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魔法学園の編入生


「な、なぁ、悪かったっての!な?機嫌直せって」


「こんなんじゃ、ぐすん、学校いけない。ゲロインとか、吐き女って言われて、いじめられるんだ。うわあああんあんまりだあああ」


ほのかはラーメン屋の裏で涙を流していた。体育座りをして、膝を抱えて、泣きわめく。


「てか、なんであなたが謝るのよ!勝者の慰めは惨めな気持ちにさせるだけなんだよ?」


うら若き乙女が盛大にもどしたのだ。口から吐瀉物を、鼻から麺を、涙が溢れ、白目を向いて気絶する姿は見れたものじゃなかった。そんな泣きわめく様子をやれやれとさちよはポリバケツの上で胡座をかきながら見ていた。手には、先程手に入れた賞金。から、黒服たちに渡した借金から差し引いた少しの小銭が握られていた。魔法を使って、彼女の胃の中の物を2倍にするというズルをしてしまった手前バツが悪かった。さちよはおもむろに口を開いた。


「お前、学生なのか?」


「見て分からない?こ・の・セーラー服!!この街に中学校はひとつしかないでしょ?まぁ、でも、追い出されたけどね。」


「追い出された?なんでまた?」


んっ。とポケットから、クシャクシャになった手紙をだした。そこには退学通知と書いてあった。


「お前、何したんだ?」


「え?んー。別に?食堂でご飯食べてただけだよ?学校の謳い文句に、ブュッフェスタイルの食堂ってあったから。食べてたら、先生や教頭先生やしまいには、校長先生が来て。学校から出ていけってさ。残念だな。あと、10分もあれば、全部完食できたのに」


「そんなにたくさん盛ったのか?」


「ん?盛る?いや、ブュッフェスタイルなんでしょ?食べ放題なんでしょ、全部だよ」


「は?全部?」


「そ!置いてあった食べ物全部!」


「…くっ…ガッハッハッ!全部ってお前!全部食ったのか!ガッハッハッ!」


「あ~あ、これからどうしよ。賞金もらったら、しばらくなんとか暮らせると思ったのに。他に学校ないし」


「あ、そうか!この街に来たばかりなんだな。おわびといっちゃあなんだが、これをやるよ」


「箸?」


さっきまで、彼女が持っていた箸だ。真っ赤で、ツヤツヤしている。中央に『赫』と掘られていた。


「ちげぇよ。お前を幸福に導く魔法の杖さ。誰もが喉から手が出るほど欲しがってるんだぞ。あと、ついでにこいつも」

ぬいぐるみを拾い上げる。緑色の年季のはいったぬいぐるみだった。たぬきのようなねずみのような。

「こいつをやるよ。」

「え~~~」

正直いらない。

「よし、この杖を持って明日あの木に集合な」

街の中央にそびえ立つビルのような大樹を指さして言った。

「ちょ、勝手に」

「どうせ、暇だろ?」

「まぁ、そうだけど」

「ほら、行った行った!…さて、借金は全部返したよなぁ?」

ほのかを追い立てるように帰してから、さちよは、ラーメン屋の路地を振り向く。視線の先には、サングラスで黒服が1人佇んでいた。

「魔力を探知、魔力を探知、違法行為、違法行為」

黒服の身体がむくむくと膨れあがり、いくつもの触手を広げ襲いかかったのだ。

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