こんな事になるなら死んだ方がよっぽどマシだ
小説の「し」の字もない大の初心者です、、、!!
ゆるい目で見ていただくと嬉しいです。
一応色んな方に添削して頂きましたが、至らない点がありかもしれません。
登場人物が読者に語りかける表現有り。
私は死んだ。
そう、明らかに死んだ。
誰がどう見ても死んだはずなのだ。
説明をすると、この世界は大人気恋愛ゲーム、「ただの村人から成り上がり⁉︎イチャイチャハーレムレボリューション♡」と言う(名前が驚くくらいにダサいけれど)世界だ。
話の内容は私生児で皇室を追い出され、村人として暮らしていた少年、メテオールとしてストーリーを進めラスボスを倒し、とある有力な公爵令嬢で今作のヒロインであるルーチェと結ばれて皇帝になる。と言うよくある話だ。
もちろん恋愛ゲームだから悪役もいる。その中の1人でラスボスのネーヴェ・アインシェルゲンガーは、ゲームに出てくる悪役の中でもトップクラスに強く、そして性格もひねくれている。
ネーヴェの設定は大雑把に言うと以下の通りだ。
ネーヴェはこの世界で最も歳を取っていてそれでいて強い魔法使い。
だが、悲しい事に、彼の過去がかなり悲惨で愛を知らずに育ったため、かなり冷酷でそれでいて他人の絶望を見て喜ぶなどと言った最低な人間に育ってしまった。
ある日、ネーヴェは自分の城に迷い込んでしまったルーチェの歌を聴き、あまりの美しさと可愛らしさから彼女に恋をしてしまう。
ネーヴェは自分の知っている愛情をたっぷりルーチェに与えたがそれはルーチェにとっては酷い愛し方だった。
その結果、ルーチェはそんな彼の愛の束縛が嫌になり、ちょっとした出来事で関わりのあったメテオールに助けを求めて、メテオールはルーチェを救う為に、ネーヴェのいる城へ向かい、決闘をする。
その結果ネーヴェは死ぬことになってしまう。
そしてメテオールとルーチェは互いに互いのことが好きになり結ばれる。
、、、、なんでこんなに詳しいかって?
だって私がラスボスで、メテオールに殺された張本人、ネーヴェ・アインシェルゲンガーだからだ。
、、、で?なんで既に死んだはずなのに生きているのかって?
知らないよ、気づいたらこの通り、生きているんだもの。
囚われてたりしているわけじゃあるまいし、何処か痛いわけでもあるまいし、、、
こっちが知りたい。
でも、暫く考えていたところ、1つだけ分かったことがある。
どうやら時間が巻き戻ったらしい。
だからこの通り、怪我もしていないし、囚われてもいないわけさ。
こうなると、人生やり直せるし、私が主人公達との決闘で死ぬことを防げるのではないかと思うでしょう。
なのだけれど、よりにもよって蘇ったタイミングがメテオールと決闘する手前。
、、、おかしくないかい???
これじゃあ、蘇った意味あるかな?絶対ないよね?
今ここで、ルーチェに「今まで酷い事してごめんなさい!逃します!さぁ、逃げて!!」と言ったところでそもそもその頃にはメテオールに私は刺されているわけだから間に合わないし、仮に間に合ったとしても余計に怪しまれるだけでしょう?
じゃあ、いっそのこと、彼に殺されるくらいなら自分で死んでやろう!と考え、自殺したとてまたこうして嫌なタイミングで蘇生する可能性があるのと本当に死んでしまう可能性があるわけだし、、、
、、、??
、、、あれ??
、、、もしかして詰み???
、、、詰みだよね、これ。
ところでね、メテオールってさぁ、本当に容赦ないんだよ?
せめてスパッと私の首を斬って倒してくれるならまだしも、かなり私を痛めつけてから倒すのだよ。
しかも「クズ野郎」とか言って私のプライドをズタズタにするのさ。
本当に酷い。
まあ、自業自得なのだけれど。
よくよく考えるとルーチェもルーチェだよね。
あの子ったら本当に被害妄想が過ぎると思うんだよね。
確かに私は実の親に殴られたりとか瀕死の状態にされたりした上でこれが愛情だと言い聞かされてきたからそれを正しい愛し方だと勘違いしてそれを彼女に私の親と同じことをしてしまったよ。
でも、本当にそれだけ。
なのに、あの子は泣き顔でメテオールになんて言ったと思うかい?
私がその時の彼女を真似してあげようか。
『メテオール様ぁ!!あの人ホントに酷いんですぅ!!あの人ったらぁ、私に暴力を振るった挙げ句ぅ、強姦、そして浮気しまくりなんですよぉ!!それで私を愛してるって酷すぎますぅ!!ぜぇったい、ただただ私を痛めつけたいだけですよねぇ!!メテオール様ぁ、こ〜んなクソ野郎、ちゃっちゃと成敗して下さぁい!!』
、、、酷くないかい???
暴力を振るったまでは合っているけれど、強姦もしていないし、浮気もしていないのだけれど。
私、本当に酷いことをしたけれど私なりに彼女を愛していたのだよ?
なのに、まさかのその愛していた女性に途中から私がただのクズ男と言う罵倒を浴びせられたわけなのだよ。
それを鵜呑みにしてメテオールがガチギレ、からの私の話を一切聞かずに倒しに来るし。
それをもう一度今から体験するのだよ。最悪すぎないかい?
そして今から少し待つとルーチェはどこだ!とメテオールが私の部屋に1人で来るわけだけど。
もうお願いだから来なくていいよ、いや、来てくれた方がいいのか?
分からないな、、、
考える時間すらないのだから。
、、、?
それよりも、さっきから何か目線を感じるのだけれど、、、
ここは私の部屋だ、誰も部屋に入れていないし、この時間なら今頃私の使いは全員私を見捨てて逃げている筈なのだけれど。
、、、???
え、この時間、、、
この時間って、、、!!
メテオールが私の部屋にキレながら既に入ってきている時間、、、!!
嫌な予感を感じて恐る恐る扉の方を振り返る。
するとそこには変人を見るような目で突っ立っているメテオールがいたのだった。
、、、!!!
、、、本っ当に最悪なのだけれど!!!!
暫くの間、とても気まずい沈黙の時間が部屋に流れる。
メテオールはさっきから変人を見る目で私をみており、私は動揺を隠せない表情で彼から視線を逸らす。
、、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、
これ以上、沈黙の時間が流れると本当に気まずくなる。
そう感じた私は少し咳払いをして、前世で話した台詞を言うことにした。
「ンン、ついに来たか、、、メテオール。お前のことだ、どうせルーチェを助けるためにここへ来たのだろう?だが、残念だったな、私は彼女を本当に愛しているから一切嫌な思いをさせていない。だから、お前が出る幕などない。さっさと帰りたまえ。」
さぁ、私は言ったぞ。
本来ならこの台詞の次は、メテオールが、私に、
【ふざけるな!お前がルーチェを心から愛している?なんの冗談だ?彼女はわざわざ抜け出してまで助けて。と書かれた書き置きを渡しに来て、助けを呼んだんだぞ!】
と言うはず。
もう、この時点で私は前世と同じ言葉を話してしまった。
ああ、死亡フラグが増えたな、、、などと考えていたら。
メテオールは相変わらず変人を見るような目で、
「、、、、、、お前、ルーチェを拐うだけ拐っといて酷いことをした上に変な声で成敗だの助けてだの、、、お前頭おかしくなったのか?」と私に聞いてきた。
、、、ん?あれ?
え、ここに入ってきたのってついさっきじゃなかったの?
もしかして、彼がドン引きしてるのも1人で嘆く私に対してじゃなくてもしかして女声でルーチェの真似してた時のこと?
、、、だとしたら相当頭おかしい人なだと思われているんじゃ、、、?
あまりの絶望(恥ずかしさによるもの)でさっきから「エ」としか言えない私に対して続いてメテオールは「俺が言うのもなんだが、全然似てないからやめておけ。」とマジレスで私に言うものだから本当に恥ずかしさが爆発し、「そんなの知ってるわ!!」と思わず言ってしまう。
そしてまた謎の気まずい沈黙が流れる。
最終的に完全に呆れ顔のメテオールに「、、、あ〜、その、ルーチェはどこに閉じ込めた?」と聞かれる。
私はと言うと気力が抜けたように「、、、ついてきて」と本来なら中々場所を教えないネーヴェに対して無理やりメテオールが探し出すはずなのに、何故かこれから私を殺してくる相手に道案内をすることになってしまったのだった。
(ここからメテオール視点)
無言でひたすら地下廊を歩く。
俺が先ほどの件に対して言及しようとすると、ネーヴェが「黙れ」の一言を貫くので、言及したくても出来ない、本当に気まずすぎる空間と化していた。
仕方がないのでこれから戦う相手であるネーヴェの観察をすることにした。
噂によるとネーヴェ・アインシェルゲンガーは何億年もの歳を生きていると言う世界一強い魔法使い。
そんな彼はかなり残酷な性格をしており、少しでも彼に逆らうものがいると利用するだけ利用して、そのあとはいくら逆らったものとはいえど、彼に尽くす、尽くさない関係なく慈悲を与えず殺してしまうそうだ。
頭脳的にも賢く、とても強い相手。
なのだが。
正直言わせてもらうと先程の件のせいで噂の通りには見えなくなってしまった。
その上彼は余裕そうな顔持ちではなく、さっきからかなり俺を警戒しているようにしか見えない。
本当にコイツがルーチェを監禁した相手なのか?
などとついつい考えてしまう。
だが、きっとそれは俺を油断させる罠だろう。
絶対そうだ。
にしてはやっぱり、なんかおかしい気がする、、、
ずっとそんなことを考えていると「着いたぞ」と落ち込むようにネーヴェが俺にそう言った。
牢屋の鍵を開けてもらい、咄嗟にルーチェに駆け寄る。
「ルーチェ!!」
「!!メテオール様ぁ!!」
ルーチェはネーヴェに暴力を振るわれて身体中痛いのを忘れて助けに来てくれたメテオールの元へ駆け寄り抱きつく。
パッと見、主人公とヒロインの感動の再会なのだが。
次のルーチェの台詞で一気に台無しになってしまった。
ルーチェは泣きながら、メテオールにこう言った。
「メテオール様ぁ!!あの人ホントに酷いんですぅ!!あの人ったらぁ、私に暴力を振るった挙げ句ぅ、強姦、そして浮気しまくりなんですよぉ!!それで私を愛してるって酷すぎますぅ!!ぜぇったい、ただただ私を痛めつけたいだけですよねぇ!!メテオール様ぁ、こ〜んなクソ野郎、ちゃっちゃと成敗して下さぁい!!」
、、、、、、、、、、、、
またもや気まずい雰囲気が流れる。
どこかで聞いたことのあるそれをルーチェから聞き、嘘だろ?と思いつつチラリとネーヴェを見る。
当のネーヴェはと言うと「本当に最悪なのだけれど、、、」と頭を抱えている。
次はルーチェの様子を見てみる。
ルーチェはと言うと何故こんな気まずい沈黙の時間が流れているのか全く理解していない様子。
、、、、、、、、、、、、
気まずい沈黙が流れる。
1ネーヴェ目線で言うなら、ただでさえ恥ずかしいモノマネをメテオールに見られたと言うのに、本家がその数分後に同じ言葉を放つというさらに恥ずかしすぎることが起きており、恥ずかしい、、、最悪だ、、、と頭を抱える事しか出来ないと言う状況に至っている。
2ルーチェ目線はと言うとメテオールが助けに来たは良いものの何故か、自分を酷い目に合わせたネーヴェ本人が自分のいる場所を落ち込むようにメテオールに案内している(普通なら意地でも敵であるメテオールを案内するわけがない)と言う謎すぎる状況+たった一言話しただけでこの気まずい沈黙が流れていると言う謎の状況=なんでこんなにも意味のわからない謎の状況が繰り広げられているのか理解できず、ただただポカンとこの状況を見る事しか出来ないと言う状態に至っている。
3そしてメテオール。彼はと言うと、ルーチェを助けるために、彼女を監禁した上で、悪さをしているネーヴェを倒しに来たと言うのにいざ彼のいる部屋へ入るとおかしな口調で、自分の名前を呼び、助けてくださぁい!!などと言っているネーヴェに遭遇してしまい、何とか彼にルーチェの居る場所を案内して貰えたは良いものの、ただでさえ気まずすぎるのに、いざルーチェを助けに行くと、次は彼女が数分前にネーヴェが言っていた言葉をそのまんま自分に言ってきたと言うめちゃくちゃ反応に困る状況に至ってしまった。
これがつまりどう言う事なのか。お分かりだろう。
今この空間は「気まずすぎる」と言う言葉に尽きると。
いつまで経っても誰も話さないと言う最悪すぎる状況になったため、メテオールは2人の様子を見て、一番最適解なのは、ネーヴェのモノマネをなかったていで進めることだ、と言う風に考えたのだった。