奇妙な三人
生徒会長×卓球部長×生徒会役員
キッカケは卓球部の部長さんが生徒会室に珈琲を飲みにきた、というところからだった。
私は部活に加入していない。故に放課後やることも何もなく毎日役員室へ入り浸っているのだ。
その日は授業参観の日だった。
午前中2時間しか授業が無いのに月曜日が休み、というラッキーな日程だった。
2時間の授業が終わり役員室に向かうと、薄暗いがドアが空いていた。
中に入ると会長と何故か部長さんが居た。
「こんにちはー」
いつも通り、役員室の中に入って行くと二人は私にこんにちは、と返した。
「どうされたんですか?」
私は会長に尋ねた。主語は無かったけど大体察してくれただろう。
「いやー、こいつがね、どうしてもお茶を飲みたいって言うからさ。」と言いながら会長は珈琲とお茶どっちにするか、と部長さんに聞いた。
部長さんは珈琲と答えた。
思わず、「お茶飲みにきたんじゃないのかよ!」と突っ込みたくなったが、後輩という立場から抑えた。
「ねえ、君、東中だよね?」
部長さんは私に出身中学を聞いてきた。
「そうですよ。以前、電車の中でお会いしましたよね。部長さんもあの辺りにお住まいなんですか?」
「いや、僕は隣の中学。」
そうか、あのダサい制服を着なきゃいけなかったのか。と心の中で呟きながら、何で東中に来なかったんですか?と尋ねた。
東中は新設校で私が小学6年のときに出来た。
初年度、つまり部長さんが中学校入学の年は生徒数が少なかったため、学区外でも申請を出せば東中に通うことが出来たのだ。
実際東中のほうが綺麗だし、それを理由に此方に来た生徒は多かった。
「いや、うちの中学のほうが友達多かったし、ね。」
部長さんはそう答えて笑った。
「砂糖は何本?」
珈琲を淹れている会長が私たちの会話が終わったのを見計らって尋ねた。
「35本」
部長さんはサラッと答えた。
「35本もあるかな…?」
私と会長はスティックの砂糖本の数を確認する。
「冗談だよ。2本でいい。」
2本も入れるんだ、と思いながら砂糖を会長に渡す。
「安藤さんは?砂糖何本?」
よく見ると机の上のカップは3つだった。
「え?私もいいんですか?」
態とらしく声を高く上げて。
でも本当は嬉しかった。
部長さんと同じように2本、と答えておいた。
会長と部長さんはお昼ご飯を召しあがっていた。
部長さんの珈琲とパンの組み合わせは美味しそうだった。
でも私の目の前にいる会長の焼きおにぎりと珈琲という組み合わせはどうかと思った。
私は会長に淹れて貰った珈琲を啜りながら
部長さんはハムとチーズのパンを食べながら
会長は焼きおにぎりを珈琲で流し込みながら
3人の奇妙な時間は過ぎて行く。
学校の先輩の「砂糖35本」発言から生まれた作品です。
文章よ初々しさに関しては初投稿ですので、ご勘弁を。