第一話
子どもの頃にあこがれていた職業とは何だっただろう。
グラウンドの中で溌溂と駆け回り、一挙手一投足に全力をかけてプレイに臨む野球やサッカーなどのスポーツ選手?
巨大な鉄の塊を自由自在に操縦することのできる、バスや電車、果ては飛行機や宇宙船のパイロット?
それとも一生懸命勉強して人々を助ける弁護士や医者、もしくはこの国を担う総理大臣?
たしかにこれらのどの職業も子どもたちは小さなころから大きな関心を寄せている。子どもたちに将来のなりたい職業を聞けば半数はこれらの職業のどれかという返答が返ってくるだろう。
それなら後の半数の子どもは何になりたいのかだって?
そんなの俺に聞かないでくれよ、少しは自分で考えてみろってんだ。
何?もったいぶらずに教えろって?
それなら少しだけヒントを上げよう。今まで上げた職業はもちろん、君たちも一度はその職業に憧れたことがあるはずだよ。
……まだわからない?それじゃあもう一つヒント、この職業になるためには必ずそれと対立する存在が必要だよ。
その顔はピンと来たって顔だね、それじゃあ一緒に言ってみようか。
せーの
「悪役の怪人!」
冗談だからそんな目で睨まないでくれよ、本当は君の言うとおり「正義の味方」だよ。
それじゃあ前置きはこれぐらいにして物語を始めようか。
戦闘員の憂鬱「第一話」~悪の組織の戦闘員~
2xxx年、世界でも安全な国と知られる日本という国においても一向に犯罪は減ることはなかった。それどころか犯罪率は年を経るごとにわずかに増加していき、十数年前には国も無視できないところまで来ていた。
テレビでは知識人を名乗る人々がこの原因について様々な議論を繰り広げてきた。
「青少年のマンガやゲームに描写される暴力的な表現に問題があるのでは?」
「それならテレビドラマなども問題だろう」
「教育現場にも多くの問題が残っている」
「そもそも家庭に問題があるのでは?」
「国が適切な対応を取れず後手後手に回った結果だ」
彼らは自分たちが用意した様々なデータを用いて自説の根拠づけを行っていったが、そんな彼らの議論を他所に、世間を揺るがす歴史的な事件が起きた。
「我々は日本という国に嫌気がさした。よって此処に武力による日本打倒を目指す組織、「ホライゾン」の設立を宣言する」
突然の電波ジャックとともに宣言されたその瞬間、日本国と「ホライゾン」、そしてそれらの後に続くように立ちあがった悪の組織がこれから先の見えない戦いを繰り広げてる幕が上がったのだった。
……って俺はこんな説明口調で何をしゃべっているのだろう」
ぼさぼさの頭を掻き毟りながらそう独りごちる俺。
そもそもなんでこんなことを語り始めたのだろう、話し相手もいないのに……って友達もいない一人ぼっちみたーい!
いや実際今は一人きりだし、友達も数えるほどしかいないし、その友達とも最近疎遠になって来ているけれども。
いや、そもそもこんな状況に陥った理由というのは、その数少ない友達が悪ふざけで俺をこんなところに推薦したのが始まりだし、なぜか俺の知らぬ間にあれよあれよと話が進んで、俺が気付いたころには契約書にサインを書いて判を押してしまったあとだったし。
むしろそれまでの情報の隠ぺい能力の高さに俺は度肝を抜かされましたよ。
判を押すまで心やさしい綺麗なお姉さんだった女性が、判を押した瞬間契約書を引っ手繰って態度を豹変。そこで初めて俺は騙されていたことに気がついた。
しかもその直後友人にこの件について弁解を聞きにいったら、冗談半分でお前の写真とプロフィールを送付して見たらまさか本当に入ることになるなんて、って爆笑してやがった。
なんだよ!写真とプロフィールを勝手に送るって!某有名なアイドルプロダクションじゃないんだぞ。それに個人情報保護法はどうした!
え、今のこの国にそんなもんなってないようなもんだろって?それは……確かにそうかもしれないが、お前、俺の労働条件知っているのか!
週7日、24時間体制、給料歩合制、基本給なし、社宅あり
労働基準法様を呼んでこんか――――い!!!
何だこの労働条件!完全に奴隷じゃないか!社宅ありって要はお前に自由の時間はないぞって言ってるようなもんちゃうんかい!
部屋に案内されたら6畳一間の素敵空間が広がっていました。こんなことでうれし涙が出そうになった俺の荒みきった精神を癒すしてくれる女の子を紹介しろ!!もしくはお前が俺の代わりにこの仕事を全うしろ!
はっ?何、お前就職決まったの?
……そうか、お前母ちゃんが病弱で苦労してるって言ってたから、これでようやく親孝行ができるな。
(絶対初仕事はこいつの会社を襲撃してやると俺は心の中で誓っていた、友情?そんなもん昨日どぶ川に放り投げてきたわ)
こうした理由があって俺は今現在の就職先……悪の秘密結社「ジャッジメント」の戦闘員として、ある街のある住宅街のある一軒家で暮らしている。
悪の秘密結社なのになんでそんな所に住んでいるのかって?そんなもの俺に聞かずにこの組織を設立した基地外野郎(←誤字じゃないぞ)に聞いてくれ。
もっともそいつは現在この家にはおらず、自分で作り出したこの組織をほっぽり出して日本のどこかを放浪している……という情報をいなくなった三日後ぐらいにようやく発見した置手紙で知った。
どうだ、上手いこと言っているだろう俺?
……よせやい、そんな目で見つめられるとみじめな気持になっちゃうじゃないか。
そんなことは置いといて、ここで「ジャッジメント」について簡単に説明しておこう。
先にも言った通り、この組織を作ったのは今は行方知れずの男「ミシマ」俺も顔を合わせたのはあまり多くない。
そもそもこの家の持ち主であり結社のボスである「ミシマ」はほとんどこの家に留まっていることがなかった。というのも「ミシマ」は他の組織との折衝を主として活動していて、コイツ自体は何か特別悪事に手を染めていたわけではない。
裁判にかけられても「ミシマ」を追い詰める決定的な証拠は上がらないだろうし、自身は「裁判になっても私は負けるわけがない」とかほざいていた。
身に纏うスーツにつけられた弁護士バッチに光があたり、その存在を否応なしに俺に訴えかけてくる。この時ばかりは本気でコイツを殴り殺してやろうかと思ったのは、今だからぶちまける秘密だからな。
「ミシマ」以外の構成員は俺を含めて4人。1人は先の話にも出ていた、判を押すまで心やさしい綺麗なお姉さん、判を押した瞬間契約書を引っ手繰って態度を豹変させたクソビッチ(本人の前でこんなことを言ったら俺が殴り殺されるけどな、わりかしマジで)こと悪の女幹部。
名前は以前は「マキ」と名乗っていたが今は何と名乗っているのか……
こいつも「ミシマ」がいなくなると同時に姿を消した一人だ。組織の運営を担当していたこの女は俺をまさしく奴隷のように扱き使い、馬車馬のように働かせ、そして「ミシマ」が姿を消したと同時にパっと姿を現さなくなった。
最初は「ミシマ」を追って何処かに行ってしまったのかと思っていたが、まさかあんなところで遭遇しようものとは、いやこの話はまた別の機会に取っておこう。
組織の金策を担当していたのはなんとまだ12歳だった天才小学生。彼女の才能に目をつけた「ミシマ」が彼女を言葉巧みに操り組織の活動資金を様々な方法で生み出させていた。
ちなみにこの小学生の世話役を仰せつかっていた俺は彼女が彼女であることに気づいたのは知り合ってから実に半年が経ってからだった。
というのもコイツ「僕っ子」なのである。そして本人が思っている以上にボーイッシュなのである。そして12歳にもかかわらず第二次性徴の現われが微塵も感じられなかっのである。
以上の理由から俺がその事実に気づくまでに時間がかかったことに関して異論はないと思うところなのだが、この時はいろいろな意味でひどい目にあった。人生の不幸がいっぺんに押し寄せてきたのではと思ったぐらいだ。
話を戻すがコイツはとにかく頭が回る、そして以上に運がいい。弱冠12歳の女の子に言い負かされること星の数。そして彼女の運の良さで稼いだ金額、プライスレス。冗談は置いておいて試しに宝くじを買わせてみれば当たりくじを引く。
当初は銀行強盗をしてでも資金を稼ごうとした組織からすれば、平和的に、そして向こうからお金を渡してくれる。その実行犯になったであろう俺の中の犯罪歴を華麗に消し去ってくれた少女、まことに乙である。
しかしそんな彼女も今は成長して高校生、今は世間でも評判のお嬢様学校に通っているらしい。そのためこの組織とは疎遠になってしまっているが、それでもごく稀に彼女の方から連絡してくることもある。
話をしても、相変わらず小学生の頃のまんまで成長はしていない(実際には会っていないから知らない)が、それでも連絡の取れる数少ない知り合いであることから、彼女の番号は俺の携帯の登録番号上位に位置する。
というか俺がこの組織に入ってからすでに4年近く経過しているのか、今更ながらの驚きの事実である。
そして残る構成員、この組織の唯一の戦闘員であり最大戦力(を自称)の俺とマスコット担当のミクちゃん。ミクちゃんは2年前に衝撃的な出会いをした俺の相棒であり今では決して離れることのできない相思相愛の関係(だと俺は信じている)だ。
うらやましいと思った奴、素直に手を上げろ。
正直なお前たちには後日俺がこれまで時間をかけて集めてきたミクちゃんの愛くるしい画像をプレゼントしてやる。
おっと、もうこんな時間か。悪いがこれからミクちゃんとお散歩デートの時間なので今日はこれぐらいにしておこう。
おーい、ミクちゃん!
嬉しそうに俺の元にかけてくる彼女を抱きとめるとそのまま玄関へと向かう。
さぁミクちゃん、今日も楽しい二人のデートタイムの始まりだ! ガチャ
「ようやく現れたな!今日こそおまえを倒し、この街の平和を手に入れて見せるぞ!!」
「「「「おぅ!!!!」」」」
そんな俺のテンションを崖の下まで突き落としたのは、世界の平和を守るため戦い続ける5人組の戦隊ヒーローの格好をした「正義の味方」たちの待ち伏せだった。
◆◆◆
悪の結社「ホライズン」が社会に名乗りを上げた後、それに呼応するかのように日本各地で様々な組織が蜂起した。
その数はあまりにも多く当時の日本を大いに揺るがす一大事件となった。それらの組織に対し、警察だけでは人員も予算も圧倒的に足りず、これら全ての組織と戦い続けることができないということを判断した当時の内閣と議会は驚くべき法律を提出し採択した。
「ヒーロー法」
日本各地に存在する悪の組織と戦うことを目的としたヒーローを職業として認め、またその戦果に応じてヒーローを支援するという法律である。またこれらの法律によって悪の組織にもランクがつけられることとなった。
冗談のようなホントの話ではあるが、この法律が採択されたことによって悪の組織と正義のヒーローの長きに渡る戦いの歴史が幕を上げたと言えるのである。
さて、そんななかで俺が不本意(ここ大事!)にも所属している「ジャッジメント」のランクはというと、そこらへんのどこにでもあるような組織につけられるような最低ランクである。
嘘です。
実は認めたくない事実だが、国が「ジャッジメント」につけたランクは、悪の組織と認められている組織の中で、上から5番目に位置付けられている。
ちょっと待て!いつからうちはそんな危険な組織になったんだ!
確かに周りにランキング上位に位置づけられるような大きな組織は現在は存在しないし、そもそもこの街で唯一の悪の組織である「ジャッジメント」ではあるが、こんな優良市民である俺がそんな危険な組織にいるなんて信じられるか!
いや、きっとこれは過去の過ちがこの順位に位置づけられる原因だということは分かっているんだ。
過去の過ち①
ミシマに命じられるがままに、この街で悪事を働いていた組織をつぶしては「ジャッジメント」の名前を売るという売名活動。
過去の過ち②
大きくなっていく「ジャッジメント」の名前に釣られたヒーローをさんざん返り討ち。
名実ともにこの地域で一番の組織になるまでそのことに気づかなかった俺のバカ野郎!!そんなことをしたらヒーローが寄ってくるのは自明の理じゃないか。
「おい! いい加減に無視をするのはやめて俺たちと戦え!ジャッジメントの戦闘員!」
俺が現実逃避をするように思考の海に沈んでいると、その様子に痺れを切らしたヒーローの一人(赤いの)が苛立ちながらそう叫んできた。
「世の中にはびこる悪の芽を」
「華麗に切り取る正義の心」
そう言って青と黄色のヒーローが一歩前に出る。
「街の平和を願う声で」
「無限のパワーが生まれるぜ」
続いて桃色、黒のヒーローがそれぞれ前に出る。
「正義の牙で悪を噛み砕く、超獣戦隊ビーストレンジャー! 今日こそお前を倒してこの街に平和を取り戻す。覚悟しろ!」
そう言って赤いのが前に立つと全員がポーズを取って俺の前に立ちふさがってきた。
その声に驚いてか、ご近所さんが何事かと窓から顔を出してあたりを確認する様子が俺の目に映る。そしてその目が俺の元で止まると得心がいったように一度頷いて、俺に同情するような視線を送って部屋の中へと帰っていく。
ご近所さん、ごめんなさい。後でまた謝りに行かないと。こいつらこそ近所迷惑というものを考えた方がいい。
こんな住宅街の一角で戦闘を行おうなんてこいつら本当に正気か?と小一時間ぐらい問い詰めたいところである。
それになにより今から俺はミクちゃんとデートなのである。何が楽しくてそれを中断してこんな奴らに付き合わなければならないのか。
たしか以前刊行されていたヒーローを紹介する雑誌によると、こいつらビーストレンジャーは新進気鋭のヒーローで、世間でも注目を集める存在……らしい。
鋭い眼光で街の平和を見守る賢き鷲、黄色の戦士イエローイーグル。
大海のような広い心で正義を思う海の賢者、青の戦士ブルードルフィン。
強靭な脚力で平和のために走り続ける黒豹、黒の戦士ブラックパンサー。
自慢の聴力でどんな声も聞き逃さない草原のアイドル、桃色の戦士ピンクラビット。
百獣たちを従える気高き獣の王、赤の戦士レッドレオ。
この五人を称してビーストレンジャーと呼ぶそうだ。
以前はこの街よりもさらに北にある地方を活躍の場にしていたと聞いていたが、何故そんな奴らが今ここにいるのだろうか。
いや、わかっている。その理由は「ジャッジメント」が世間的には落ち目とされていて、他の上位に連なる組織と比べて倒しやすいであろうという世論の評価を得ているからである。
組織の顔とブレーンが抜け、唯一残っている俺は犯罪を起こすつもりなど毛頭ない。そんな名前だけは大きい組織は、大きな実績を残し名前を売りたいヒーロー達からすれば恰好の獲物である。
「あー人違いですよ。ジャッジメントの戦闘員さんなら向こうの公園で子どもたちをいじめるぞーとか言ってるのを聞きましたよ。それじゃあ俺はこれで失礼しますね」
そう言って彼らの脇を一般人を装って抜け出そうとする。
そもそも今の俺は上はワイシャツの上にカーディガンを羽織り、下は普通にデニムという何処にでもいる普通の格好であり、間違っても悪の組織の戦闘員という格好ではない。
「あ、そうですか親切にどうも……なんていうわけないだろ!お前が戦闘員だということは分かっているんだ!」
5人は距離を取りながら俺の周囲を囲んでいく。それぞれが警戒しているため強引に抜くことも容易ではなさそうだ。
「これでもう逃げられない、おとなしく降伏するなら命だけは助けてやらないこともないぞ」
レオレッドが俺に言ったセリフだが、間違っても正義の味方のセリフではない。それはむしろ俺が言うべきセリフだろう。
それにそのセリフは実は考えるだけで実際は助けるなんて確約されておらず、それを信じたやつの行く末は想像にたやすい。
「ジャッジメント、俺たちが倒してきたどの悪者たちよりもランクは上だが今の俺たちならお前を倒すことだってできる」
「私たちが力を合わせればどんな悪も滅ぼせるわ」
黒いのとピンクが高らかに宣言する。
「あなたたちのリーダーと幹部がもう組織に残っていないことは分かっているわ。後はあなたを倒せばこの街に平和が戻ってくる」
「そしてお前を倒したことで俺たちの給料も大幅にアッ「それは言わなくていいだろ」パシン
青いのに続いた黄色いのが余計なことを言って叩かれている。やっぱりお前たちもヒーローも給料制なのか。固定給なのか歩合制なのか、大いに興味が惹かれるところであるが、青いのの話から推測すると固定給っぽいな。
「げふんげふん、と、とにかくこの街の平和を取り戻すためお前を倒す!」
赤いのが気を取り直して武器を構える、それに続くように他の4人もそれぞれの武器を構えた。
構図的には武器を手に一般市民を取り囲む5人の集団、この状態を写真におさめたら裁判でも勝てる気がする。俺は何があろうとも一般市民であることを押し通すし、町のみんなもきっと協力してくれるはず。こんな時のために近所づきあいは欠かさなかったのだ。
「あーもうどうでもいいけどとりあえずこの場はいったん引いてまた後日っていうことにしません?ここは住宅街ですし、俺もこいつを連れてるんで正直迷惑なんですけど」
嫌々という態度を前面に押し出して彼らに語りかける俺。さっきも言ったがここではご近所の方々に迷惑になるし、それになによりミクちゃんを危険にさらすわけにはいかない。
「問答無用、それに俺はその犬のようなブサイクはブヘッ!!」
そう言って俺に切りかかろうとした赤いのは何が起こったかもわからないまま20メートルは先であろう家の外壁に突き刺さっていた。
その光景に唖然とした4人は何度も俺と赤いのとの間で視線を行き来させる。
「お前たちは俺の話も聞かずあろうことか俺の大事なミクちゃんを!あろうことかブサイク呼ばわりした!ミクちゃんはブサイクなんかじゃない!このかわいさがわからんお前らには教育が必要みたいだな⁉」
慈しむようにミクちゃんの頭をなでると、ミクちゃんは嬉しそうに俺の指を舐め返し、その姿に俺の心は鷲掴みされる。やはりミクちゃんはかわゆすぎる!
こいつらになぜミクちゃんの可愛さが理解できないのか、それが俺には理解できない。
ぶんぶんと首を振って俺の接近を拒絶する4人の戦士たち、しかし最初に仕掛けたのはこいつらだしもう遠慮する必要なんてない。
五分後、通行人はなぜか壁に突き刺さった五人のヒーローの下半身を不思議そうに眺めながら通行していく。
「ミクちゃん、今日はお詫びに特別なご飯を用意してあげるからね〜」
そんなことはお構いなしに俺は公園の方に歩いていく。俺の言葉に嬉しそうに駆け回るミクちゃん、その姿に先ほどまでの鬱憤など吹き飛んでいった俺なのであった。