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81.もう知らん

「ベフニリウス、俺も実は『虫』扱いされてるんだ。うじ虫うじ虫って。俺ってそんなに気持ち悪いかな?」ほら、どう見ても結構イケてるだろ?


 ベフニリウスが俺を見下げているとはいえ、興味を示した。ほらな、王子がこいつとどういう契約をしたか知らないが、魔族ってのは手なずけたもの勝ちだ。


「ユウシャモ、虫ナノカ?」


「ほんと腹立つよな。俺、今カラ、アイツ、倒ス、オ前モ、来ルカ?」


「カタコトユウシャ」




 お前に言われたくない! もう知らん!


 俺はベフニリウスを無視して、瞬時に最高時速百キロを叩き出す。上空からの戦闘魔術師の投てき魔法の一つ、岩が降ってくる。しかも、毒の沼地を活かした毒仕様!


「っけ。毒ぐらいで俺が死ぬかよ! 破裂魔法!」


 サッカーのように蹴り飛ばして粉砕する。毒も飛散させてやった。あいつら頭からかぶってあたふたしている。


「待テ、ユウシャ!」


 ベフニリウスが俺に追いついて、また足を爪で狙ってきた!


「ふざけんな! お前の敵はエリク王子だ! 虫呼ばわりしたエリク王子だろうが!」


「ユウシャ、生贄ニスル!」


「やっぱり生贄好きなんじゃないかよ! 俺ならここにいる奴ら処刑(サク)ってやれるってのに!」




 手近にいた戦闘魔術師のローブをわしづかみにして、腹に手をつっこむ。腸を引っ張り出す。


「ひぎゃあああああああああああああ」


「ほら、ベフニリウス! お前におすそ分けだ!」


 腸のほか、内臓にも手をつっこんで肝臓も切断して切り取る。


「ほら、レバー」


 投げて寄こす。あいつ、爪でひっかいて切断しやがる。もう、本当に知らん! 


 となると、こいつを止める方法は、エリク王子! 


 窓から身を乗り出したのが間違いだったな。エリク! 俺は目に焼きつけたぞ! 王子の寝室だしな! その部屋からじっと動くなよ!




「ベフニリウス! 勇者を止めないか!」


 エリク王子、今頃気づいたか。ヘイブン宮殿の庭が広くたって、もう半分は来た。騎士団を玄関前に配置しても無駄無駄。


「美味しく頂くことにするか」


 脇を通り過ぎ様、その首に指を伝わせるだけ。首から血がほとばしって、見た目も美しい処刑(サクリファイス)だろ! 




「死ネ、ユウシャ!」


「おっと」


 切断魔法同士、指での弾き合い。三メートルあると、指で斬るっていうよりも、ほとんど殴りかかってくるみたいな攻撃。俺がひょいとかわすと、隣の騎士団の頭部が切断される。


「ふはは。ベフニリウス! やっぱり気が合うかもしれない! 魔王様はいないんだ! 俺が代わりに、お前の魔王様になってやるから!」


「魔王ハ、イラナイ!」


「じゃ、エリク王子に縛られずに自由に生きな!」


 あれ、俺、らしくないこと言っちゃった。でも、ま、自由人好きだよ。こいつは……自由魔族になるのか?


「ジユウ」


 ベフニリウスが俺を飛び越えた。そして、前から俺の肩をつかむ。


「え、ちょ、何?」


 おもいっきり、王子のいる王室に向かって投げ飛ばされる!


「ちょっと、手を組むって? 遅いし、いきなりはないだろ!!! ま、いいか! なあエリク! お邪魔しまーす!」


 エリク王子の、何が起きたのか分からないという顔、ほんと笑える。察した瞬間、拷問でも聞かないような滑稽な悲鳴を上げる。


「来るなああああああああああああああ」




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