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死刑執行人
僕はある人間に復讐をする。
そいつの名はa。
aは私の蛞蝓を傷つけた。
蛞蝓は泣いている。
だから僕、蝸牛は、aに死刑を下す。
僕は、死刑執行人になる。
平成二十九年 十月一日 蝸牛
麦風利理は、手紙を見ていた。
その手紙には、ものすごい丸字で意味不明な文章が書かれていた。
この丸字は誰が書いたのかわからなくするためなのか、それとも、もともとの癖字なのか。
麦風は、上司の恵負一に「あらゆる可能性を考えて捜査しろ。」と言われているので、たくさんの可能性を考えてから恵負に尋ねる。
「そんなの、誰が書いたかわからなくするためだろ。他の可能性なんて考える必要ねーよ、ばーか。」
この上司は、自分の発言に責任を持つことを知らないのだろうか。
とにかく、気になる手紙なので、麦風は、警察官の本職、『捜査』を始めることにした。