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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

炎天下の復讐自殺は失敗

作者: 孤独

気温36度を超えた夏。

1人の学生は、新学期というところまで時を進めたくなかった。

学校での虐め、変わらぬ体制と己の知識量。自分を見放して勉強を求める家族。うんざりだった。


どんな時にも自分はいなかった。自分という生命体があるにも関わらず、自分の居場所などない。

きっとこれから先も、自分には何もない。

受験を控える事とその先の暗い不安を前に、今日をもって命を閉じに来た。


真夏に僕は死ぬ。


せめての報いに、僕を自殺に追いやった奴等の名前。

その理由を残した遺書を傍に置き、首を吊った。



◇        ◇



自殺した男性が発見された時刻は14:55。

死後そこから、2時間近く経っていた。


「えーっ……死因は……」


自らくくり付けた縄の痕が首と手についており、その傍には遺書らしきものがある。とても呪いを込めた文章であったが


「熱中症による水分不足による失神からの死亡ね。日差しがあるときに公園で首吊り自殺とかするから……頭が本格的に悪いでしょう」

「普通に首吊り自殺でしょう。それと死者に鞭を打たないように」


婦警の鯉川は部下の当たり前の言葉に、少々嫌気をさす声を乗せながら


「自殺扱いにすると捜査とかが面倒なんだけど。報道陣とか来るし、学校の問い合わせだのなんだの……。なんか、相談とかされてませんでしたとか……」

「それが警察の仕事では?」

「お悩み相談室は、お仕事じゃあーりません。悩みなんてみんなあるんだから。私だって、この自殺(?)の扱いに悩んでるよ」


そもそもであるが……


「これさー、縄が支えられなくて切れてるじゃん。首吊り自殺失敗してさー。そのまま気絶して、この暑い中、地面に倒れてるんだから。熱中症で死んだことにしない?自殺の置手紙は川に流しておきましょう。これを知ってるのは数人しかいないわ。できる」

「死んだ人がちゃんと遺したものを捨てるとか……」

「私には分からないなー。童貞くんのHDDハードディスクの中身並の内容だし、幼稚過ぎ」

「鯉川さん。現場検証の邪魔になりますよ」


とにかく暑い。

今年は冷夏だと言うが、急な暑さの連続。その暑さに参ったフリをして、自殺した人の恨みが込められた遺書を



ビリリリリ


「あー!何してるんですか!?写真は収めてますけど!」

「面倒よ。幾年経ったところで、ここに書かれている連中は死んだ他人なんか気にしない。家族だって疎ましく思っていたんじゃない?そーいう想像をさせてくれる、遺書よ」

「それはそれ。これはこれ!私達の仕事です!」

「はいはい。分かってるわよ。分かってる。けど、忖度をこの子にしてあげてもいいでしょ。人や事件によって色目使ってやってるんですから」

「…………そーいうキツイところを指摘しないでください。確かに、ここは事件も何もなさそうな地域。1日そこらで終わってしまう、ただの自殺で片付けられます」


立ち位置を無視して、個人のやり方をする。

もう会ってやれないから、相談なんてなかった事にして一方的にこちらが決めてしまう。少なくとも、鯉川は彼に会っていないからだ。

鯉川は持っていたメモ帳に手早く、汚い字で別の遺書を部下に渡す。


「これを彼に遺書にしなさい」

「しませんよ」


【公園はみんなで遊び、水分を摂って熱中症対策をしましょう。じゃないと、俺みたいに死ぬよ(笑)】


「ちょっと面白いと思うし、命の大切さを伝えられると思うんだけどな」

「きっと彼が生きてたら、遺書に鯉川さんの名前を刻まれますよ」

「やっば。デスノートにかな?」


命を断っても弄ばれる。それは鯉川の茶化しが可愛く収められているもの。

結局、死因の詳細を熱中症にした事で、大袈裟な公表と至らなかったが。その家族、学校には厳重注意は入った。それでも入った項目は



【熱中症には気をつけること】



結局、彼が死因は誰もが陥る体調管理の問題。

自殺まで至った経緯など、人の個人差にあるものだ。語り継いだところで、誰かの武勇伝や冗談になるだけのもの。


自殺したいとか思ったら、テキトーなアーティストのアルバムを買って、我慢して全部聴いてみると、気持ちが少し変わる気がします。まぁ、普通。その気だったら、そこまで待てませんし、マジで死にたい方は誰もやりませんけどね。


1時間ほどアルバムを聴くと、そのアーティストのアルバムが欲しくなったり、また違ったアーティストのアルバムを聴いてみたりと。時間が経つのはあっという間だし、ちょっとした意欲にも繫がるので気分が落ちた時はオススメかなって。


将来は不安だらけだと思っておりますが、働いている人間が休んでいる時間は、グータラ人間です。

休日は酒飲みながらスポーツ観戦してるおっさんやら、いい年しといて最新ゲームでハッスルしてたり、トレーニングジムで汗流して健康管理に勤しんだり、漫画やアニメに嵌ってる人やコスプレに時間と金をかける人、ちょっと広い公園でギターを演奏しにいったりとか。ホントに色んな趣味と思考を持った方々ばかりです。


ウチの職場がそうだからとかは、言いませんが。

いやぁ。


大人って、すっげーいい加減だけど、楽しんでると思いますよ。

底辺だとか社会のクズ共の集いとか、お客様から言われるような位置にいる職業ですが。

職業だけで人生決まったら苦労しないんで、自分で決めて楽しんでください。他人に自分の価値を測られたら、つまらないので。



と、そんなお話を書きたかったけど、自分には力量不足でしたね。

あとがきとして、使って申し訳ないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ドラマの警察モノのような掛け合いがあり、登場人物のキャラが立ってますね。少しほの暗い雰囲気のストーリーは好きです。 [気になる点]  おそらく、警察の知識等があまり無い人には自然に感じる…
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