第二話 「法廷への扉」
「もう…駄目だ…。」
どれだけの時間が経ったであろうか、若者はあれからひたすらと歩き続けてきた。
(不思議なことにどれだけ歩いても疲れはしない…。そもそも本当に歩いているのか?ずっと真っ白なだけだから、それすらも不安になってきたぞ?)
『お待たせいたしました、今回のゲームの参加者が揃いましたので、法廷への扉を開かせていただきます♪』
若者が何度目になるか分からない、思考の渦に身を委ねているとき、それは響いた。
「…は?」
若者が疑問に声を上げると、それに応えるかのように、目の前に扉が現れた。
若者がどれだけ歩いても全く変化しなかった、純白の世界に現れたそれは、異常なほどに黒く染まった大きな扉であった。
(ゲーム?参加者?法廷?一体何なんだ、何が起きてるんだ?)
何も変化しない、真っ白な世界に独りで佇んでいた若者にとって、唐突に響いた声はたった一言でも混乱させるには十二分であった。
しかし若者の疑問など気にもしないように、漆黒の扉は音を立ててその口を開ける。
すっかり混乱しきっている若者にとって、待ち望んでいた変化に抗う術などなく、若者は扉の中へと歩を進める。
例えそれが、苦悶へ誘う道だとしても。
少しずつ、少しずつですが物語は進んでいきます! 二話目になりますが、まだ登場人物が一人しか出てきていないし、名前すら出てきていない状況です(^^;; 次話から他の登場人物と名前が登場する予定ですので、乞うご期待を!