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プロローグ
魔女は見下ろす。
視線の先には魔物に襲われ今にも死にそうな子供がいる。
魔女は見つめる。
子供は今にも消えそうな命の中、その目はまだ生きようとしている。
魔女は手を添える。
人間への興味などとうに捨て去ったはずなのに、この子供に対して興味が湧く。
魔女は唱える。
魔女の手から溢れた光は子供を包み、血で染まった身体を綺麗にしていく。
魔女は尋ねる。
「私の弟子にならないか?」
僕は見上げる。
視線の先には美しい女性がいる。
僕は思う。
魔物に襲われ、身体の感覚がもうない。だけど、まだ死にたくない。何もなさずに死にたくない。
僕は願う。
女神のような女性が僕の身体に手を翳す。翳した手から溢れ、温かい光が僕を包みこむ。失われつつあった身体の感覚が徐々に戻っていく。
僕は答える。
「私の弟子にならないか?」
答えなんて一つしかない。
「なります。ならせてください。」