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クインテット。ナイツ  作者: 恵/.
M―視える。ナイツ
13/132

YOU!! LAY!!

 ……また日付が変わって次の日。『クインテット・ナイツ』の集まりにて。


「「「「幽霊騒ぎ?」」」」

 氷室以外の全員が、口を揃えて言った。

「うん、そう。昨日の夜に幽霊が大量発生して暴れまわったとか」

 情報委員の氷室が、その詳細を皆に報告している。

「ふん。馬鹿馬鹿しい……」

 戸沢が、言葉の通りの心情で呟く。

「それは俺も思ったんだけど、何か色々と具体的でね」

 氷室はメモ帳を取り出すと、内容を話し出した。

「この件が事実と思われる根拠その一、現象が具体的。夜中、マナーの悪い人々に捨てられたゴミ袋の中身が、コンビニの周りでたむろしていた若者に直撃。他にも、実際に人の目に火の玉が映ったとか。あ、これ全部目撃者多数で信憑性はそれなりに高いから。写真も出回ってるし」

「その棒読みな喋り方には突っ込まないとして、それは確か見たいだな」

 狼が頷く。

「根拠その二、その現象の中心と思われる場所で喧嘩してた人たちがいた。歳は俺らくらい。それもただの喧嘩じゃなくて、超常現象だったとか」

「ちょうじょうげんしょう?」

 縄文寺が、わざわざ平仮名で聞き返した。実は変換が追いつかなかったらしいが、これは企業秘密ということで。

「何でも、炎が上がったり、竜巻が起こったり、地殻変動が起こったり」

「相当大規模な喧嘩だな……」

 狼は、氷室からメモ帳を受け取りながら呟いた。そして受け取ったメモを捲りながら、何かを紙に書き出す。

「何やってんの?」

 縄文寺が問うた。

「これか? 騒ぎのあった場所を地図上の位置と照合してるんだ」

「意味あんの?」

 今度は氷室が問うた。

「ある」

 そう断言すると、狼は作業に戻る。

「まさかとは思うが、幽霊なんてものを本当に信じてるのか?」

 戸沢が口を挟んだ。

「ああ」

 狼は即答した。

「幽霊がいないとされるのは、その存在を証明できないからだ。方法的懐疑がどうたら、ってとこから来た考えかもしれない。でも事実、こういった現象が起こってるんだ。なら、幽霊の存在を裏付ける証拠にもなり得るだろ」

 ポルターガイスト、心霊現象、不審火、竜巻に地殻変動。明らかにまともな自然災害じゃない。

「それと、今朝の新聞にこのことが載ってた。マスコミが、しかも大手新聞社がまともに報道してる時点で、それなりに根拠があったと考えられる。まあ、マスコミもたまには誤報するが……。信憑性は高い」



  ◇


 ……数分後。


「やっぱりか……」

 狼が、ぽつりと呟いた。

「「何が?」」

 一同が、一斉に振り向く。

「喧嘩のあった公園を中心に、事件が起こってる」

 狼は、手に持った地図を示しながら、そう断言した。

「ほんとだ。公園の半径五百メートル以内に目撃証言が集中してる」

 縄文寺が感心したように言う。

「お前、地図が読めたんだな。しかも、縮尺まで理解してるとは」

 狼は皮肉交じりに呟いた。

「そのくらい当然よ」

 縄文寺は心外だとでも言いたげだ。

「でさ、それがどうしたんだよ?」

 氷室が問うた。

「つまり、喧嘩騒ぎを起こした奴らが、今回一件に拘っている可能性がある、ってことだ」

「なるほど」

 納得したようだ。

「氷室、そいつらがどんな格好をしていたのか、分かるか?」

「一人は男で、特に特徴とかはないらしい。もう一人は女の子で、金髪にツインテールで……、あれ?」

 氷室は、自分の言葉に重大な意味が込められていることに気付いた。

「金髪に……、」

 縄文寺と、

「ツインテールって確か……」

 狼も、それに気付いた。

「どうかしたのか?」

 事態が把握できない戸沢が問う。

「氷室、歳は分かるか?」

「中学生くらいらしい」

 即答する氷室。

「決まりだな」

 狼は立ち上がった。

「だから、何がだ?」

 戸沢が再び問うが、

「会いに行く」

 狼はそれだけ言って、教室を出た。

「ちょっと待って」

 他の者達も、後に続く。

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