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クインテット。ナイツ  作者: 恵/.
M―視える。ナイツ
14/132

コスプレキャンペーン、始めました?

  ◇



 ……『虹化粧』に辿り着く。


「おいババア」

 勢いよく扉を開けた狼を、

「お帰りなさ~い」

 出迎える優は、何故かメイド服姿だ。

「あいつはどうした?」

 そしてそれをスルーする狼。

「何か突っ込んでくださいよぉ~」

 そんな彼の態度に、残念そうな表情を浮かべる優。

「昨日のあいつはどうした?」

 狼は、それに関しては無視を決め込んだようだ。

「あの子なら、一緒にコスプレ中ですよ」

 それを悟り、諦め顔の優。住居部分へと繋がる、暖簾の掛かった通路の入り口を指差して答えた。

「そうか」

「着替えが終わったら、直ぐにでも来ると思いますよ?」

「おかえり~」

 と言った直後、その通路から件の少女が姿を現した。風呂にでも入ったのかやや湿り気のある金髪をツインテールにし、思った以上に小柄なその体躯を真っ白なナース服に身を包んでいる。そんな格好にもかかわらず、平然と初対面の人間を向かい入れるその精神には、思わず感服してしまう。

 にしても、ナース服で『おかえり』とは、どういうことなのだろうか。



  ◇


「そんなことがあったんですか」

 一同は『虹化粧』の住宅部分の居間に集まった。勿論、件の少女もだ。そして先程まで、狼が優に事情を説明していた。

「どうでもいいから、せめて来客中は着替えてくれ」

 狼もさすがに見かねたようで、泣きそうな声で頼むが、

「駄目ですよぉ~。お客さんに見せないとコスプレの意味がないじゃないですか」

 優は先程のメイド服に猫耳を追加していた。ちゃんと尻尾もついている。

「そうだよねぇ~」

 少女のほうも完全に乗り気だ。

「で、そいつは何なんだよ?」

 狼は諦めて、本題に戻った。それに対し少女は居住まいを正すと、

「飾、闇代やみよです」

 頭を下げて、自分の名を告げた。

「ここから少し山間のほうにある、虹ヶ丘町に住んでいて、家は除霊師をしています」

「除霊師?」

 狼は少女の、金髪頭の天辺から、整えられた眉毛、くりくりと愛らしい目、綺麗な桜色の唇、ナース服に覆われた起伏の少ない(というか皆無の)胸へと視線を巡らせ、

「全然見えないな」

 下手すると小学生だろ、と続けようとしたのだが、

「悪かったね!」

 彼女の声で遮られてしまった。

「で、そのちびっ子除霊師さんが、何で道端で倒れてたんだよ?」

 闇代は何か言いたげだったが、文句よりも説明を優先させたようだ。

「こっち絡みの件で色々あって、力尽きて倒れたの」

「こっち絡みってのは、除霊師云々か?」

「そうだよ。……狼君は信じてないみたいだけど」

 いや寧ろ、信じていないのは戸沢のほうだ。

「霊の暴走と、あと退魔師が好き勝手してるって聞いたから来てみたんだけどね」

「除霊師と退魔師って、何が違うんだよ?」

「除霊師は『霊から害悪を取り除く』のが仕事で、退魔師は『霊を魔として退ける』のが目的」

「よく分からん」

 というか、他の人達が置いてけぼりになっている気が……。

「とにかく、退魔師は除霊師の敵なの。しかもそいつ、町中の霊を集めて悪霊にしてたんだよ。そうやって、自分達の行いを正当化して、効率よく除霊してるの理性が飛んで元に戻らなくなってるから、こっちも除霊するしかないし」

「それで、暴れるだけ暴れて、挙句返り討ちに遭ってくたばったのか?」

「くたばったとか言わないで」

「事実だろ?」

 頷くしかない闇代。とても不服そうだ。

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