6話
そして季節は廻り春。卒業式に先輩の卒業に涙を流し、入学式には新入生を見て初々しさにほっこりした気分になった。
五月、二年生になった私たちは宿泊研修に行った。キノコが嫌いで残してたら悠君が食べてくれた。よく私が嫌いなものを覚えているなと思っていたら、考えを見透かしたように「お前の事なら何でも知ってるぞ。伊達に幼馴染してないからな」と頭をなでながら言われてしまった。
久しぶりに頭をなでられたなと思って改めて悠君を見ると私よりもだいぶ低かった悠君の背が私と同じだった。近くにいると日々の成長には気づかないが、やはり男子の成長は早いとしみじみと思った。そして私のこのまな板はいつになったら大きくなるのだろう。もう目から水は出なくなった。最近は諦めのほうが強い。
夏は去年と同じように海に行った。やはり、男に間違われた。二年目にして恒例行事と言わんばかりに一年生も巻き込んで寸劇をした。今年の一年生は私に憧れてはいった子もいるらしく、結構うれしい。
そして二度目の体育祭。部活対抗リレーでは今年も私は王子様で、悠君は騎士だった。そして繰り返される悲劇というか喜劇というか。私はまた「イケメン」や「かっこいい後輩」で走った。しかも一年生が入ったことによって「かっこいい先輩」でも走ることになってしまった。
身長が私よりも少し高くなり、もっとモテるようになった悠君と二人で愚痴っていたが、女なのにモテる私のほうがつらい。主に精神面で。何が悲しいって最近では女と分かっていても告白する子が出てきたことかな。断りにくいことこの上ないが気持ちは嬉しいよ。