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異世界に召喚されたが異端扱いされた俺、祈らず戦っていたら八柱目にされていた件  作者: じゃむ


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第6話 神殿という名の戦場

第6話です。

ここから物語は、

対話では済まない段階に入っていきます。


神殿は祈る場所であり、

同時に「秩序を守るために血を流す場所」でもあります。

訓練場を離れたあと、空気が変わったのはすぐだった。


王都の中心部へ近づくにつれ、人の視線が増える。

だが好奇や畏怖ではない。

露骨な警戒と、拒絶。


(もう噂が回ってるな)


異世界から来た異端。

祝福を拒み、聖騎士を叩き伏せた存在。


速い。

神殿は、こういう情報の回り方だけは一流だ。


「……来るぞ」


ラギアが、低く言った。


彼女の耳がぴくりと動く。

次の瞬間、通りの先に白と金の影が現れた。


神殿騎士。


数は十。

全員が祝福を帯び、歩くたびに淡い光が揺れている。


「異端」


先頭の男が、名を呼ぶように言った。


「七神の名において、貴様を拘束する」


「またか」


俺は、軽く首を鳴らした。


「神殿ってのは、よほど暇なんだな」


「挑発は無意味だ」


神殿騎士が、剣を構える。


「祈りを拒む者は、世界の敵だ」


世界の敵。


便利な言葉だ。

何をしても許される、免罪符。


「……下がれ」


ラギアが、一歩前に出た。


「そいつは、あたしの管轄だ」


神殿騎士の視線が、彼女に向く。


「獣人は黙っていろ。

祝福なき者に、発言権はない」


ラギアの尻尾が、ぴたりと止まった。


(まずいな)


次の瞬間、彼女が飛び出すより先に、俺が動いた。


「やめとけ」


神殿騎士の剣が振り下ろされる。


俺は、その刃を素手で掴んだ。


——きぃん。


神殿騎士の祝福が、弾けるように散る。

衝撃が腕を走るが、気にならない。


「……なっ!?」


「言っただろ」


俺は、相手の目を見て言った。


「祈らないって」


拳を叩き込む。

祝福が剥がれ、身体が浮き、地面に叩きつけられる。


一瞬で、戦場になった。


ラギアが、唸るように笑う。


「はっ……上等!」


彼女は、獣だった。


跳び、叩き、蹴り、裂く。

祝福に頼らない純粋な身体能力が、神殿騎士を押し潰す。


「囲め!」


「結界を——!」


神殿騎士が詠唱を始めた。


光が広がる。

拘束の神術だ。


(……それも、飽きた)


俺は地面を蹴り、詠唱者の前に立った。


詠唱が止まる。


拳が入る。


——沈黙。


神殿騎士たちは、次々に倒れていった。


最後に残った男が、震える声で言った。


「……なぜだ。

神に逆らって、なぜ立っていられる……」


俺は、倒れた男を見下ろした。


「逆らってない」


ただ、淡々と告げる。


「神を前提にしてないだけだ」


その言葉に、男は理解できないものを見る目をした。


やがて、警笛が鳴った。


遠くから、さらに気配が集まってくる。


(増援か)


俺は、ラギアを見る。


「……ここは引く」


「珍しいな」


「神殿の中で暴れるのは、まだ早い」


ラギアは、少しだけ考えてから頷いた。


「了解だ、異端」


俺たちは、路地へと身を翻した。


背後で、神殿の鐘が鳴り響く。


——祈りの音。


だが今は、

戦争の合図にしか聞こえなかった。


(もう戻れないな)


俺は、確信していた。


神殿は、俺を殺しに来る。

それを止める理由は、どこにもない。


そして——


(それでいい)


この世界は、

戦場としては、悪くない。

第6話、ありがとうございました。


ここで


神殿が「対話を捨てた」こと


主人公とラギアが明確に敵視されたこと


神殿=戦場になる構図


が完成しました。


ここから先、

主人公は“異端”では済まされません。


次話では、

王国と教会が正式に動き出す瞬間が描かれます。


次話も、よろしくお願いします。

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