表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/84

40.人質?

「何だったっけ、あいつの母親のドラゴン。ドレッドヘアー? 違うな」




 ドラゴンを一通り空に放って解放した。竜騎士はドラゴンに乗って戦う部隊だからドラゴンだけでも野生に還ってもらわないと。




 ドラゴンは自由気ままに炎を吐いて次々に空へ飛び上がっていく。


 何匹かこっちにきたけど、内臓破裂魔法をまとわせて蹴り飛ばしといたら、あちこち、夜の草原に臓物が飛び散った。




 あいつの母親のドラゴン、ドレッドバーンレは俺たちを背中に乗せて旅したこともあり、人語も話せるからかなりの知能指数を保持している。


 鎖を解いたら野生に戻るどころか向かってくるだろうなと予想していたら、まさにその通り。




「あ、わかりやすいな。もうこっち来た」




 血のように真っ赤なドラゴン。ドラゴンなのにドレッドヘアーみたいな、たてがみがある。



 

 いきなり灼熱の炎が飛んでくる。すぐさまマントをかざす。炎はすべて撥水作用のある生地みたいに、弾き飛ばされる。


 マントに振りかけといた「耐火のよろず湯」がいい仕事をするな。




「あれを捕まえたら、ヴァレリー怒るんだろうな」




 あれのこと、ヴァレリーはずっとママって呼んでたんだよな。




 はじめて出会ったときは、小さな町の騎士をしていて、将来はもっと大きな国の騎士団長になるとか言ってたっけ。


 でも、生まれを聞いてみると森でドラゴンに拾われて育てられたとか言って、仲間にしてからも後方からドラゴンがついてきてたっけ。


 いっしょに戦ってくれたら頼もしいけど、今はもう俺からしたらあれはただの人質。俺への生贄。処刑を飾る小道具。




「元勇者か、貴様はこの私が食い殺してくれるわ」

 メスのドラゴンって声がかわいくていいな。




「ちょっと年齢層高めだけど。もしかして、アラフォーなの?」




 ドラゴンは余計なことは話さないか。また、火を吹いてくる。


 ちょっと動物虐待みたいでかわいそうだけど、俺はヴァレリーからもっと酷いことされてるからな。



 

 それに、こいつは俺の仲のよかった村を焼いてくれている。あの宿の女の子かわいかったのに。




 俺は舌なめずりをする。実においしそうなドラゴンじゃないか。あれが女性と思うとオスの俺は発情しちゃうな。




 ドラゴンの爪が降ってくる。直撃したら首が飛ぶな、と思ってまっすぐに腕を伸ばす。

「貫通魔法」




 腕全てが槍だ。ドラゴンの爪とがっちり指先が当たる。でも、力負けするのはドラゴンの方。爪が割れてその鱗で覆われた指にも俺の腕は突き刺さる。



 

 俺の肩まで刃と同じだから、返り血もどっぷりだ。ドラゴンの人差し指が真っ二つに割れる。痛い思いをさせて悪いな。



 でも、お前はヴァレリーに見せつける人質にとっておかないと。人じゃないけど。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ