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Third:幸せを求める旅人


お久しぶりです★

この度長期の旅行に行っておりましたので、長らく投稿ができていませんでした。

では、「Third:幸せを求める旅人」をお楽しみください。

 夜闇に沈む、森の中。



 晩夏の夜は、少し肌寒いくらいであった。大樹の根本。そこに少女リコと、ライオンのルークはいた。二人を照らす焚き火は煌々と燃え、とても神秘的で、とても美しかった。

「ねぇ、ルーク」

「うん?」

「すっごく星が綺麗だよ。ちょっとは空を眺めたら?」

「僕は星にキョーミないから」

「あ、そ」

 リコは少し不満そうな表情をしたが、すぐに和らげた。

「あった。あれが、さそり座だよ」

「よく知ってるね。リコみたいな()にも、そーゆーロマンチックなところがあったんだ」

「シツレイな。余計なお世話よ」

 クスクスっとリコは笑い、フフっとルークも笑った。

「さ、寝ようか、ルーク」

「そだね。お休み、リコ」

「お休み、ルーク」

 リコは寝袋に(くる)まり、眼を閉じた。傍にはルークが横たわる。

森には、涼しげな虫の鳴き声の奏でる音色だけが、響いていた。



―――シアワセッテ、ナニ?


え?


―――シアワセッテ、ナンダトオモウ?


幸、せ・・・・・・?


―――アナタハ、シアワセ?


私は・・・・・・。


―――シアワセニ、ナリタイ?


私は―――!



ガサガサッ

夜中の零時を越した頃の時間。森を歩く何者かの姿があった。その人物は息を切らし、森を小走りで進んでいた。

月の光に照らされたその姿は、若い女性だった。くすんだ金髪に、目にはメガネをかけている。服装は、色褪(いろあ)せた緑の丸首シャツ。下は裾の広がった黒いパンツだ。

と、その時、

「え?あっ!」

 小走りだった女性の身体が傾いた、と思った刹那、

「きゃあぁぁぁ―――――!!」

 女性は、左足元に広がっていた、急な斜面で足を滑らせ、そのままゴロゴロと落ちて行ってしまった。


 ザザザザザザッ

何かの向かって来る音。敏感に反応したリコとルークは、パッと跳び起きると、ルークは威嚇体勢に入り、リコは腰から短剣を剥き、身構えた。が、

「きゃあぁぁぁ―――!助けてぇぇ―――!」

「―――人?」

 リコは驚いてそう言うと、声の方へ少し寄って行った。

時、

「きゃっ!」「へ?うわぁっ!」

 転がって来た人物が、思いきりぶつかって来、リコまで倒れてしまった。その瞬間に、リコが持っていた短剣がリコの手から飛び、少し遠くの地面にドスリ、と突き刺さった。

「わー、信じられないな。普通なら短剣がリコに刺さっててもおかしくなかったのに。・・・・・・強運、だね」

 特に感動した風にも、驚いた風にも、ホッとした風にも聞こえない声で、ルークは言った。

「たたたっ・・・・・・。って、大丈夫ですか!?」

 リコは自分の上に乗っかって来た女性に言った。

「あぁあ・・・・・・。うぅ、ん、え?あ、わ!」

 女性は暫く呻いた後、訳の分からないことを叫びながら、パッとリコの上から降りた。

「ごっ、ごめんなさい!」

「ううん。いいですよ。怪我はありませんか?」

「はい。あ!」

 女性はいきなり叫び、リコはビクッと身体を震わせた。

「ど、どうしました?」

「メガネ・・・・・・。私のメガネを、失くしました・・・・・・」

「え?はぁ・・・・・・」

「まぁ、次に訪れる町で作ってもらえいましょう。暫くの間は、少し視界がぼやけますが」

 女性はそう言うと、「あ」と声を上げた。

「名乗り遅れました。私はリュオ、と申します」

「私はリコです」

「僕はルーク」

 ルークがそう言うと、リュオは優しく微笑んだ。

「リコさんにルークさんね。お顔がはっきり拝見できなくて、残念です」

 リュオは草や土にまみれてしまっていたが、まぎれもない、先ほど森を歩いていた女性だ。

「リュオさん、あなたは旅人ですよね?」

 リュオは、身体中に付いている草や土を払い落しながら、フッと微笑んだ。

「えぇ。そうですよ」

「よければ、何か、お話していただけませんか?私は『旅人に出会う旅』をしている者で」

「良いですよ。では、私も旅の目的を、お話して差し上げましょうか」


 森の中。焚き火を囲む、二人と一匹の姿があった。

「そうですね。話をはじめるなら、あの日のお話からが、良いでしょう―――」

 女性、リュオは淡々と、その少し悲しげな声音で語り始めた。



「―――幸せって、何だと思う?」

 私がそう聞かれたのは、まだ旅を始めたばかりの頃、十五歳の頃だった。

「はい?幸せ、ですか?」

「そう、幸せよ」

 そう問うてきたのは、ある町で出会った、三十代ほどの女性だった。その女性は、とても美しかった。整った顔立ちと、美しく深い黒の瞳をし、小鳥のように軽やかで綺麗な声をしていたということをよく覚えている。

「・・・・・・難しいですね。幸せとは、人それぞれに違います。例えば、食事が好きな人は美味しいものを食べることが幸せでしょうし、ゆっくり読書する時が幸せと思う人もいます。『幸せ』とは、その『瞬間』や『時間』だったり、『もの』だったりと、人によって違ってきます。だから、『幸せ』というものを固定することは、できないのではないでしょうか?」

 私が答えると、女性は「へぇ」と声を上げた。

「とても素晴らしいわ。今までになかった答えね。あ、実はね私はこうして沢山の人に、『幸せ』とは何か?を問いながら、旅をしているのよ」

 軽やかな声はそう言って、小鳥のさえずりのように笑った。


「・・・・・・それ以来、私は『幸せ』を求めて旅をしているのです。彼女がそうしていたように」

 話を聞いていたリコはフッと微笑んだ後、少し遠い眼をした。

「―――どうされました?」

 リュオは、遠い眼をしたまま黙っているリコを見て、そう問うた。

「あ、いいえ。何でもないです―――」

「そうですか。ところでリコさん、

   『幸せ』とは、何だと思いますか?」

「そうですね・・・・・・」

 リコはそう言って、少し黙った。

それから、おもむろに口を開き、こう言った。

「幸せとは、こうして生きていること、だと思います」

「生きている、こと・・・・・・」

「はい。ひとまとめにして言うならば、それで良いと思うんです」

 リコはニッコリと微笑んで言った。

「それは、何故?」

「―――お恥ずかしながら、私は食事をすることが好きで楽しいので、食事中が幸せなんだと思います。でも、旅をすることも、とても楽しいんですよね。寝てる時も、ルークとお喋りしてる・・・・・・とき、も・・・・・・」

 ルークを振り返ったリコは、思わずフフフッと笑っていた。

ルークはすでに、小さな寝息を立てて、眠っていたのだ。

それからゆっくりと、リュオの方に向きなおり、話を続けた。

「それらすべてをまとめると、生きているからこそ、できることじゃないですか?だから、生きていることが、幸せだと思います」

「・・・・・・ですが、生きていると悲しいことや、辛いこと、苦しいことも沢山ありますよ?」

「確かにそうです。しかし、それを乗り越えたときの達成感もまた、幸せと呼べるものではないのでしょうか?そして、不幸があるからこそ、幸がある。影があるからこそ、光があるように。それに、

    幸せばかりの人生だと、逆につまらないとは思いませんか?」

 リコはそう言って、空を見上げた。つられてリュオを見上げる。

刹那―――、

「あっ!」「わぁ・・・・・・」

 二人は同時に声を上げた。

満天の星空に、流れ星が煌めいて消えていったのだ。

本当に一瞬、刹那の出来事であった。

「・・・・・・リュオさん」

「はい?」

「私の故郷には、流れ星が流れ終わるまでに、三回願いごとを言ったら、その願いが叶う、という迷信があるんです」

「へぇ・・・・・・。でも、あんなに速いと、絶対無理じゃないですか?」

 リュオは苦笑しながら言い、リコも苦笑した。

「そうなんですよね。願いが叶う。昔の私は、それが幸せだと思っていました。でも、願いを叶えるのは、そう容易(たやす)いことではありません。『幸せ』って、そんな難しいことではなく、もっと、身近なものだと思うんですよね。そして、その幸せを、幸せと感じられるかどうかで、幸せになれるかなれないかは、決まっちゃうんでしょうね。きっと」

「―――そうですね。とても、素敵なお話です」

「そう言っていてだけて、嬉しいです」

 リコは微笑んだまま、少し頭を下げた。リコが頭を上げた瞬間、

「一つ、リコさんに言いたいことがあります」

「はい?」

「実はですね、先ほど話した女性も私に自分の思う『幸せ』について語ってくださったんです」

「―――そうなんですか」

 そう言ったリコに対してリュオは微笑み、こう言った。

「その女性が語ってくれた幸せは、リコさん、

    あなたが語ってくれた幸せと、全く同じでした」

「・・・・・・・・・・・・」

 リコは曖昧(あいまい)に微笑んだまま、答えなかった。

「リコさん、あなたはその女性についてしっているのですか?」

「―――ずいぶん、かなり昔の話になりますが、私も『幸せ』って何だと思う?と聞かれたことがあります」

 リコの答えに、リュオはフッと微笑んだ。

「リコさん、あなたのお顔は見えませんが、あなたも女性のように綺麗な声をしていらっしゃいますね」

「有難うございます」

「私に質問した女性の名は、確か―――」

「ティラ、ではないですか?」

 リコがそう言うと、リュオは驚いたように眼を見開いた。

「はい。そうです」

「やっぱりですね。実は―――――」
















「ティラ、というのは、私の母の名前なんです。そして、私に幸せについて質問したのも、母なんです」




















―――What your happiness?




今だからこそ語りますが、最初この作品は、超がつくほどグダグダだったんですよね(-_-;)ここまで辿り着くのに、書きなおしを三回ほどww

それでも、ここまでまとめられたことにカンパーイ♪(^○^)


それから、感想、批評などがあれば、何なりとお書き込みください♪

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