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クインテット。ナイツ  作者: 恵/.
Q―知らされる。ナイツ
58/132

主人公は鈍感だって相場は決まってるけど、今回それが裏目に出たね


 ……そんな彼らの様子を、物陰から窺っている人物がいた。


「……ターゲット、発見しました」

 黒のスーツを着た男性が、襟の内に仕込んだマイクで誰かに告げる。

《対象は一人?》

 彼の耳に取り付けられたイヤホンから、女性の声が返ってきた。

「いえ、二名の少女と一緒です」

 そう言いながら、男性は狼達を追うように物陰を移動する。怪しさ全開である。

「どうします? 一人になるまで待ちますか?」

《いいえ。このまま帰宅されると面倒だから、待機させてる別働隊に捕らえさせるわ。あなたは念のため、このまま尾行して、その後指示が出たら離脱して》

「了解」

 男性はマイクから手を離すと、狼達の後をこっそりつけて行く。



「……ん?」

 ふと、狼が振り返った。

「どうしたの?」

「いや、誰かに尾行されてる気が……」

 気づいてるし。プロではなかったのか。

「もしかして、闇代ちゃん?」

「いや、闇代って割と気配を消すのうまいから、隠れてるなら、こんな簡単に分かったりしないはずなんだが……」

 よし、ちゃんと不審に思ってくれた。

「まあ、気のせいだろう」

 しかし彼は、自分の勘を否定してしまった。何でだ!?

「そうね」

 まさか、本当に尾行されているとも。それも、かなりやばそうな連中にと言うことも知らず、狼は呑気に上風達と歩いていたのだった。



「……ふぅ、まさか、感付かれるとは」

 狼達が少し離れたところで、彼をつけていた男性が、電柱の陰から僅かに顔を出して様子を窺う。狼達は談笑に夢中で、彼のほうを向く気配もない。

「だが、確信できなかったのなら同じことだ」

 そう呟く男性の耳に、先程の女性の声が響く。

《別働隊のスタンバイが終わったわ。離脱しなさい》

「了解」

 男性は狼達の背中を一瞥すると、反対方向へ駆け出した。

「まったく、うちの上司にも困ったもんだ」

 そんな呟きを、残しながら。



「……おい」

 狼が突然、歩みを止める。

「今度は何?」

 それに気づき、上風達も足を止めた。

「今度は、囲まれてる」

 言われて、上風は辺りを見回してみる。すると確かに、人の気配がする。

「まずいな……。この辺は、あんまり人が通らないのに」

 つまり、悪巧みをするには打ってつけのポイントということか。

「何人いるか分かる?」

「少なくとも十人はいると思うが……。正直、例え向こうが素手でも何とかならない感じだな」

「そんな、何で……?」

「知ったことかよ。 こっちが聞きたい」

 そうこう言っている間に、気配はどんどん近づいている。

「ったく、こうなったら……」

 狼はポケットに手を入れると、ガサゴソと中を漁りだした。

「何やってんの?」

「あいつを呼ぶ」

 そして携帯電話を探りあてると、ポケットの中で開いて、ある番号を呼び出した。

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