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風紀司が5分で作る報告書  作者: 歩家茶
1/1

如月ユウタ

異世界に来たらそりゃやってみたいとは男なら思うだろうし気持ちはわかるけどさ、大事なこと忘れてないですか?

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異世界02-A(エデンの国)の如月ユウタの是正について

        20XX年 2月10日  風紀司

【対象者】

 如月ユウタ(18歳) 

【対象者ID】

 1005-0567

【ワールド】

 異世界02-A(エデンの国)

【問題点】

異世界02-A(エデンの国)で活動している如月ユウタに対して、魔王討伐の命題があるにも関わらず、魔王討伐に向けて全く何も活動をしておらず、また異世界転移時に得た能力を用いて度を超える悪質な異世界ハーレムを構築しており非常に怠慢と見受けられる行動をしておりました。

【是正状況】

本件、是正勧告を重ねましたが、如月ユウタと話を行う中で如月ユウタの突如の攻撃により説得が不可能と判断した為、風紀法第23条に伴い、如月ユウタの固有武器「ドリームソード」の能力について、一部能力の変更を行使しました。

【現状況】

「ドリームソート」の能力変更以降、如月ユウタは魔王討伐に向けて見違えるように真摯に取り組んでおり現状は問題無しと見受けられます。

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「ふぅ・・・」


面倒な報告書作成もぱぱっと作ってしまって、課長のデスクに報告書をおいて帰り支度を初めた俺だが


「おーい、司くん、ちょっと来てくれないかな?」


さっきまで机にいなかった課長からの呼び出した。


「司くん今日も頑張ってくれたようだね」


「えぇ。まぁ」


早く帰りたいので、適当に返事をしていると


「いつも司くんは仕事が早くて助かるよ。これからも頑張ってくれたまえ」


上機嫌な課長に適当に相槌をしていると、ようやく課長も満足したのか俺に関心を向けることをやめ、いつもの報告書に捺印する仕事を初めた。俺はついでに課長が今日作成した俺の報告書に目を通し、いつもの通り何も問題なく印鑑を押したところを見届け帰路についた。


大事なところを報告書に書いて無い気もするが、捺印はしているからもう気にすることもないだろう。


しかし、この風紀法ってのもなんだろうね。この法を作ったやつの個人的な感情が入りすぎているもするが、この第23条も相変わらず適当だな。


第23条それは、、


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「どうやらお前は俺を怒らせたいらしいな。」


「いえ、得にあなたを怒らせたいわけではありません。ただ、あなたにはこの世界に来たからには他にすべきことがあるはずではと言いたいのです。そもそも、初めにそう約束したのではありませんか?」


なんやかんやとあって、目の前には大きな大剣を両手で持ち、今にもこちらに切りかかりそうな如月が目の前にいる状況である。一応、気持ちはわからなくも無いので丁寧に切り替えしたつもりなのだが。


「だまれ!!!」


と、相手は聞く耳すらもたないようである。


「えぇ、まぁあなたの言い分もある事でしょう。ただですね、あなたには命題と言うものが─」


如月の言い分なんてあってないようなもんだろうと思っているが、一応相手を肯定してこちらの意見も聞いてもらおうと思っていると


「うるせーよ!!くたばれっ!エターナルブリザード!!」


如月の後方でキャーキャーと黄色い声援が飛び交いつつ、大剣から凍りつくような氷が発動した瞬間に、俺の手の紋章が光り輝くのを確認した。


発動後の戦闘なんて書くまでまでも無いだろう(以下略)


目の前には、数々の痛い技名を出し尽くした如月ユウタが泣き叫んでいる。


「俺だってーーー、異世界きたからさ、心機一転初めは頑張ろうとしたんだよ!でもさ、わかるだろ?ちょっと魔が差して、できるかなって思ったら『My time has come』(俺の時代が来た)が使えてさ、それからはさちょっとだけ女の子と遊びたいと思っただけなんだよーー」


ろくに英語も勉強してなさそうなコイツから何故この英短文が出て来るのか思うところはあったのだが、彼も転生前にハーレムを夢見たが何もできなかった口だろう。


「うん、まぁね君のいいたいこともあるだろうけれども、風紀ってものがあるでしょ。それに、他の転生者の目もあるしさ、一応最低限のマナーくらいは守ろうね。それに聞けばさ、君その能力使って女の子たちを無理やり連れ回しているんだよね。相手が望むならいいんだけどさ、違うよね?だからさ─」


俺は風紀法23条に触れる行為をした如月に対して、力の行使が出来ることを確認すると


「だから、俺も甘いけれども執行猶予って事にしておくよ。君も初めは頑張ろうって思ったんだろうからね。」


そうして俺は如月の思いを具体化出来る能力「ファントムソード」に一部変更を加えた。


如月の大剣が光り輝き、しばらく輝いた後にその光は消え失せる。


如月がしきりにありがとうございますとお礼を何度もしている最中、後ろでギャーギャーと騒いでいた如月の10人のハーレム要員達は、如月に近づき一斉にこう告げたのだった。


「「「ユウタ!!魔王倒さずになんばしよっとね!いい加減にしーや!!」」」


どんな思い罰を受けるのか如月は覚悟していたのだろうか、思ってもみないところで連れの女たちからのセリフを聞いて、あっけにとられた如月がそこにいた。そして、しばらく女たちの声に耳を傾けている如月を眺めていると次第に顔が青くなっていくのがわかった。

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そう、10人の女たちは姿形は変わらないが、如月のお袋さんの記憶をもれなく今は共有しているのだ。


俺はファントムソードを使用して如月の手駒にされた女たちのみを対象に、如月のお袋さんの記憶と共有する事にしたのだ。解除条件は一つのみ。それは魔王を倒すことだ。

それまでは、ガミガミと言われ続けるがいい。如月がマザコンでもない限り、地獄を見ることになるだろう。


それと、10人の女たちの記憶がどうこうとか、そもそも女たちが救われていないとか、魔王倒しても全員無事だったら10人のままじゃねとか細かい話は無しにしてくれ。


事の顛末だけ見ると俺も大概な気もするが、俺からも一つだけみんなに言いたいんだ。

適当で大概なのは風紀法23条のほうじゃねって!


風紀法 第23条

 いついかなるときも異世界のハーレムは9人までとする。

第2項:異世界転移者が上記を超えるハーレムを構築し、かつ本人が意図してハーレムを構築していることが発覚した場合、風紀委員は対象者に是正勧告することができる。但し、本人がハーレムに無自覚な

鈍感系主人公みたいなのであれば何か微笑ましいので対象外とする。

第3項:是正実行を行う場合は、是正勧告を踏まえて、かつ対象者が勧告を受けない場合能力を行使することができ、行使権限はLevelCまでが上限とする。







大事なことって???そりゃ世界よりも目の前のお袋さんを大事にするってことに決まってるだろ。

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