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転生先はロリの国でした ~チート能力を添えてロリコン目指して翻弄す~  作者: 桐戸李泉
一章 ようこそ真正ローリ帝国編
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第01話 プロローグ

———ロリコンのあり方とは?




 古今東西を通じて、多くの識者の中で語り続けられてきた難題の一つ。


 誰もが一度は聞いたことがあるだろう。


 その答えは単純故に難しい。


 少なくとも俺程度では語りえない代物だ。しいて言うなら、それは俺が俺であるための要素の一つであり、俺の人生を通して答えを探さなければならないものと言える。




 ともかく、この問いが俺を悩まし続けているという事実を知ってもらいたかった。それがどれほど巨大な問題で、到底凡人では解決し得ない問題になっているかを理解して欲しかった。




 おっと、重要な事を言い忘れていた。


 俺、小鳥遊和樹は生粋のロリコンだ。と言っても世間一般がその語から連想するような犯罪者の蔑称にあたるようなそれではない。紳士と書いてロリコンと読む方に近い。




 俺はロリコンであることは誇りであり、その誇りに誓った行動をしていきたいと思っている。しかし、昨今のロリコン界隈ではその名を高らかに宣言しながらロリを穢そうなんて考えている不埒な輩がおり、そいつらのせいでロリコン界隈に属する全員に疑いの目をかけられてしまうような事態に陥ってしまっている。




 これは由々しき問題だ。


 そもそもロリコンとは、『ロリを愛でる』ものであり『ロリを穢す』ものではない。この『愛でる』を拡大解釈し、己が欲望を解消しようとする異端な輩は決して赦せるものではなく、この輩によってロリコン界隈が受けた屈辱的なマイナスイメージは払拭しなければならない。




 だからこそ、今回の結末は必然であり、たとえ同じシチュエーションに遭遇したとして同じことを繰り返してしまうに違いない。


 あの時、俺の運命は確定した。




「は、はぁ……」




 目の前の女神と名乗った女性は、俺の熱弁に対し、肯定とも否定ともとれない困惑の表情を浮かべていた。少々熱くなり過ぎただろうか。




「それよりあまり動揺してないんですね」 




「何が?」




「自分が死んだことについてです。今までここに来たもの皆、それなりに動揺していたのですが」




「ま、まぁ確かに全く動揺していないと言ったら嘘になるよ。でも、俺が死んだ原因っていうのは、あんたが言った通りなんだろ?」




「まぁそうですが……」




「それならいいんだ。俺は自分の信念を最期まで貫けた。そりゃ未練もあるけど……」




 そう、俺は死んだ。


 学校からの帰り道、トラックに轢かれそうになった小学生を助けたが為に。


 頭が考えるよりも先に身体が動いた。その手の話を聞いた時、胡散臭いなぁとか思っていたが、いざ自分がそのような場面に遭遇すると自然に身体が動いてしまっていた。




「それで俺はどうなるんだ?」




「それについてなのですが、一つお話があります」




「お話?」




「はい。本来ならばここに来た魂は黄泉の国、あなた達のよく知る言葉で言えば『天国』へと向かいます。しかし、ごくまれにあなたのような魂がいるわけです」




「俺みたいな?」




「はい。あなたのように自分の信念に従い、真っすぐ生き抜いた魂。しかし、往々にしてそのような魂は早くに肉体を失い、この場にやってきます。それは勿体無いように感じませんか?」




「それは確かにそうかもしれないですね」




「生きた屍のような魂がいつまでも生きながらえ、信念を持った生きた魂がすぐに死んでしまう。あまりにも皮肉なことです」




 悲劇のヒロインのように大袈裟な身振り手振りをする自称女神がスポットライトで照らされる。


 そもそもあの光はどこから来たのだろうか? そんな俺の疑問をよそに自称女神は言葉を続ける。




「それに小鳥遊和樹さん、あなたはどう思いますか? 自分が生き抜いたと思えますか?」




「それは……」




 自分のやった行動に後悔はない、そう言ったら嘘になるだろう。まだまだ生きてしたいことはいくらでもあった。ロリコンに誇りを持っていたとしても所詮は学生、子供に過ぎない。




「それ以上は言わなくても大丈夫ですよ。目を見れば分かります。そこで、です。一つ提案なのですが、もう一度生きてみるというのはどうですか?」




「もう一度?」




「えぇ。私達神からしても、信念を持った魂が中途半端に死んでしまったというのはどうも穏やかではありません。それに、その信念を貫き通し生き抜いた魂というのを見てみたいと思うのですよ」




「ようは神の享楽に付き合えと?」




「そう思ってもらっても構いません。それでどうですか?」




「どう、と言われても……」




「心配はしなくても大丈夫ですよ。今のあなたの状態で生き返らせるので、記憶が無くなる・もう一度赤ん坊からやり直す等の煩わしさはありません」




「とんでもなくご都合主義だな……」




「女神ですからね。……それに自称ではありませんよ」




 えへん、と胸を張る神。そして、先ほどからずっと心の声を聞いていたらしい。目を見れば分かるとは何だったのだろうか。




「そこまで充実したサポートを受けられるならこちらとしては願ったり叶ったりなんだが」




「いやいやこれだけではありませんよ」




 女神は人差し指を横に振る。




「あなたは実質神が下した遣いのようなものですから、それに見合った力を与えてあげます」




 女神は俺の胸に手を当てる。女神の手から何か温かいものが身体の深部に伝わっていく。




「私の力の一部をあなたに与えます。この力はきっとあなたの信念を貫くための助けになるでしょう」




 言葉を言い終えると女神は指を鳴らす。その瞬間、足元にあった地面が消失する。




「えっ……」




 浮遊感、それを感じるのも一瞬。落下の感覚が全身を包む。




「まだ話は……」




「それではまた、今度」




 営業スマイルのような笑顔を浮かべた女神の顔。


 それが、意識が落ちる前の最後の記憶だった。

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