29.添い寝
騎士たちはアデーラがもう助からないと知って逃げ帰って行った。好きに報告するがいいさ。
アデーラ本人が吐き出した吐しゃ物や、臓物が足元に散らばっている。死んだら生き物って汚らしいなぁ。
俺はその横でどうっと倒れて朝焼けを全身で受け止める。深夜三時から頑張ってたんだもんな。
リディはいつも俺が戦闘してないときに出てくる。あ、つまり寝取っている間とかも戦闘中に入るんだろうな。
でも、今日は本当に疲れた。ああ、腹がじくじく痛む。リディ、早く回復魔法をと思ったがやめとこうかな。
マルセルの愛だぞ、この痛みは。
リディは頼みもしないのに俺の身体に回復魔法をかける。
「ちょっと待て。お前にマルセル並みの資質があるか確かめる」
俺は服を急いで脱いで、まるでリディを寝取るみたいにポーズを決める。
あ、やっぱり怒った。はい、普通に回復して下さいな。
「やっぱり、解毒剤って必要かな?」
ゲームだとさ、序盤に毒を治療するアイテム忘れていくと後で困ることあるよな。でも、今は言うなればゲーム二週目の俺。
俺は最強の状態でじくじく、ダメージ一ポイントの攻撃を食らっているわけ。え、回復面倒だよな、これ。
ああ、マルセルに会いたい。もうそれだけのために行くしかない。だけど、またあの拷問部屋とか、どれだけエリク王子は変態なんだよ。
ちょっと、これは誰かに手伝ってもらった方がいいな。
「ま、もうじきリフニア国の川は腐って、毒まみれだな。俺といっしょの状態になるわけで。お互い様で、ご苦労さんと」
俺は仮眠をとることにした。その間もダメージポイント一のじわじわした痛みが夢の中までついてくる。




