テロリストが来た!
よろしくお願いします。
「テロリストでも来ないかなあ」
俺は授業中にそんなことを考えていた。おそらく全国の中高生の95%が一度は考えたことがある妄想だろう。今まで何人の人達がこの妄想をしただろうか。そしてテロリストが来たあとには自分の何かしらの特別な能力でテロリストを圧倒するのだ。
しかし、この妄想が現実になったことはほぼないだろう。そもそもテロリストが学校を占拠するメリットが少な過ぎる。学校というのはとにかく建物が大きいし、中にいる人もかなり多い。逃走する前に学校の周りを警察に囲まれたらまず逃走は無理だ。学校を占拠するくらいだったら、銀行強盗か誘拐でもしたほうが金になるだろう。
「バン!!!」
突然、教室のドアが開いた。そこにいたのは目出し帽をかぶった二人組の男だった。二人のうち一人は身長がかなりあり、180㎝はある。もう一人は170㎝くらいだ。
「動くな! 動いたら撃つぞ!」
二人のうち、身長の大きい方が手に拳銃を持ったまま、怒鳴った。クラスにはいつもとは違う緊張感が走る。だれも声を出さない。というか出せない。
「おいおい、まじかよ…」
本当に来るなんて思わないじゃん。ていうか本当に来てどうするんだよ。
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俺、波野雄太は高校2年生だ。誕生日は5月15日でA型、家族は両親と妹の4人家族でマンションに住んでいる。父親は普通の会社員で母親はパートをしている。妹は3つ下で中学2年生。仲はまあ、悪くはないだろう。うん。
俺はどこにでもいる普通の男の子だった。そう、あの日までは。
中学2年生のある朝だった。俺は少し寝坊をした。目覚ましをセットしたはずだった。おそらく気づかないうちに止めていたのだろう。俺は急いで朝食を食べ、歯を磨き、着替えた。
「瞬間移動でもできればな」
と、つい口に出してしまっていた。次の瞬間には俺の体はもう学校の近くの裏路地だった。周りには人はいなかった。
「???」
俺は最初よく理解できなかった。しかし周りの景色や少し移動したところにいる歩行者などを見て、自分が瞬間移動していることに気付いた。
「もしかして瞬間移動したのか?」
腕時計を見ると家にいた時から1分も経っていなかった。そこにいてもしょうがないので俺はとりあえず学校に向かった。
その日はずっと今朝の出来事を考えていて授業どころでは無かった。先生に当てられても答えることが出来ず、怒られた。友達にも心配された。放課後のバスケ部の練習でもいつも通りの動きができず、チームメイトに迷惑をかけた。
学校からの帰り道、俺はもう一度瞬間移動ができないか考えた。確か今朝は「瞬間移動でもできればな」と言った瞬間にもう裏路地にいた。もしかしたら口に出せばもう一度瞬間移動できるのではないかと考えた。
「瞬間移動したい」
次の瞬間には家の玄関の前にいた。そうして俺は瞬間移動が自由にできるようになった。
もう少し説明が続きます。
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