↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クインテット。ナイツ  作者: 恵/.
Q―知らされる。ナイツ
61/132

そして物語は動き出す


  ◇


「調子はどう?」

 先程の女性が、手術室のような場所へやって来た。

「遺伝子に施された仕掛けの解析は終わりました。投薬が完了すれば、数分以内に元の姿(オリジナル)へ戻るはずです」

 それに答えるのは、手術着を纏った男。怪しげな機器を手に、何かを調べていたようだ。

「そう。投薬を続行して、完了五分前までに全員退避。完了後に動作確認の後、被検体と接触させなさい」

「はっ」

 男は恭しく敬礼すると、自分の作業に戻った。あの怪しげな機器を、手術台に横たわる少年―――狼に押し当てている。

 狼は手術台に金具で固定され、衣服を剥がれた上半身に機器を当てられ、腕には点滴が施されていた。呻き苦しんでいる様子の狼を見て、女性は一人ほくそ笑んだ。

(ようやく……『WOLF SERIES』計画が実現するわ)

 はてさて、どうなることやら。



 ……その頃、優達は。


「多分、この辺だと思う」

 舞奈の案内で、狼が電話を掛けたと思われる場所にやってきていた。空き地や廃屋、廃材置き場などが並んでおり、確かに人が滅多に寄り付かなさそうな所である。

「この辺りから、狼君の気配を辿れれば……」

「今やってる」

 闇代は目を閉じ、辺りの気配を探っている。どうでもいいのだが、何故彼女の鼻はピクピク動いているのだろうか?

「あっち」

 ビシッと指差す闇代。しかし―――

「そこは地面ダゾ」

「あれ? おかしいな……」

 闇代が指したのは、真下の地面だった。

「しっかりしろ」

「これでもちゃんとやってるの!」

 闇代と一片が口喧嘩を始めてしまった。やっぱり、あまり仲良くないのか、この二人?

「どうしよう、お優さん?」

 舞奈は優の方を向くが、優は目線を下げていた。

「お優さん?」

「闇代ちゃん、本当にこの下から狼の気配がしたんですね?」

 名前を呼ばれ、闇代は一片との言い争いを中断する。

「うん。正確には、狼君の痕跡だけど」

「そうですか」

 すると優はしゃがんで、足元のマンホールに手を掛けた。

「それなら多分、狼はこの下でしょうね」

 マンホールの端を摘まむと、それを器用に持ち上げる。本来これは、摘まんだくらいで外せるものでないのだが、優はいとも簡単にやってしまった。

「さてと。ここから先へ行く前に、皆さんへ言っておかなければなりません」

 優は闇代、一片、舞奈の方へ振り返る。

「ここから先は、武器を手にした状態で進んでください」

 そして優は右手を空へ翳すと、あの刀を呼び寄せた。

「恐れ戦き自戒せよ」

 『虹化粧』のある辺りから飛んできたそれは、優の右手にすっぽりと収まる。優はそれを横へ振り下ろすと、言葉を続けた。

「ここから先は、丸腰で入っていい場所では、ありませんから」

「……お優さん。もしかして、狼君はやっぱ、奴らに?」

 舞奈に問われ、優は首を縦に振った。

「恐らくはそうでしょう。でないと、この事態を説明できません」

 どうやら優と舞奈には、狼の失踪に心当たりがあるようだ。

「それなら、それくらいしたほうがいいよね」

 舞奈は上着の内側に両手を入れると、銀色に鈍く光る、二丁の銃を取り出した。

「小宮間さん、それはエアガンでは?」

「うん、そうだよ」

 確かにその銃には、金属独特の質感がない。表面加工したプラスティック製なのだろう。

「でも安心して。オートロード」

 舞奈の掛け声と共に、銃からカチリという音がした。

「これで自動装填モードになったから。弾も小さいけど鉛製だし、精度もよくて反動も殆どないから扱いやすくて便利だよ」

 このエアガンには特殊な改造が施されているらしい。にしても、音声入力での制御など、どういう方法で取り入れたのだろうか。

「闇代ちゃんと瞳君も大丈夫ですね?」

「おーけーだよ」

「問題ない」

 闇代と一片も既に、それぞれの武器を手にしている。

「それでは、行きますよ」

 そして優達は、マンホールへと飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。