傍受できるが、カールが言うには人かそれに近い生き物以外には役に立たないそうだ。これが悲しき知力ステータスの差か。

 本人がこの場にいたら怒りそうなことを考えながらスキルを使っていると、さっそく効果が表れたのか絵文字レベルの荒い情報が脳内に届いてきた。

「達成感、求愛。そして、喜ぶ想い人の姿。……どうやらあそこにいるフォックスナイトにとって、今回の祭壇は恋心を抱いている個体への捧げものらしいな」

「なんかいいですね、フォックスナイトも。他の生き物に危害を加える点さえ目を瞑ればカッコいい生き物なのですが」

 スキルを使って得た断片的な情報を言語化してやると、隣で潜伏するマキが恋に恋する乙女みたいな反応を示した。

「お前、そんな恋愛小説にドハマりしている少女みたいなリアクションするんだな」

「失礼ですね。アタシだって恋愛小説を趣味にしがちな年頃の乙女です。……まったくケンジローはデリカシーないですね。次に失礼なことを言ったら蹴りますよ」

 いかにも『怒ってます』とでも言いたそうに頬を膨らませるマキを宥めていると、標的にしたフォックスナイトが動き出した。

 さっき『傍受』した感じだと相当気合を入れているようだが、あのオスが作った祭壇はいったい如何ほどか。

 マキの『隠密』スキルの影響を受けながらフォックスナイトを追跡すると、ちょっとした木の上にある空間が見えてきた。

 地上から三メートルほどで、森の中のステージといった雰囲気だ。

 そのド真ん中に鎮座するは、魔力を帯びた輝きを放つ鉱石の枝だ。

「あれは魔鉱樹ですね。魔樹木と違って装備の素材にはなりませんが、あれほど立派に成長した魔鉱樹だとコレクターなら財産の大半を費やしてでも手に入れたがる逸品だと思うのです」

 魔鉱樹というのはあれのことだったのか。

 以前、密輸取り締まり記録を整理していた時に密輸品リストで見たことがあったが、実物はあんな感じなのか。

 魔法使い向けの装備の素材になるならソフィアへのお土産に持って帰っても良かったが、換金用としての価値しかないのなら興味半減である。

「あんな重そうなの持って帰れるかよ」

「仮に持って帰れても、買い手がつくまではあの大きいのをアタシたちで持ち運ばなければなりませんね」

 それは嫌だな。

「そういうことなら決まりだな。さあ、収穫の時間だ」

「はい?」

 俺の意図が伝わらず、生返事を返すマキを放って魔法銃を取り出した。

「まだ供物がついてない裸の祭壇じゃ物足りないが、今回の一本目ということならこれでもいいか。……ファイア!」

 魔導サイレンサーにより静かに放たれた一撃は、うっとりとした顔で祭壇を眺めるフォックスナイトのすぐ目の前に着弾した。




 ──数分後。

 俺たちは、血眼になってこちらを探す猛獣から身を寄せ合って隠れていた。

「……というかこれ、別にアタシは隠れなくてもいいのでは」

 お前はなんて薄情なヤツなんだ、という言葉が喉まで出かかるが飲み込んだ。

 今それを口にした結果マキが大声で突っかかって来ようものなら間違いなくフォックスナイトに居場所がバレる。

「やめろ。今の俺にとって、お前だけが生命線なんだ」

「アタシは暇ですけどね。百歩譲って好きでもない……仲間としては隙ですが。とにかく、異性と身を寄せ合う事態になったのは許します。冒険者ですし。ですが、さすがにもっとアタシに言うべきことがあるんじゃないですか? どうなんですか?」

 圧倒的優位に立っているマキが口をニマニマさせながらつついてくる。

 コイツ、フロート辺境伯とは何かあるのだろうと思って詮索しないでおいてやったのに、俺に対しての気づかいはなしかよ。

 マキの『隠密』スキルがなければ、今頃俺は怒り狂ったフォックスナイトに八つ裂きにされていただろう。文句は言えない。マキも珍しく俺にちょっとしたいじわるができて楽しいのだろう。気持ちはわからなくもない。

「今日の夕飯はお前の好きなものにしよう。今のうちに考えておくといい」

「おかずを一品分けてくださいね」

 とことんまで搾り取ろうとしてくるマキを反射的に締め上げようとするのを我慢する。

 コイツには今度絶対に仕返ししよう。

 静かに憎悪を抱いていると、さすがに諦めたらしいフォックスナイトが離れていった。

 夕飯で窮地を乗り切ったと思えば儲けもの、か。

「助かった。ありがとう」

「ま、まあ、仲間ですからね。……あと、お夕飯は生姜焼き定食がいいです。おかずはお肉一切れで大丈夫なのです」

 殊勝な心掛けじゃ……ないな。ちゃっかりしやがって。

 両拳でマキの頭部を挟んでいると、遠くの方を何者かが通り過ぎたのが見えた。

 さっそくそちらを意識して『傍受』スキルを発動する。

「自分が一番優秀、会心の出来、幸福な未来。言語化が難しいスキル使用者の感覚だが、あそこを通り過ぎたのもフォックスナイトで間違いないだろうな」

 さきほどのフォックスナイトとは別個体であろうあのオスは、いったいどのような祭壇を作り上げたのだろうか。

 脳内に届いた情報を正しく解釈できているなら、完成間近の大作があるに違いない。

 そうなれば俄然やる気が出てくる。

「次の獲物を見つけた。フッハッハ、収穫祭は始まったばかりさ」

「収穫祭ってなんですか⁉ 確かに冒険者にとってはお祭りみたいな感じですが、あなただけ目的が違いませんか⁉」

 なにやら突然うるさいマキを連れて、二匹目のフォックスナイトの尾行を開始した。


 しばらく後をつけていると、洞穴というには浅いが、それがかえって専用の空間であるかのような雰囲気を醸し出している、そんな祭壇のもとへとたどり着いた。

 足元には金銀財宝が散らばっており、祭壇の本体部分は魔物の角が使われている。

 大きさは二メートル近くあり、大型の魔物から獲った物で違いないだろう。

「あれはワイバーン種のものですね。たぶん中級程度の個体かと」

「よくわかるな」

 隣でなんの魔物の角かを言い当てたマキに感心する。

 伊達に人生の半分以上を冒険者稼業に費やしてきたわけではないということか。

「最上質ではありませんが、ワイバーンの角を使った武器は装備した者を身軽にするそうです。あれくらいの質で作った装備ならアタシでも持てそうですし、気分が上がりますね」

 足元の財宝には目もくれず宝物を飾る角の方に興味がいくマキを見て、コイツが最速バカなのを再認識した。

「欲しいのか?」

「超欲しいです」

 超欲しいらしい。

 そういうことなら祭壇本体を破壊するのはやめておこう。

 マキの強みである速度が増せばパーティ全体で見ても強化になるという打算的な考えもあるのだが、それは黙っておこう。

 物欲まみれの冒険者に尾行されているなど知る由もないであろうフォックスナイトは、大小様々な王冠たちがかけられた角の一番高い突起へと今まさに王冠を引っ掛けようとしていた。

 あの王冠が一番高そうな見た目をしている。

「……なあ、あの王冠ってどれくらいの価値があるんだ?」

 よだれを垂らしながら角を凝視するマキに聞いてみると、我に返ったのか真剣な表情に戻った彼女は首を横に振った。

「あれは古代の占い師が着けていたとされている王冠なのです。当時の占い師は本当に神の意志を知る者としてその地域の統治者にもなっていたらしいです。装飾は豪華ですが、既に結構な数が出土していて見た目や材質も同じなので歴史的価値は低いみたいですよ。宝石がついているので多少の値段はつくでしょうけど、装備の素材に向かない宝石しかついていないのでアタシたち目線でもあまり価値がないのです」

 なんと残念な代物なんだ。

 だが、相変わらず見た目だけは豪華なので、フォックスナイトのメスを引き寄せる程度の効力はあるだろう。

「であれば、あの王冠が角にかかる直前に王冠だけ撃ち抜いてやろう。そのあと、残った角とかは持って帰ればいいさ」

「本当に考えることが最悪ですね。素直にフォックスナイト自身を撃てばいいものを」

「そんなことをすればせっかくのお宝が汚れるだろうが。それに面白そうな方を選びたいものだろう」

「前者が建前で後者が本音ですね、わかります」

 どちらも本音のつもりなのだが、もはや何を言っても無駄だろう。

 それより、ターゲットの方は絶好のタイミングだ。

 今まさに角にかけられようとしている微妙な王冠を狙って、魔法銃の装置を使わずに引き金を引いた。

 ローレンツ力を一切受けずに銃口を飛び出した銃弾は、普通の火薬式と同じように発砲音を響かせて飛んでいった。

 距離が距離なので、引き金を引いて反動を受けたと思った瞬間には狙い通りの的を撃ち抜いていた。

 安物の王冠がはじけ飛びその破片を顔に受けたフォックスナイトがこちらに気づく。

 年に一度のお祭りなのはフォックスナイトも同じで、中でも今回このオスの祭壇は自信作だったらしい。それを台無しにしたという事実にとてつもない達成感を覚える。

 いつもなら残虐だとか言って貶してくるマキだが、今はそわそわしているだけである。

 さきほどから祭壇に使われている角が気になるらしくこの調子だ。そんなマキは何を思ったか突然茂みから顔を出して俺にこう言った。

「しっかりひきつけててくださいね、ケンジロー!」

「おいちょっと待て!」

 言うが早いか、ありったけの殺意を向けられている俺を放って、フォックスナイトの横方向へと駆けだした。

 ヘイトが向いている俺を囮に角を回収し、挟み撃ちする形でフォックスナイトを仕留める気だろう。

 すなわち、後衛職である俺に接近戦をしろと言っているようなものだ。

 接近戦は被弾リスクが増えるのが嫌で避けてきたのだが、こうなった以上仕方がないか。

 何かあったときのために槍を一振り持ってきておいてよかった。そうでなければステゴロで戦うハメになっていた。

 背中に着けていた魔法がかかった槍を引き抜く。

 以前、ソフィアが魔法で作った槍でその辺の店売り品の中では強い方くらいの物。そんなに強くない分程よい扱いやすさをしているところは特徴がないともいえるが。もちろん、そんな装備をソフィアが作るはずがないので当然変な機能がついている。この武器の場合は先端から謎ビームが出るのだ。

「おい、マキ。戦利品回収はコイツを倒してからにしてくれ」

「わ、わかってますよ?」

 なぜ疑問形なんだと言いたい。

 釘を刺さなければ本当に俺の安全より先に戦利品である魔物の角を回収しに行っていたに違いない。

 基本的に常識人なマキだが、己が最速を目指せそうな状況ならば狂ったように飛びつくメスガキなのだ。危ないと言ったらありゃしない。

 さて、マキといい感じに挟めそうな立ち位置になったが、あくまでこちらからは動かない。

 俺みたいな接近戦素人が下手に攻めに転じて隙を晒せば命の保証はないからだ。

 数的有利をとれているので、フォックスナイトが身動き取りにくいうちにマキに先制攻撃を仕掛けさせ、隙を見て銃撃に切り替えたいところだ。

 そんな意図を視線で伝えると、マキは小さく頷く。そして。

「ふっふっふ、おいしいところはもらいなのです!」

 派手に攻撃宣言をしたマキが、一瞬で気づいて身構えたフォックスナイトへ突撃し。

「今です!」

「任せろ!」

 スピードを殺さず駆け抜けようとしているマキにそう返す。

 槍をしっかり握り、矛先をフォックスナイトへ向けたまま槍に魔力を込めた。

 次の瞬間、マキが通り過ぎたところを魔力の光線が貫いた!




 ──十数分後。

 俺とマキは次の獲物を探して森を歩いていた。

 現在、この森林はフォックスナイトより強い魔物がいないらしく、しかも彼らが気性を荒くして闊歩しているため他の魔物も身を隠しているらしい。

 なので、索敵系のスキルさえしっかり使っていれば奇襲を受けることはまずありえないのだ。

 俺たちのこのゆるい感じはそれが要因である。

 ちなみに、マキは先ほどのフォックスナイトから強奪したワイバーンの角を大事そうに抱えているので戦力外だ。襲われれば普通に危ない。

 二匹目のフォックスナイトとの戦闘だが、マキが俺を見捨てて逃亡したところ、装飾を失った怒りより貴重な祭壇の本体を盗られたショックが大きかったようで洞穴に籠ってしまった。ワイバーンの角さえあればリカバリーも利いただろうに。ああ、お労しや。

 心にもないことを考えていると、何かを見つけたらしいマキが停止の合図を出した。

「いましたよ、次の犠牲者が」

 もはや勝つことが前提である。いったいその自信はどこからでてくるのかと問いたい。

 フォックスナイト自体さほど強い魔物ではないのだが、接近戦での火力に乏しい俺たちでは怪我を負うリスクが考えられる。

 銃の瞬間火力があれば戦えると霧の都にいた頃は考えていたのだが、実はフォックスナイトは矢切りスキルを使えるので矢や弾みたいな飛び道具に強いのだ。

 眉唾だと思った俺はソフィアの護衛を受けながら試したことがあったが、たとえ完璧に奇襲してもどんな反射神経をしているのか必ず防がれた。しかも、こちらの位置がバレるという不利まで背負うのだからフォックスナイト本体を狙うメリットはないのだ。

 だからこそ、今のマキは自信過剰な気もするが。

「その意気だ。俺たちの躍進はこんなものではないからな」

 俺自身も、自信に満ち溢れていた。

 そんなことを考えながら尾行していると、意外とすぐにフォックスナイトの祭壇が見えてきた。

 その辺の木の枝を折って地面に刺したであろう本体部分には、いくつかの木の実が細い枝部分に突き刺さっていた。

 よく見ると、小型の魔物の一部と思わしき肉も刺さっていて、なんだかサイコパスが作った自称芸術作品みたいだった。

「なんか今まで見てきた祭壇を比べるとあれだな」

「地味ですね」

 やり取りの意味がフォックスナイトにバレたら怒られそうな会話を小声でかわす。

 なんというか、興ざめである。

 せっかくなら自信作を目の前で収穫してやりたいのだが、こんな陳腐な祭壇では残念でならない。

 とはいえ、ここでなにもせず帰るというのも冒険者として如何なるものかと思うので、どうしたものかと悩んでいたら。

「えぇ……食べましたよ、せっかく飾った木の実を。食いしん坊なんですかね」

 メスに捧げるはずの祭壇に自分で括りつけたはずの木の実を躊躇なく食った。

 マキの食いしん坊という表現が的を得ているのか、このフォックスナイトは心なしか小柄でだらしない体型をしているように見えてきた。

 こう、なんというか。フォックスナイトらしい騎士道精神のような雰囲気を感じられないどころか、普通に弱そうだ。

「おい、マキ。あの上の方にくっついてるギリギリ食えそうな鮮度のバナナをパクってこいよ。あんなの雑魚固体にはもったいない代物だからさ」

「なんでアタシなのですか。ですがまあ、がっかりしているのは同感なのです」

 断られてしまった。まあ、当然といえば当然か。

 ワイバーンの角を強奪したマキにとって、こんなところで無駄に時間を食うくらいなら帰りたいだろうに。

 俺の小銭稼ぎもとい嫌がらせに付き合わせてしまって申し訳ない。

「わかった。それじゃ俺がいく」

 魔法銃を魔法のかかった荷物入れに収納すると、両手で槍を握り直す。

 こちらの接近に気づくことなく呑気に木の実を食べているフォックスナイトへと距離を詰め、そして。

「奥義、悶絶黄金砕きィッ!」

 槍の矛がついていない方で、フォックスナイトの背後から股間を叩きあげた!

『ギュアアアアアアアア‼』

 おそらく哺乳類の大半のオス個体にとって最恐最悪であろう急所攻撃に、不意打ちとして喰らったフォックスナイトは悶絶し地面をのたうち回っている。

 フォックスナイト、討ち取ったり!

「何が奥義ですか! さすがに卑怯すぎます!」

 勝利の余韻に浸りながら守る者がいなくなった祭壇を槍で叩いていると、連れのマキが後ろからヤジを飛ばしてきた。

「命のやり取りをする場において卑怯もクソもあるか。さて、何かいいものは……なにもないじゃねえか」

 がっかりである。

 もういい。そろそろ日も暮れるし帰ろう。

「マキ、そろそろ日が傾いてきた。夜までには街に戻れるようにもう戻ろうぜ」

「え、ええ。しかし、なんでしょうこの納得のいかない感じは。冒険者稼業を長く続けてきたアタシですらドン引きすることになるとは。なんというか、世の中って残酷なのです。だって、こんな邪悪な愚物が裁かれないのですから」

 マキがなにやらおかしなことを言い出した。

 冒険者なんだから魔物に情など持つべきではないと思うのだが。

 まあいいや。その辺は個人の価値観によるものでもあるだろうし言及しないでおこう。討論になればおそらく言い負かされるしな。

 しばらく帰り道を歩くと街が近くなってきたのか他の冒険者たちが話す声が聞こえてくる。


『今年はなんだか変だったな』

『だよねだよね。なんだか、落ち込んで塞ぎ込んでるフォックスナイトがいたけど、あんなの初めてだよ』


「ケンジロー。なにか思うことがあるんじゃないですか?」

「……黙秘権を行使する」

 隣に立っては指先で頬をついてくるマキから逃げるように街へと帰った。

【作者のコメント】

作者は九連休の社畜です。社会人のみなさん、対戦よろしくお願いします。

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