透視ができた!
次の日から登校は全て瞬間移動でしてぎりぎりまで寝ていようとも思ったが、そうすると両親に遅刻してるんじゃないかと疑われるし、何より瞬間移動した瞬間を誰かに見られる可能性がある。おそらく誰もいないところに転移するようになっているが、念には念を入れたほうがいいだろう。もし誰かに見られたら大変なことになる。
もしこの能力がバレたらテレビとかにも出れるかもしれないし、有名になるだろう。だが、俺はテレビに出たいとも思わない。面倒くさい。そんなことをしているとどこかの研究所に連れて行かれて変な実験とかされそうだし。
この能力はなるべく使わずに生きていこうと決めた。
しかし、その決意はすぐに崩れ去ることになる。
次の日からまたいつも通りの生活が始まった。朝起きて学校へ行き、授業を受けて、部活をして帰宅する。この繰り返しの生活だ。
人間というのは欲深い生き物で、瞬間移動ができるということがわかった俺はもしかしたら他のこともできるのではないかと考えた。
初めて瞬間移動をした日から2週間後の日曜日。まず、試したのは「透視」だ。よくテレビに出てくるような、うさんくさい超能力者が披露するあれだ。俺は3枚の封筒とトランプを用意した。それを妹に渡し、マジックの練習だと言って、封筒の中に適当にトランプを1枚ずつ入れてもらった。
俺はその封筒をじっと見つめた。
特に見えることは無かった。
だが、俺は諦めなかった。瞬間移動をした時は「瞬間移動をしたい」と口に出していたことを思い出した。まさか口にしないと能力が発動しないのか?
俺は試してみた。
「見えろ」
次の瞬間には封筒の中が透けて見えた。左の封筒にはスペードの3、真ん中にはハートの7、右にはクローバーの9が見えた。それをそのまま妹に告げた。
「へえ、すごいじゃん。どうやってわかったの?」
「すごいだろ?練習したんだ。」
妹に透視ができるようになったと言うのはまずいので、マジックということで適当に誤魔化した。俺は嬉しさの余り、にこにこしながら玄関のドアを開け、外に出た。歩いて5分のところにある大通りを散歩することにした。時間帯が昼ということもあり、女子高生や若い女性がたくさん歩いていた。
透視ができるということは服も透けて見ることができるということだ。俺は「見えろ」と口に出すだけで全てを透視することができた。しかも、どこまで見たいのかも思い通りだった。もうこの先はもう言わなくてもわかるだろう。
最高だった。
なかなか進まない…
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