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転生先はロリの国でした ~チート能力を添えてロリコン目指して翻弄す~  作者: 桐戸李泉
一章 ようこそ真正ローリ帝国編
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第08話 LBI

「えっ?」


 流れに身を任せていると、馬車に乗り疾走していた。


「え、これ今どういう状態?」


 ノドカがやれやれと言った風にため息をつく。


「和樹さん、きちんとお話を聞いていなかったのですか? 北門にLBIが現れたので総主教であり軍事権の一部を任されている私が出動しているというわけです」


「ごめん、後半は初耳情報だわ。というかそのLBIってのは何なんだよ」


「ロリコン撲滅委員会、通称LBIです。主にこの国に入国できなかった人間、要はぺ度が基準を上回った男性と年齢制限に引っかかった女性で構成された反国家団体です」


「さらっと言ってるけどとんでもない団体じゃねえか」


「少し前までは比較的おとなしかったのですが、風の噂で皇帝崩御のニュースを聞き、政治が混乱している今を狙っていると思われます」


「それもだよ。真正ローリ帝国の皇帝死んでんのかよ」


「そうですよ、3か月ほど前に亡くなりました。だから皇帝になるのは今がチャンスです」


「ロリの口からそんな人間の黒い部分が凝縮した台詞を聞きたくないんだが」


「私ぐらいの偉い地位にいるとどうしてもそういう話ばかりを耳にしてしまいますからね。環境のせいというやつです」


「あの国でそんなこと考えてる人間もいたんだな。全員、ロリを愛でるだけの頭お花畑の人間だと思ってたよ」


「和樹さんが見た光景だけだとそう判断してしまうのは無理もありませんが、そんな国であればとっくの昔に滅んでますよ」


「それもそうだよな」


「おっと、目的地付近ですね。そろそろ降りる準備をして下さい」


「俺はノドカに付いて行くだけでいいんだよな」


「はい。この国の現状をしっかりとその目に焼き付けて下さい。それがロリコンとしての第一歩ですから」


 馬車が止まる。


「ではそろそろ行きましょうか」


 ノドカは馬車を降りるとそのまま真っすぐに外壁の方へ向かっていく。

 その背中を追いつつしばらく歩いていると、焦げた匂いが辺りに充満していた。周りを見るとあちこちに小規模な火災が発生している。


「彼らは外壁の向こう側から火のついたものを投擲してくるんです。外壁周辺にはあまり建物がないので影響は軽微なのですが」


「外壁の向こう側からの攻撃が基本なんだな」


「さすがにここを突破さるわけにはいけませんから。おっと、少し挨拶をしてきますね」


 ノドカはトコトコと歩いて警備兵らしき人物に声をかける。ノドカに声をかけられた警備兵はぴしっと姿勢を正していた。

 この様子を見ると改めてノドカがこの国で偉い人間であるということが理解できる。警備兵と言葉を交わしたノドカが戻って来る。


「今回もあまり危険がないので大丈夫とのことです。私たちは城壁の上から高めの見物と参りましょう」


「え、城壁の上って危ないんじゃあ」


「大丈夫ですよ。私が安全を保障しますから」


 見た目からは想像できないほどの真っすぐで強い瞳。それは覚悟の表れだ。俺はそれに応えなければならない。

 

「ロリコンを目指す者としてはロリ一人を危ない場所に行かせるわけにはいかないな」


「合格です、和樹さん。完璧な回答ですよ」


「乗せられてる感が半端ないけどな」


「さぁ気が変わらない内に上に上がりましょう」


 警備兵に案内され、城壁の内部に入り階段を昇っていく。内部の様子から推測するにこの城壁はかなり分厚い。そう易々と突破できるものでもなさそうだ。


「さぁ着きましたよ」


「うわ、高ぇ……」


 下を覗くと身震いするほどの高さ。

 だが、それ故にここからの景色は絶景とも言えるものだった。

 城壁の内側は煉瓦や石でできた建築物が所狭しと並んでいる。古代ローマの映画のセットのようにしか見えない。一方、城壁の外側には森が広がっていた。


「和樹さん、あれが見えますか? あれがLBIの方々です」


 隣にいたノドカが指差す方を見ると森の拓けた場所に三十人程度の人だかりがあった。旗や横断幕を掲げ抗議デモのようなものをしているように見える。その近くに投石器のようなものが置いてあった。


「思ったより少人数なんだな。何か主張しているように見えるけど」


 旗や横断幕には文字のようなものが書いてあるが読めない。


「……あれは何て書いてあるんだ?」


「入国させろーですよ。彼らの目的はこの国に住む事ですから」


「まぁロリコン……ロリが好きな人にとっては理想郷だもんなぁ」


「いえ、それだけが理由ではありませんよ」


「他にも理由があるのか?」


「勿論です。ここはこの世界で最も安全な場所ですから」


 ノドカは悲しげな声でそう呟き、遠く離れた空を見た。


「さて、これ以上の被害を出されても困りますので、そろそろ彼らには退散してもらいましょう」


「あれでやり返すのか?」


 城壁に置かれている砲台を指差す。


「そんな物騒なことはしませんよ。彼らの攻撃は悪意ではなく、救いを望み伸ばしている手に過ぎません」


「話し合い、ではなさそうだな。どう考えても平行線だろうし」


「それができれば楽なのですが、難しいのが現状ですね。安心して下さい、手荒なことはしませんから」


 ノドカがそう言って一歩踏み出した瞬間———。

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