表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クインテット。ナイツ  作者: 恵/.
L―対応する。ナイツ
10/132

今回、何のために書いたんだろうか?

 しばらくして食事が終わると、一同は勉強を再開した。殆ど狼が教えていたが。

「塾の講師か、あんたは……」

 悔しそうな上風の呟き。

「教師志望の癖に教えるのが下手な奴に言われたくない」

「ひどっ! 気にしてんのに」

「邪魔するならさっさと帰れ」

 狼は会話を打ち切ると、再度紗佐の面倒を見る。


 こんな感じで、この日は終わっていった。



  ◇



 ……時間は過ぎて、テストの一週間後。


「どうだった? テストの結果」

 縄文寺が、紗佐に会うなり尋ねてきた。

「あ、あのっ……、それが……」

「もしかして、赤点取った?」

「いえ、あの……」

「さっさと見せろ」

「あっ……」

 狼が強引に、紗佐が持つテストの成績表を奪い取った。

「国語七十二点、数学七十五点、化学八十一点、物理八十五点、英語九十三点、世界史八十点、地理七十四点……」

 そして、すらすらと読み上げる。

「はぅぅ~……」

 縮こまる紗佐。

「凄いね。うるっちが教えた甲斐があったってもんだね」

 氷室が首を突っ込む。

「コツさえ掴んだら誰でもこのくらい取れる」

 狼はそう言うが、それが謙遜かどうかは、彼の表情からは読み取れない。

「そのコツを教えたんでしょ?」

「分かれば誰でも出来る」

 ……いや、これは謙遜ではない。話を続けるのが面倒なだけだ。

「あの……、向坂君……」

「ん……?」

 紗佐が、狼の方を向いて、

「ありがとう、ございました」

 深く頭を下げた。

「……まあ、礼を言われて悪い気はしねえが……。俺が手伝ったのは、あの教師志望が情けねえからだぞ」

「それは言わないでって」

 笑いを誘う、一言であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ