水仙と菫
食後、女中さんが物語を読んでくれた。白い部屋にいた女性が何かしたのか、昔の言葉は分からないはずだけど、何故か現代の言葉に聞こえた。正直ありがたい。そう言えば、なぜこの女中さん達は僕にこんなに世話を焼いてくれるんだろうか。少しだけ見つめると
「どうかなされましたか?」
と笑顔で返してくれた。
「あの、どうしてこんな田舎者に世話を焼いてくれるんでしょうか?」
「華君様に頼まれたのです。私は華君様のお子にあたる菫様の専属の教師をしているのですが、今は菫様は他の側室のお子と遊んでおりますので、今は貴方様をお世話させて頂いております。」
「そうだったんですね!あの、僕は貴方のことをなんと呼んだら?」
「私は水仙と申します。」
「そうですか。僕は幸です。「幸せ」とかいて、幸。」
「そうですか。ご両親は良き方だったのですね。あ、華君様より先に名前を知ってしまいました、どうしたら···」
水仙さんは慌てていたが、なぜ慌ててるのかわからなくて首を傾げていると、あの青年が入ってきた。
「そうか、お前は幸と言うのか。」
「申し訳ございません!華君様より先に···」
「よい、水仙。菫の元に戻れ。」
「わ、わかりました」
そう言うと水仙さんは部屋を出ていってしまった。と、同時に青年が肩をつかんできた。
勢いが凄くて、肩が痛い。驚いて顔を見つめると
「幸、お前は今から私の正室だ!」
チョットナニイッテルノカワカラナイナ···