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akane

作者: ひろゆき

 卒業は、これまで親しかった人とも別れてしまうのかもしれない。

 それでも、これまでと同じようにいられる。

 不安がよりそう思わせる。

 バイバイ……。


 数分前の言葉が胸に積もっていく。

 いつもの坂道。見上げた茜空に手をギュッと握った。

 今まで歩いた道、明日からは別々の道を進むんだね。


 街に溢れる卒業ソング。

 これまでなら、胸に響く歌声に、心を奪われていたはずなのに。

 今は、今だけは寂しい……。


 バイバイ……。 バイバイ……。


 また明日ね。

 昨日までなら、そう受け取れたのに。

 普通に言えていたのに。

 明日からは別の道、もう、君とは一緒に笑えないのかな。


 振り返れば、昨日までの姿が、今の自分を追い越していく。

 茜空の下、笑い合っていたあのころ。

 卒業ソングなんて、普通の歌なんだと思っていたんだ。


 時間なんて考えていなかった。

 いつまでも笑っていられるんだ、 

 君と一緒に笑って、

 怒って、

 泣いて。

 それももう最後なのかな。

 もうできないのかな。

 

 追い越していった過去たちに問いかけた。

 懐かしさは笑っているだけで、心を迷わせた。


 いつか聴いた卒業ソングが茜空に響いた。


 バイバイ……。

 別れたのにスマホを握っていた。

 友達が笑って出てくれた。

 可笑しがる友達に、寂しさを隠して、茜空を見上げた。


 バイバイ……。

 これまでと同じ感覚で言えるのかな。

 これまでみたいに遊んで、笑って。

 ずっと友達でいられるのかな。


 励ましの歌詞。

 心に染みるメロディー。

 それよりも、友達の話し声が何よりも励ましてくれる。


 ーー 大丈夫だよ。


 そう笑ってくれているようで、嬉しかった。

 嬉しかったよ。



                   了

 様々なところで訪れる“卒業”という形。

 それは人との別れの場になってしまうかもしれません。

 そうしたなかで、あるかもしれない一つの場面として、捉えてもらえると嬉しいです。

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