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31.四天王ベフニリウス

 僕にはマルセルの加護と、四天王の力がある。どちらもキーレにはない。あいつは今頃、毒で苦しんでいるだろう。




 そして、マルセルのと、名前のついたものには動揺しているはず。二重の責め苦を負わせてやった。


 絶対にマルセルの名のついた解毒剤を取りに来る。


 たとえ、何かの方法で毒消しを手に入れていたとしても。見るだけだとしても必ず来るはず。




「父上、必ずマルセルは復活します。そして、リフニア国を立て直します」




「亡命という手段が目前に迫っておることを肝に銘じておけ。我々は毒の沼地出身だ。果たして快く受け入れてくれる国があるかどうか」




 父上と話し込んでいる最中に、側近モルガンが飛び込んできた。


「大変です、王子様」


「今度は何だ」


 一日のうちに何度事件が起きるんだ。




「民が暴動を起こしています。一部の者は家を失い。難民となって国外に流出しています」




 父上はまた拳を固く握りしめて僕を見ている。母上が拷問部屋に行った日のことが脳裏をよぎった。


 父が手を伸ばして迫ってくる。父上の怒りを買った。


 まさか、この実の息子である僕を拷問しようと言うのか?


「ち、父上?」




 や、やめて、やめて下さい! 父上! 待って。話せば分かるって!




「私ガ対応シマショウカ? 王子」


 父上の手が伸びてきたとき、半泣きになった僕の目に黒い影が姿を現した。安心した。僕には守護者がいる。


「あ、ああ、そうしてくれ」


 魔王の手下の四天王の一人、ベフニリウスを召喚する。僕の黒い影から生まれたこいつは、父上を足元から捕まえる。


「エ、エリク? これは何だ」


「父上、それが四天王の一人ですよ。黙っていてすみません」




 ベフニリウスは黒い人の形になる。僕と同じ顔をしているが、真っ黒で、(すす)でできているような姿だ。




「四天王はどいつもこいつも勇者にやられて地獄に行きました。でもそいつだけはしぶとく生きてたんですよ。こいつは力を蓄えてたんです。勇者キーレに致命傷を負わせたことのある唯一の四天王がこいつです。そして、今は僕と契約しています。さあ、父上、リフニア国のことは僕に任せてあの世に行ってください」



 ベフニリウスは、その黒い僕と同じ姿のままで、爪を伸ばした。父上の首が斬首(ざんしゅ)されて転がった。




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