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異世界に召喚されたが異端扱いされた俺、祈らず戦っていたら八柱目にされていた件  作者: じゃむ


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第8話 祝福の外へ

第8話です。

ここで舞台は、王都の外へ移ります。


神に守られた場所から一歩出たとき、

この世界はどんな顔を見せるのか。

その入口となる回です。

王都の外門は、夜でも閉じられていなかった。


人の出入りが多いから、という建前。

実際には、ここを越える者の大半が「戻ってこない」からだ。


「……静かだな」


ラギアが、低く言う。


「王都の中より、よっぽどな」


俺は門をくぐりながら、背後を振り返った。

白い壁、神殿の尖塔、鳴り止まない鐘の音。


(あそこが、神に守られた世界)


一歩、外へ出る。


それだけで、空気が変わった。


重さが違う。

圧が、ない。


身体の奥に、妙な解放感が広がる。


「……っ」


ラギアが、短く息を吐いた。


「どうした」


「祝福が、薄い」


彼女は、耳を伏せる。


「王都の中じゃ、常に神の気配がある。

ここは……ほとんどない」


なるほど。


だから、追放先にされる。

だから、禁断と呼ばれる。


「生きづらそうだな」


「生きるだけなら、むしろ楽だ」


ラギアは、そう言った。


「神の機嫌を気にしなくていい」


夜道を進む。

舗装は粗くなり、街灯も減る。

代わりに、焚き火の光が点々と見えた。


人影。


近づくと、それは人間ではなかった。


獣人、オーク、背の低いドワーフ。

皆、祝福を持たない者たちだ。


「……人間だ」


警戒の声が上がる。


だが、次の瞬間——


「違う」


誰かが言った。


「祈りの匂いがしない」


俺は、思わず笑った。


(そんな判別方法かよ)


「安心しろ」


俺は、手を上げた。


「追い出された側だ」


沈黙。


やがて、年老いた獣人が一歩前に出る。


「名は?」


——まただ。


名を問われる。


だが今度は、

追うためじゃない。

区別するためでもない。


「……カイだ」


そう名乗ると、空気が少し緩んだ。


「ここは、祝福の外だ」


老獣人が言う。


「祈っても、神は応えん。

だが——」


彼は、焚き火を指した。


「生きてる」


簡単な言葉。

だが、妙に重い。


「ここに来た者は、

自分で立つしかない」


「ちょうどいい」


俺は、即答した。


ラギアが、横で鼻を鳴らす。


「ほんとに、変わってるな。

カイは」


「褒め言葉だ」


「そうだな」


彼女は、少しだけ笑った。


焚き火のそばに腰を下ろす。

誰かが干し肉を投げてきた。

受け取って、噛む。


硬い。

だが、ちゃんと旨い。


(……悪くない)


王都では得られなかった感覚だ。


祈りも、祝福も、守りもない。

その代わり、嘘がない。


「なあ」


俺は、焚き火を見つめたまま言った。


「この先に、禁断の森があるんだろ」


空気が、ぴり、と張り詰めた。


「……行く気か」


「強いのが、いるならな」


老獣人が、低く笑った。


「神に見捨てられた地だ。

人も、獣も、魔も——

全部が牙を剥く」


「最高だ」


俺は、即答した。


ラギアが、肩をすくめる。


「ほらな。

こういう奴だ」


焚き火が、ぱち、と音を立てる。


王都の鐘は、もう聞こえなかった。


ここから先は、

神の管理が届かない場所。


——祈らずに、生きる世界。


俺は、立ち上がった。


「行こう」


「どこへだ」


「祝福の外へ」


異端・カイは、

神のいない地へ、足を踏み出した。

第8話、最後まで読んでいただきありがとうございました。


ここで


王都の外


祝福が薄れる世界


祈らずに生きる人々


が登場しました。


この先、

「神に守られた世界」と

「神のいない世界」の違いが、

よりはっきり描かれていきます。


もし

「続きが気になる」「この先も読んでみたい」と思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。


次話からは、

禁断の森を舞台にした新章が始まります。


次話も、よろしくお願いします。

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