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5話

私の急な壁ドン許可の要求に悠君は不思議そうな顔をしたものの、何かを思い出したように「ああ、なるほど」と、呟き、それはそれは蕩けるような甘い笑みをした。まるで何か悪戯を考えているような、あま~い笑みで。


「いいよ。その代わりに、覚えといてね?」


 何を覚えとけというのだろう?そしてこの背筋が凍える様なぞくっとするものは何なのだろうか。(※嫌な予感による恐怖です)


「けど何で僕にするの?…まあ、他の奴だったら許さないけど」


 後半の言葉が聞こえなくて、何を言ったのか聞いたが、何でもないと言われてしまった。絶対に何か言っていたけど、聞かないほうがいいような気がして追及はしなかった。


 それよりも、確かに王子コスのまま呼び込みするからそれだと男同士だ。悠君は姫と王子ではなく、何故敵同士、男同士の騎士と王子なのかと言いたいのだろう。もし、私の趣味を知っているとしたら意地の悪い質問でしかないが、私は悠君に趣味を話したことは無い。だって自分でそういうことを考えられるのは嫌だと思うから。というか、バレて報復されるのが怖い。切実に。


「えーっと…そう!お客さんの呼び込みをしたいんだけど、私と悠君以外は先輩じゃない?先輩に手伝ってもらうのは気が引けるし、最近はこういうのも需要があるから!」


そうだ。需要がある。とても。


そして私は悠君を巻き込んだ呼び込みという大義名分の元にBL寸劇を行った。例えば


「姫様を僕に取られちゃって悔しかったかい?」


「…別にそんなことないです。」


「(壁ドン)強がっちゃって可愛いね?」


 みたいな感じで。もちろん壁ドンしたほうが私で、されたほうが悠君だ。


 そう、私の理想の攻め(チャラ王子)と受け(悠君)だ。こんな事なかなかない。たくさん攻めれて楽しかった。


 その後、満足いくまでBLを楽しんだり、いちゃもんをつけていた不良を撃破したり、可愛い女の子を口説きながら文化祭を満喫した。そして私のあだ名は「誑し王子」になった。そしてその日から全校の女子達から告白されるようになった。ある意味リア充なのかもしれないが私は百合など望んでいない。誤解を解いて丁重にお断りした。


文化祭でカップルになる奴らが多くてキョーコちゃんと一緒にうらやましいなあと愚痴っていたら悠君が来て「来年を楽しみに待っていてね?」と不穏な言葉を残していった。私にとっては楽しいよりも恐怖としか思えないのだが。


 文化祭が終わり、冬休み。部活の皆でスキーに行った。初めてだが、結構滑れて楽しかった。そんな私を見てキョーコちゃんが「あっきーって本当に何でもできる完璧王子様よね」と言われたが、私はキノコ類が嫌いだから完璧じゃないぞ?あと、美的センスがクソだから、腐女子なのにイラストで自家発電できなくてコスプレに走るんだから。


クリスマスは例年通り私の家族と悠君の家族でクリスマスパーティーをした。幼稚園の時からの恒例行事になっている。初詣はキョーコちゃんも入れて一緒に行った。案の定私に、年に一回だからといって、男物の着物を着せた。ちなみに母もノリノリになって私を着飾っていた。


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