第一話 「目が覚めたらそこは…」
「うっ…。」
一人の若者から呻き声が洩れた。
(頭痛い…。意識が朦朧とする…。最悪の寝覚めだな…。)
「って、ここどこ?」
何もない、真っ白の世界。どこまでも続く虚無の光景。どこまで続いているかもわからず、どこが地面でどこが壁でどこが空か分からない純白の世界。
目が覚めたらそこは…
「夢?いや、夢なら頭が痛いのはおかしいか…。って、何だこの格好っ!?」
若者の服装は白と黒の横縞の服、同じく横縞の長ズボン、所謂囚人服であった。
「囚人服っ!?…だよな、これ。」
(てことは、ここは新手の刑務所…な訳ないか。なんで急にこんなところに…。たしか昨日は…あれ?どこで何をしてたっけ…。)
「っていうか、俺って誰だっけ?」
そう、若者には記憶がなかった、気が付いたらこの場所で倒れていた。
(なんだってこんなことになってんだよ…。ここがどこだか分からないし、自分が誰だか分からないし…。)
「おーい!誰かいないのかー!!」
若者の叫んだ言葉は響くこともなく、真っ白な世界にただ吸い込まれていくだけだった。
「返事なし。話を聞こうにも誰もいないと…。」
(まぁ、とりあえずじっとしてても何も始まらないな。)
そう纏め、若者は何もない世界をゆっくりと進み出した。
第一話とありますが時間軸的には序章のちょっと前ぐらいになります。 キリがいいのでちょっと短いのですが投稿いたしました。 次話ぐらいまでは短めの投稿となりますが、お付き合いください。