ハートフル
わたくしの名はメリッサ、そうメリッサなのよ。
元の人格は高校2年生の女子学生、身も心も清らかな乙女でしたの。
けれど階段でこけて頭を打ち付けて気絶……したところまでは良かったですの。
問題は、何故かトラックが学校の保健室に突っ込んできて、ベッドで寝ていたわたくしと保険室の先生ごと吹き飛ばし、2人揃って転生しましたの。そう、保険室の先生と共に、ですわ。
転生先はどうやらゲームの世界のよう、けれど期待していたフワフワファンタジーな世界ではなく、殺伐とした中世風の世界で貴族令嬢として生まれ変わりましたわ。
「あらあらヨコピーさんではありませんか、御機嫌よう」
「…………えっ?メリッサさん、ですか?」
わたくしの目の前にいるのは茶髪で可愛いらしい見た目の女の子、歳はわたくしと同じ16ですわ。
ヨコピー、このゲームの世界での《主人公》で、そして何より保険室の先生の転生した姿ですわ。
胸はわたくし程ではなくとも程よく付いていて、まあスタイルも良いんじゃありませんこと?わたくしほどではありませんが。
保険室の先生……まあここではヨコピーと呼びましょう。ヨコピーは生前の保険的手練手管(治療技術)で男どもをたぶらかし、かといって積極的に男と関わるのではなくさりげない誘惑(保険室の先生の謎の包容力)で男人気があると言うだけで、本人はいたって男に興味がないらしいですわ。
そりゃあそうですわ、だってヨコピーは生前男性だもの。
まあそれはさておき。
晴れて貴族令嬢となったわたくしですが、なんとゲームの中では悪役らしいのです。
一度このゲームをやった事のあるわたくしが言うのだから間違いありません。
しかし……困った事にこの世界がゲームだと知ったのはほどほどに成長した後でした。その頃には転生万歳エンジョイライフを満喫していて、前世の記憶を丸っ切り忘れていた頃でしたから。そのせいで口調やら性格が結構この《メリッサ》のキャラに引っ張られていますわ。
そして前世の記憶がほとんど無くした頃にゲームの世界だと知った時、一番困ったのは……
ーーメリッサってキャラ、誰?
でしたわ。
だからわたくしは急いでメリッサのキャラを思い出そうとし、悪役っぽい事をしていた事は思い出せたのですがそれ以外は全く出てこず、頭を悩ませた結果……
「コレに落ち着きましたわ」
「待ってください、メリッサさんから私達がゲームのキャラだ、わたしはそのゲームの主人公だと教えてもらいました。そしてメリッサさんが自分のキャラを覚えていない事も。
けれど、その、流石にーーーー眼帯はないと思いますよ」
「眼帯ではありませんわ!ハートの形をした片渕メガネですわ!知的アピールをしているんですの!」
「知らねーよ」